「医療・福祉」は年20~30万人増、「製造業」は年10~20万人減 ~ 最近5年間の就業者・雇用者数の推移

2014-05-31 23:12:19 | 日記
先のブログ記事の続編。総務省統計局が昨日発表した「平成25年 労働力調査年報」では、主な産業別就業者・雇用者の推移として、下の資料の表を掲載している。

2009~13年の直近5年間に限った推移であるが、就業者・雇用者が最も伸びているのは「医療・福祉」で、前年比20~30万人の増加となっている。これに対して、最も減ってきているのは「製造業」で、前年比10~20万人の減少となっている。その他の業種では、増えたり減ったりと、顕著な増減は殆ど見られない。

少子高齢化を反映した経済社会の動向が、ここでも顕著に示されている。高齢社会の進展は「医療・福祉」のニーズを増やしていくことに違いないので、そこに就業する者の数も同様の傾向で増えていくと見込まれる。

今後は、「医療・福祉」が「製造業」に進出するのか、「製造業」が「医療・福祉」に進出するのか、いずれにせよ両業種の相互参入の促進が求められていくであろう。後者の形態が増えていくと思われる。「製造業」の活きる道が「医療・福祉」に敷かれれば、「医療・福祉」の人材不足が少しは緩和される方向に行く。「医療・福祉」技術が進歩する速度は、「製造業」の動きに依ることになるだろう。



<資料>

(出所:総務省統計局資料

正規・非正規の格差 ~ 年収200万円未満は男性の非正規の58%、女性の非正規の86%

2014-05-30 23:17:24 | 日記
総務省統計局が今日発表した「平成25年 労働力調査年報」では、就業・不就業の状態など様々な指標が示されている。この中で、正規・非正規雇用に係る直近の格差をマクロで表すものは次の通り。

2013年平均の役員を除く雇用者は5201万人で前年比47万人増、うち正規の職員・従業員は3294万人で前年比46万人減、非正規の職員・従業員は1906万人で前年比93万人増(資料1)。

2013年平均の非正規の職員・従業員の割合について、全体では35.2%で前年比1.5ポイント上昇、55歳以上は53.6%で前年比2.2ポイント上昇、15~34歳は33.9%で前年比1.4ポイント上昇、35~54歳は30.4%で前年比1.1ポイント上昇(資料2)。

2013年平均の年間収入階級別割合を男女別に見ると、男性の正規の職員・従業員は500~699万円が21.7%、300~399万円が20.4%、非正規の職員・従業員は100~199万円が31.4%、100万円未満が26.3%、女性の正規の職員・従業員は200~299万円が28.2%、300~399万円が21.3%、非正規の職員・従業員は100万円未満が47.1%、100~199万円が38.5%など(資料3)。

正規・非正規を巡る格差をマクロで見ると、以上のようなことになる。本質的には、雇用形態が正規か非正規かではなく、収入格差に因って享受できる社会保障制度の水準の差が正規・非正規の差において最も顕著になっていくであろうということ。もっとも、現にそうなりつつある。様々な指標があるので確たることは言えないが、すぐに思い浮かぶ最たるものが公的年金だ。

今後更に拡がるであろう年金受給世代における経済格差にかかわらず、それでも凌いでいける仕組みを一つでも多く作っておく必要がある。それが少子高齢社会への準備となる。消費増税は、その中の財源に係る一要素でしかない。富裕層からの所得移転で賄うべきとの意見が強いのは理解できるが、それが期待できない以上、別の方策で凌いでいくしかない。



<資料>

(出所:総務省統計局資料


<資料2>

(出所:総務省統計局資料


<資料3>

(出所:総務省統計局資料

進む大都市圏への人口移動 ~ 社会保障の効率化には悪い話ではない

2014-05-29 09:56:08 | 日記
総務省統計局が今日発表した「平成26年4月の人口移動の概況」によると、ここ最近の首都圏への転入が増えていることが窺える。下の資料1、資料2は、それぞれ都道府県別、21大都市別の直近の動きを示している。

