『ベビーシッター』の実態は把握されていない・・・

2014-06-30 21:42:17 | 日記
朝日新聞ネット記事などで既報であるが、今年3月17日、ベビーシッターを名乗る男性の自宅から男児が遺体で発見されるという事件が発生した。厚生労働省は、「このような事件が二度と繰り返されないようにするため、ベビーシッター等の施設以外での子どもの預かりサービスの規制の在り方等について検討する必要があり、次のように子どもの預かりサービス等に関する実態を調査した」として、『認可外保育施設及び子どもの預かりサービスに関する調査の結果について』を今日発表した。

概要は下の資料の通り。そこに書かれていることを要約すると次のようなことになる。これでは、全体像の把握は国レベルはおろか地方自治体レベルでも全く不十分なものだ。


・届出の対象外となっている認可外保育施設について把握しているのは91自治体
・独自に届出制度を設けているのは2自治体
・ベビーシッターや出張保育等について把握しているのは15自治体

今後の対応としては、「届出制等の対象範囲の在り方の検討」などが提起されているが、乳幼児を預かる場所である点を慮れば、可能な限り広い範囲を届出対象にすることを始めとして、子どもを預ける側に安心を提供する制度が必須だ。

子どもを預ける側からすれば、安心できる預け先としてのお墨付きや公的規制がある方が良いに決まっている。『ベビーシッター』の実態が殆ど把握されていなかったことは、日本の政治がに高齢者にばかり目を向け、子ども子育てへの配慮をしてこなかったことを示している。



<資料>

(出所:厚生労働省資料

遅々として進まない『男性の育児進出』 ~ 同世代女性の社会進出と表裏一体 

2014-06-29 23:16:03 | 日記
先のブログ記事の続編。平成26年度版男女共同参画白書では、下の資料にあるように、男性の育児休業等制度の利用状況について掲載している。そこの図表などから読み取れることは、次の通り。

○男性の育児休業取得率は増加傾向:平成16年度→24年度で0.56%→1.89%
○有業の夫の育児休業等制度の利用状況:平成24年10.6%(利用者の妻の48.7%は無業者)

今月24日に閣議決定された新・成長戦略(「日本再興戦略」改訂 2014)では、『女性の社会進出』が一丁目一番地のようだ。それに対して積極的な事業者に公的支援策が用意されることになる見込みだ。それは、政策論としては十分にあり得るのだが、結局は『女性の社会進出』に対する企業や事業所ごとの空気をいかに変えるかが最大の課題ではないかと思う。

先のブログ記事でも書いたが、育児休業制度の利用は増加傾向にある。だが、男性のそれはまだまだ相当に低い。これを法律や予算措置で一気に変えることは不可能に近い。世の中が徐々に変化していくのを待つしかない。

しかし、何もしなければ本当に遅々として進まないかもしれないので、政治・行政による誘導策は一応有意義ではある。公的支援策とは、その程度の位置付けでしなかないが、上手に活用していく価値はある。遅々として進まない『男性の育児進出』は、同世代女性の社会進出と表裏一体であろう。



<資料>

(出所:平成26年度版男女共同参画白書

消費増税後の“悪しきインフレ傾向” ~ エネルギーコスト上昇は抑制できず・・・

2014-06-28 20:57:25 | 日記
総務省統計局が昨日発表した「平成22年基準 消費者物価指数 全国 平成26年(2014年)5月分」の概要は次の通り。各指数は2010年(平成22年)を100とする。

(1)総合指数:103.5、前月比0.4%上昇、前年同月比3.7%上昇
(2)生鮮食品を除く総合指数:103.4、前月比0.4%上昇、前年同月比3.4%上昇
(3)食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数:100.7、前月同水準、前年同月比2.2%上昇

4月の消費増税による影響は見られるが、それ以前の傾向を引き継いでいる。即ち、エネルギーコストによる寄与度が大きい。総合指数の前年同月比の変動に寄与した項目を見ると、下の資料にあるように、電気代などエネルギーが顕著だ。

ガソリン、電気代、プロパンガス、都市ガス代などの上昇幅が拡大し、エネルギーにより総合の上昇幅が0.21ポイント拡大している。他には例えば、上下水道料による総合の上昇幅は0.05ポイント拡大となっている。

