カタスミ

『あなたが選ぶ結末は』水生大海著

どんでん返し系、5編のミステリ短編集。
以下ネタバレあり。





















う~ん、どっちかっていうと全体的にイヤミスでしょうか…
オチが微妙で読後感がすっきりしませんでした。

●俺の話を聞け
廃ビルから飛び降りて死んだ若い教師は
自殺か他殺か…
教師の同級生の記者が関係者に取材をする形で
繰り広げられる展開。
教師が学生時代家庭教師をしていた家のお姉さんが
殺されたのだが、どうも教師がそれに関係している模様。
共犯者の男を嵌める為、余命幾ばくかも無い事が分かった教師は
殺されたように見せかけビルから飛び降りたのであった…

主人公である記者は一切セリフがないのは良かったが
どんでん返しってほどのオチでもなく、すっきり感もなく、
なんかちょっと不発感あり。

●二週間後の未来
男に振られた女性が、亡くなった祖母の持っていた
青酸カリを手に入れ、男を殺そうとする話。
しかし計画するもコロナ化となり、なかなか上手く行かない。
最終的に同僚にも手を出していた事を知り、再度
男の殺害を企てるが、男の部屋で
男が人を殺害している現場を見てしまい、逃げる。
男はその後自殺するが、次は、女が実は殺害を企てていたのではないか
と知った別の男に付きまとわれ、その男を殺そうと考える。

なんか安易にすぐ人を殺そうとしすぎで
あんな最低な男と別れられて良かったくらいに思えば良いのに
しょーもない理由で犯罪を犯そうとするな…と思った。
やりとりしていたネット上の友達が実は知り合いで
そいつに弱みを握られまた殺そうとするのだが、
そう言うことしてる限り永遠にループしそうだと何故思わない…
最後も何の確証もないんだから適当な話でお茶を濁して
青酸カリは処分してしまえばいいのになぁ…と思った。

●それは財布からはじまった
保険外交員の女性がスリに財布を取られそうになったが
年配の女性の声かけで未遂に終わった。
お礼もかねて年配の女性に声を掛ける外交員の女。
あわよくば契約に繋げられれば、と思い
必要以上にしつこくつきまとう。
怪しんだ年配女性は極力外交員を避けようとするが
しつこい外交員ともみ合いになる。
その際に年配女性の髪を引っ張ってしまうとするりと髪が落ちた。
年配女性は実は年配ではなく、老女に変装していただけであった。
実は年配女性はすでに殺されており、変装した女が
年配女性の年金目当てに成り代わっていたのであった。
外交員は合併の際仕事をクビになっており、
今後の為に外交員時代の顧客名簿をコピーしておく事に。

今回たまたま年配の女性は犯罪者であったものの、
この外交員の女、大分うざかったです。
普通の人でもこの女とは距離置くし、
何か企んでるのじゃないのかと疑うレベルでうざい。
ガチストーカーレベルだと思う。

●きみの為の探偵
結婚式で別の男と逃げた女性の行方を追って
新郎の友人である主人公の男が探偵まがいの行動で真実に辿り着く話。
あちこちに突撃して真相を知ったものの、
やりすぎたせいで逃げた女性の身に危険が及ぶ事になってしまった。

ほんとオチが微妙だなぁ…
主人公は逃げた花嫁が実は好きで
彼女を救いたいが為にいろいろ奔走するものの
最後には実は新郎に仕組まれた事で、新婦の彼女の
身の危険を招くはめになってしまった。
なんかもっと気の利いたオチにならんかったのかね…
絶妙に全部誤読感が悪い…

●真実
俺の話を聞けの続編。
死んだ教師は人殺しなのか…?
そして本当に自殺なのか…?

当の本人はもう死んでいるので
本当の真実は分からないものの
限りなく真実であろう事実は明かされる。
死んだ教師は恐らく死体遺棄だけを手伝った、
そして教師は殺害されたお姉さんの妹によって殺された、
という感じでしょうか?
どんでん返しってほどのオチでもないんだよなぁ…
そして真実を知ったとて、何だかなぁ…と言う感じ…
最初の話と最後の話がリンクするのは何気に良かった。

全体的にオチが微妙なんだよなぁ…
イヤミスはあんまり好きじゃないんだよねぇ…
なるほど!ってなるオチでもなく、
どちらかというと全体的にモヤッとする。
オチに辿りつくまではまぁ、サクサク読めるんだけど。
オチで台無しにしてる感…

星は3つ。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

最近の「小説感想」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事