都道府県別では「東京都」、21大都市別では「東京都特別区部」が、それぞれ圧倒的第一位の転入者数となっている。他の地域でも概ね、大都市圏への転入者数はそうでない地域への転入者数よりも比較的多い。

こうした人口移動の傾向を憂う向きもあるが、冷静に考えれば当然のことに思える。これを阻止することは、非常に難しいだろう。人口移動の傾向と少子高齢化の進展を前提とすれば、社会保障の投入先も都市圏に集中していくことになる。

社会保障制度に係る地方分権は有効な権限配置であれば是非とも進めるべきだが、社会保障事業の地方分散は社会保障システムの効率性を低下させるので勧められない。社会保障の効率化という観点では、道州制を考えた場合の道州ごとに、州都など数か所に人口が一極集中していくことが最も望ましいだろう。

道州制を法制化するかどうかはどちらでも構わないが、道州制案で想定している州都に人口を集中させていくような施策は必須だ。



<資料1>

(出所:総務省統計局資料


<資料2>

(出所:総務省統計局資料

女性の労働力と有業率 ~ 女性の3割程度が潜在的労働力

2014-05-28 20:59:21 | 日記
今日の日本経済新聞ネット記事によると、政府は専業主婦の社会進出を促すため、育児経験を生かせる新たな保育資格「子育て支援員(仮称)」を2015年度に創設し、保育士を補助する形で仕事に就けるようにするとのこと。来月の新成長戦略に盛り込むようだ。

この新制度の創設への賛否は別として、保育サービス分野に女性の労働力を活用しようというのは推進すべきことだ。では、どの程度の女性がこれに当たるのだろうか。専業主婦が育児経験を生かすとなると、子どものいるふたり親世帯における専業主婦世帯の専業主婦が該当する。現時点では、その割合は子どものいるふたり親世帯の概ね30~35%程度であろう(資料1)。

育児経験の有無を問わないとすれば、15~64歳の女性全体の25~30%程度(平成22年現在;資料2)、20~59歳の女性全体の概ね25~35%(平成24年現在;資料3)が、潜在的女性労働力となるであろう。総じて、女性の3割程度が潜在的労働力と見ることができる。



<資料1>

(出所:独立行政法人労働政策研究・研修機構HP


<資料2:女性の労働力状態別15~64歳人口の割合 - 全国(昭和60年・平成22年)>

(出所:総務省統計局資料


<資料3:女性の年齢階級別有業率(15~64歳)(平成19年・24年)>

(出所:総務省統計局資料

介護人材確保 ~ 『潜在介護職人』の掘り起しには賃金UPの情報

2014-05-25 18:41:50 | 日記
今日の日本経済新聞ネット記事によると、厚生労働省は介護分野の人手不足を解消するため、介護福祉士が離職の際、公的な職業紹介機関に届け出てもらう制度を2015年度にも導入するとのこと。


<記事抜粋>
・高齢化で介護人材需要は25年度250万人と現状から100万人増やさなければならない。
・厚労省は、介護福祉士が仕事を辞める際に連絡先など情報を届け出てもらう仕組みを検討。
・今国会の医療介護推進法案に盛り込んだ看護師の離職時の届出制にならい、法制化を目指す。
・「潜在介護福祉士」は12年度に50万人を突破。これまで離職者の情報を把握する仕組みがなく、復職が進みにくかった。
・介護福祉士以外にも「潜在ホームヘルパー」が数十万~百万人。


介護サービス需要が激増する見通しであることは、政府見解などにもあるように周知のこと。当然、介護サービス需要に応えるべき必要人材数も増えていく。下の資料1〔=介護職員の推移と見通し〕は、このブログの他の記事で何回か掲載したものと同じ趣旨のものだが、介護サービス市場の拡大傾向は、必要人材数でも相当なものである。