エネルギーは生活基盤インフラの代表格であり、これらに係るコスト増は国民生活を直撃する。昨日の日本経済新聞ネット記事では、「消費増税が5月支払い分の公共料金に反映され、全体を押し上げた。前年同月比3.5%上昇だった1982年4月以来、32年1カ月ぶりの高い水準になった」とある。

消費増税に関しては、確かに影響はあるが、社会保障財源の安定化という中長期的な政策趣旨からすれば、許容せざるを得ないものだ。しかし、それ以外のエネルギーコスト増による物価上昇は、許容したくない“悪しき物価上昇”である。“デフレ脱却”のスローガンから早く脱却しないと、要らぬコスト増が物価上昇要因として歓迎されるという愚かしい事態がいつまでも続きかねない。



<資料>

(出所:総務省統計局資料

平成25年度 『介護人材確保の推進に関する調査研究事業 報告書』

2014-06-27 17:16:29 | 日記
昨年度、厚生労働省「介護人材確保の推進に関する調査研究事業」に委員として参画した。

今般、報告書が取りまとまったところ、詳細は下記URLの通り。

平成25年度 老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業
介護人材確保の推進に関する調査研究事業 報告書

家族介護に係る女性の負担は相当大きい ~ 男性の負担を増やすのではなく、『プロ任せ』を勧奨すべき

2014-06-25 23:30:06 | 日記
以下は各ポータルサイトの記事URLです。

Gadgetwear
http://www.gadgetwear.net/2014/06/blog-post_25.html

livedoorNEWS
http://news.livedoor.com/article/detail/8973934/

夕刊アメーバニュース
http://yukan-news.ameba.jp/20140625-2455/

BIGLOBEニュース
http://news.biglobe.ne.jp/economy/0625/gdw_140625_0020233683.html

介護保険サービス需要は増加に反転 ~ 介護給付費実態調査月報(平成26年4月審査分)

2014-06-24 22:38:13 | 日記
厚生労働省が今日発表した『介護給付費実態調査月報(平成26年4月審査分)』によると、直近の動きは次のようなもので、最近の受給者数の月次推移は下の資料の通り。

1)受給者数:介護予防サービス1,062.1千人、介護サービス3,775.0千人
2)受給者1人当たり費用額:介護予防サービス40.4千円、介護サービス190.0千円

前回調査まで数ヶ月、介護サービス受給者数は漸減してきていたが、今回調査から再び増加に転じた。介護保険財政の持続可能性を慮れば、どうであれ、「受給者1人当たりの費用額」の上昇をいかにして抑制又は削減していくかが最大の課題であり続けるに違いない。

前回調査までの数ヶ月において受給者数が減ったのは、どのような理由からなのか。『介護保険サービス需要』の減少と『介護サービス需要』の減少は必ずしも一致はしないだろうが、相関関係はあると思われる。

介護保険行財政の観点からも、「受給者1人当たりの費用額」が伸びないことは歓迎されるが、「受給者数の増減」が今後も現出するようであれば、その理由を精査しておく必要はあると思われる。介護サービス需要が短期的にも長期的にも伸びていくことが確実視されている中では、特に「受給者数の減少」の分析は是非ともしておくべきだろう。



<資料>

(出所:厚生労働省資料

近年の育児休業取得率:女性76~91%、男性1~2%

2014-06-23 22:03:42 | 日記
厚生労働省が今日発表した「平成25年度雇用均等基本調査(速報版)」によると、平成25年10月1日現在での育児休業取得者の割合は、女性76.3%(前回調査比7.3ポイント低下)、男性2.03%(同0.14ポイント上昇)であった。

平成8~25年の概ねの推移は下の資料の通りで、女性も男性も、長期的な傾向としては育児休業取得率は上昇傾向にあると言える。下の資料に書いてあるように、育児休業取得率とは、「出産者のうち、調査時点までに育児休業を開始した者(開始予定の申出をしている者を含む。)の数」を「調査前年度1年間の出産者(男性の場合は配偶者が出産した者)の数」で除した数である。