介護人材確保に関する政策課題は幾つもあるが、その中で特に言われているのが、離職率と賃金水準だ。下の資料2〔=介護職員の離職率・賃金〕は、他産業などとの比較の一端を示している。この資料の趣旨は、介護サービス市場では、離職率が比較的高く、賃金水準は比較的低い、ということなのだろう。

離職率については、全産業平均や一般労働者と比べれば訪問介護員や介護職員は比較的高いと見れ取れるが、それほど大差でない。賃金水準については、産業計やサービス業に比べてホームヘルパーや福祉施設介護員は低いが、正規・非正規の比率や常勤・非常勤の比率を勘案した詳細は示されていないので、これだけでの評価は些か短絡的だろう。更に、離職率の差と賃金水準の差は、必ずしも連動しているわけでもないようだ。

先のブログ記事では、高い離職率を前提とした介護労働市場づくりが肝要であると書いた。それは相対的な離職率の高さではなく、絶対的な離職率の高さということ。介護保険財政の将来像や介護サービス需要にとっての必要人材数の見通しを考えると、介護労働市場においては、賃金水準の向上ももちろん重要ではあろうが、むしろ長期雇用と短期雇用の役割分担を明確にしていくべきだろう。

『介護最低賃金制度』の発想は、こうした理由にもよる。それは即ち、介護サービスでの働き方の選択肢を増やすことに繋がり、結果として賃金単価のUPである。『潜在介護職人』を掘り起こすには、この記事あるような人材情報の把握も重要であろうが、やはり何と言っても賃金UPを実際に行い、その情報を広げていくことが最も合理的であろう。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料

認知症と自動車運転 ~ 「65歳以上」と「75歳以上」の乖離

2014-05-24 18:42:56 | 日記
5月21日付け産経新聞ネット記事によると、大阪府警が平成22~25年の府内の高速道路の逆走事案を調べたところ、ドライバーから聴取できた17件のうち15件を60歳以上の高齢者が起こし、7割以上の13件で認知症やその疑いがあったとのこと。


<記事抜粋>
・府警によると、22~25年の逆走事案の認知件数は105件。このうち逆走車を発見し、本人から事情を聴けたのは17件。
・22年6月に70代のタクシー運転手が高速出口から進入して車と正面衝突したケースなど事故が起こった事案が2件。
・9割近い15件(88%)が60~80代の高齢者。17件の76%を占める13件の運転者が認知症またはその疑い。
・昨年末に85歳の男性が阪神高速を14キロ逆走したケースでは、認知症の兆候がみられたが、本人に自覚症状はなく、通院歴もなかった。
・警察庁が22年9月~24年8月を調べた結果では、逆走447件の4割が認知症やその疑い。
・平成21年の法改正で、高齢者の運転免許証更新時に認知機能検査が義務付けられ、違反内容や医師の診断によっては免許が取り消されるようになった。

(出所:産経新聞ネット記事


高速道路を逆走したり、道路脇の建造物に衝突したり、不可解な交通ルール違反が最近よくニュースになる。その中には、この記事にあるような、認知症ドライバーによる事故も相当あるようだ。平成21年の道路交通法改正によって、「運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上のドライバーは、高齢者講習の前に講習予備検査を受けなければならない」こととなっている(資料1)。

厚生労働省による認知症対策の対象は「65歳以上」であると思われ(資料2)、警察庁が道交法の規制対象とした「75歳以上」とは大きな乖離がある。実際にはいきなり65歳以上の運転免許更新時に規制することは難しいのかもしれない。しかし、高齢運転者が確実に増えていく中で、認知症運転手対策は拡充していく必要がある。

現行の規制を徐々に拡充していくのが現実的なのだろうが、将来的には『自動運転』のような技術によるブレークスルーによって克服していくことになるのかもしれない。



<資料1>

(出所:日本認知症学会HP


<資料2>

(出所:厚生労働省資料

学童保育 ~ 歴史はあるが予算額はまだまだ少ない

2014-05-23 21:17:26 | 日記
厚生労働省は今日、「平成26年度放課後児童クラブ整備費の内示(1次)について」を発表した。これは『学童保育(放課後児童クラブ)』に係る施設費に充てられる補助金である。厚生事務次官通達を見ると、この施策に関する萌芽は昭和50年代であったようだ。

産経新聞ネット記事などで既報のように、安倍首相は今日、学童保育について来年度から平成31年度末まで、新たに30万人分の定員を増やす方針を表明した。先のブログ記事で同じ旨を書いた。上記の予算内示を見ると、学童保育への支援については、歴史は長いが予算額はまだまだ低いままだ。

厚労省によると、今年度の学童保育に係る予算額は下の資料にある程度の規模でしかない。政策への評価は予算が全てを決する訳ではないが、やはり予算規模は大きな基準にはなる。少子高齢社会の本格到来により、政策の優先順位は明らかに変更を余儀なくされつつある。学童保育向けの予算拡充が切に求められているが、まさにそれは典型例である。

所要財源は、社会保障財源の枠内での調整しかないだろう。高齢者向け予算の使用目的変更も含め、高齢世代から現役の育児世代への財政移転を断行していくべきだ。国の将来は、退役世代ではなく、現役世代とその次の将来世代の肩にかかっている。実は誰でもわかっている話なのだ。



<資料>

(出所:厚生労働省資料

『介護サービス需要』と『介護保険サービス需要』

2014-05-22 21:16:40 | 日記
厚生労働省が今日発表した『介護給付費実態調査月報(平成26年3月審査分)』によると、直近の動きは次のようなもので、最近の受給者数の月次推移は下の資料の通り。

1)受給者数:介護予防サービス1,051.1千人、介護サービス3,742.2千人
2)受給者1人当たり費用額:介護予防サービス40.0千円、介護サービス175.1千円

介護サービス需要は確実に増えているはずだが、介護保険サービスの受給者数はここ数ヶ月では漸減してきている。介護保険財政の持続可能性を慮れば、「受給者1人当たりの費用額」の上昇をいかにして抑制又は削減していくかが鍵となり続ける。

ここ数ヶ月で受給者数は増えていないのは、どのような理由からなのか。『介護保険サービス需要』の減少と『介護サービス需要』の減少は、必ずしも一致はしないであろうが、相関関係はあると思われる。

中長期的な推移を見てみないと確かな評価はできないが、介護保険行財政の総合的視点からは、「受給者1人当たりの費用額」が伸びないことは歓迎されるが、「受給者数の減少」が続くようであれば、その理由の精査は必ず求められることになるだろう



<資料>

(出所:厚生労働省資料

待機児童数が増えた横浜市 ~ 『潜在的待機児童数』を把握しないとイタチゴッコはいつまでも続く

2014-05-21 14:55:50 | 日記
昨日の朝日新聞ネット記事今日の東京新聞ネット記事で既報のように、横浜市の発表によると、保育所に入れない待機児童を昨年4月に解消した横浜市は今年4月1日時点の待機児童数が20人になった。


<東京新聞記事抜粋>
・昨年のゼロ達成を背景に市への転入者が増え、入所申込者増につながったとの見方。
・認可保育所の入所申込者は過去最多の5万2932人で、昨年比4千114人増。特に1歳児の入所申込者が9605人と大幅増。
・入所保留児童は昨年4月時点より638人多い2384人。
・国の待機児童の定義に基づき、入所保留児童数から(1)認可外保育園などに入った児童(2)親が育児休業中や自宅で求職中の児童(3)特定の保育所だけを希望する児童を除くと20人。認可・認可外の保育施設に入所できない児童数は1224人。
・昨年度の保育所定員増は財政難の影響で、12年度の約半数の2390人。

(出所:東京新聞ネット記事


横浜市のモデルは国の『待機児童解消加速化プラン』でも参考にされた優れものだが、待機児童の定義が『潜在的待機児童』とは程遠いので、横浜市とて、待機児童ゼロの状態はすぐに解消されてしまう。『潜在的待機児童』を把握しないと、このようなイタチゴッコは今後も続くだろう。

横浜市の待機児童数に係る最近のデータは、下の資料1の通り。待機児童を数える計算の起点を「就学前児童数」ではなく「保育所申込者数」としている以上、『潜在的待機児童』の数を正確に数えることにはならない。横浜市のこれまでの取組は先進的で高く評価されるべきだが、『潜在的待機児童』の数を把握するには至っていないので、今後是非とも取り組まれたい。

平成21~26年度における横浜市の待機児童関連予算の変遷は、下の資料2の通り。平成21年度→平成26年度で見ると、待機児童対策予算は72億円→163億円(125%増)、保育所運営費予算は544億円→802億円(47%増)との力の入れようについては、国の保育政策は大いに見習うべきである。

それはさておき、国の『待機児童解消加速化プラン』は早々に改訂される必要がある。断行開始までに時間をかけ過ぎたせいか、今となっては数字が全く合わないものとなっている。同時に、『潜在的待機児童数』をきちんと数えるべきだ。先月、別の寄稿でも再度提起したところであり、適宜参照されたい。



<資料1>

(出所:横浜市資料


<資料2>

(出所:横浜市資料

学童保育 ~ もう一つの大きな『待機児童問題』

2014-05-20 22:49:37 | 日記
今日の毎日新聞ネット記事朝日新聞ネット記事によると、政府は学童保育(放課後児童クラブ)について、2015~19年度で新たに30万人分の定員を増やす方向とのこと。


<記事抜粋>
・厚生労働省によると、学童保育は13年5月現在、全国2万1482カ所、登録児童数88万9205人。15年前に比べて2.6倍。
・現在、主に小学1~3年生が通う学童保育は、利用者数が毎年過去最高を更新中。
・昨年度、学童保育を利用できなかった「待機児童」は8689人。
・潜在的には40万人以上が待機状態との試算も。
・学童保育の運営主体は約4割が自治体だが、小規模なNPO法人や保護者が運営しているところも少なくなく、運営基盤脆弱。
・企業運営の学童保育も増えているが利用料は高額で公立や保護者運営の月数千~2、3万円に対し、5万円程度。


先のブログ記事にも書いたが、今回の消費増税収は社会保障財源に充てられるが、その内容は高齢者向け対策に偏重していることに加え、配分の少ない子ども子育て対策にあっては、未就学児童の保育政策には若干配分されるものの、学童保育への配慮は殆ど期待されていない。

未就学児に係る待機児童数にも言えることだが、学童保育に係る待機児童数についても潜在的な人数把握が必要だ。更に、この分野への予算配分を今後重点的に行っていく必要がある。膨れ上がり続ける高齢者向け対策予算のほんの幾ばくかを振り分けるだけでも、『2つの待機児童』への対策となり得る。

当面の政治の役割は、高齢者一人当たりの利権を現役世代の子ども子育てに徐々に転用していくことだ。少子高齢社会における福利厚生の配分のあるべき姿とは、そういうものであると確信する。



<資料>

(出所:厚生労働省HP

『貯蓄』の格差(二人以上の世帯) ~ 貯蓄4000万円以上の世帯は1割、総貯蓄額の4割を保有

2014-05-19 21:01:42 | 日記
先のブログ記事の続編。貯蓄高に格差が生じるのは当然のことだが、その分布は下の資料の通り。この資料から、二人以上の世帯について次のようなことがわかる。


・貯蓄高500万円未満の世帯数は最多の31.9%、その貯蓄額割合は最少の3.7%(いずれも2013年)。
・貯蓄高4000万円以上の世帯は最少の11.1%、その貯蓄額割合は最多の44.0%(いずれも2013年)。
・2011~13年での推移について、貯蓄高が500万円未満の世帯は世帯割合及び貯蓄額割合ともにほぼ横ばいで、貯蓄高が4000万円以上の世帯は世帯割合は0.7ポイント上昇、貯蓄額割合は3.3ポイント上昇。


二人以上世帯については、微妙にではあるが、格差が広がりつつあると見える。ここに年齢別構成比を重ね合わせることができれば、同一世代間扶助に係る財源移転の規模を導き出すことができるはずだ。それは勿論、今はただのシミュレーションに過ぎないが、そのうち必要になってくるだろう。実は、今でも必要ではある



<資料>

(出所:総務省統計局資料

『負債』の格差(二人以上の世帯) ~ 60歳以上世帯の貯蓄は2236万円

2014-05-18 21:40:49 | 日記
先のブログ記事の続編。年齢が高いほど『貯蓄』が高いのは当然のことで、『負債』は現役世代のいわゆる働き盛りが最も高いというのも納得できる。下の資料はそれをマクロで端的に現しており、次のようなことが読み取れる。

・1世帯当たりの貯蓄高について、30歳未満世帯が288万円であるのに対して、60歳以上世帯は2384万円。
・1世帯当たりの負債高と負債保有世帯の割合は、30~39歳がピーク。
・純貯蓄額(貯蓄現在高-負債現在高)は、50歳以上では貯蓄高が負債高を上回っており、60歳以上世帯の貯蓄超過額が2236万円最多。

こうした統計データからも読み取れることだが、高齢世代に係る社会保障に関しては、若年世代からの所得移転ではなく、同世代間での相互扶助の比率を高めていくようにしていくべきだ。社会保障システムと財政の持続可能性を維持するには、それが唯一の手段となろう。消費増税は、そのための有力な手段と考えられる。

また、資産課税の発想が出てくるのはこうした統計データからは必然のこと。同世代間の扶助とは、同世代の他人からの所得移転だけではない。自分のことは自分の貯蓄で賄うというのもある。いずれにせよ、親世代が子ども世代におカネを無心しない世の中に移行していかざるを得ない。



<資料>

(出所:総務省統計局資料

『賃金好転』を実感できる水準にはない ~ 毎月勤労統計調査(平成25年度分・平成26年3月分)

2014-05-17 22:15:09 | 日記
厚生労働省は昨日、毎月勤労統計平成25年度分結果確報毎月勤労統計平成26年3月分結果確報を同時に発表した。

国民生活の豊かさを表す指標のうち有力なのは、賃金水準に関するものだろう。その中でも、下の資料1〔=平成25年度分〕と資料2〔=平成26年3月分〕にある「現金給与総額」と「きまって支給する給与」が最も注視されるものと思われる。

当然のことではあるが、業種ごとにバラつきがある。マクロ視点では「調査産業計」に眼が行くわけだが、ここだけでアベノミクスの効果を測ると『1%未満』となってしまう。そう簡単に反映されることはないとわかってはいるものの、月給レベルでは、アベノミクスは賃金好転への力を発揮しているとは言い難い。

別のブログ記事などでも書いてきたように、デフレ脱却を物価上昇に求める強い拘りが現政権にはまだまだある。国民が肌で感じる景気好転とは、賃金水準の上昇であることは間違いない。悪しきインフレ傾向が創出されかけている現状は看過し得ず、そこから先ずは脱却する必要がある。

特効薬は見つかっていないが、取り急ぎは、溜まりに溜まっている成長戦略ダマ、即ち数多の規制改革項目の思い切った実施や、原子力発電再開などカネのかからない経済対策の早期実行が必須となるだろう。これについては、政治判断以外の促進剤はない。



<資料1:平成25年度分>

(出所:厚生労働省資料


<資料2:平成26年3月分>

(出所:厚生労働省資料