このうち女性については、育児休業取得率が100%になっていないということは、100%との差分に該当する女性は離職しているのではないか。出産直前後に勤務を同時にこなすことは非常に困難なはずだ。男性については、自分自身が出産をするわけではないので、出産離職というのは考慮する必要はないだろう。

下の資料が記載されている厚生労働省資料によると、直近のデータとして、女性の育児休業取得率が90%以上と高いのは、順に「運輸業、郵便業」、「サービス業(他に分類されないもの)」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「金融業、保険業」、「医療、福祉」で、男性の育児休業取得率で5%を超えているのは「建設業」だけである。

『女性の社会進出』が現政権の新成長戦略の一丁目一番地のようだが、業種別の現況は上記のようなものとなっている。『女性の社会進出』に積極的な事業者に公的支援策を講じることは、政策論としては十分にあり得る。だが最も大きな要因は、『女性の社会進出』に対する企業や事業所ごとの空気ではないかと思う。

これを法律や予算措置で一気に変えることは不可能に近い。世の中が徐々に変化していくのを待つしかない。しかし、何もしなければ本当に遅々として進まないかもしれないので、政治・行政による誘導策は一応有意義ではある。公的支援策とは、その程度の位置付けでしなかないが、上手に活用していく価値はある。



<資料>

(出所:厚生労働省資料

看護師・介護士の人手不足 ~ 現行の外国人受入れ制度では全然足りない

2014-06-22 00:20:41 | 日記
深刻な問題でなかなか妙案が見つからないのが、看護師・介護士の人手不足。団塊の世代が75歳以上となる2025年度に向けて地域包括ケアシステムを構築しようというのが、今の医療・介護政策の大目標となっている。

看護師については、2011年度で約150万人のところを、2025年度には約200万人にまで増やす必要があるとされる。このためには、毎年3.3万人程度の人材の確保を要することになる。

介護士については、2012年度で約149万人のところを、2025年度には約237~249万人にまで増やす必要があるとされる。このためには、毎年6.8~7.7万人程度の人材の確保を要することになる。

今週中には閣議決定される予定の新成長戦略では、外国人労働者の受入れを一層肯定する方向性が打ち出されるようだ。看護師と介護士に関しては、既にルールが整備され、一定の実績もある(資料1~3)。しかし、ルールの厳しさもあってか、外国人看護師・介護士が国内の看護師・介護士の人手不足を解消することに大きく貢献しているとはとても言えない。

この受入れルールの厳しさ以外にも、日本滞在中の住居も含めた生活面での課題も少なくない。日本での看護師・介護士の人手不足は慢性的なものであり、それを少しでも緩和するためには、内外問わず人材の確保が急務であることは論を待たない。

日本国内に人材を求めても事実上頭打ちになっているのであれば、日本国外に人材を求めるしかない。それに係る障害があるならば、ルールの変更も含めて柔軟に対処していく必要がある。これは、移民政策とは全然違う。



<資料1>

(出所:法務省入国管理局資料


<資料2>

(出所:法務省入国管理局資料


<資料3>

(出所:法務省入国管理局資料

外国人家政婦(8割がフィリピン人)の受入れ拡大 ~ 国内での国際競争に負ける国内勢

2014-06-21 13:11:50 | 日記
今月15日の朝日デジタル記事によると、政府は国家戦略特区で、外国人労働者を家事サービス分野で受け入れる方針を固めたとのこと。


<記事抜粋>
・「18歳以上、単身での入国」などの条件で、関西圏(大阪、京都、兵庫の3府県)の特区で今秋にも受け入れ。
・特区で試験的に日本家庭への受け入れ始め、需要があるかどうかを見極め、ほかの地域への拡大も検討。
・受入れ国は限定しないが、フィリピンやインドネシアが中心。
・出入国管理法は、家事労働を目的とした外国人の入国を、外交官の家庭などで働く場合を除いて認めていない。
・今秋に法務省が告示を改正し、家事代行業者が雇う外国人に新たな在留資格を与える。


なぜ特区から始めるのか。本来は国全体でやるべきところ、本件については、国(政府)や東京都が総じて消極的姿勢であることや、特区制度は自治体などからの申請主義であることからたまたま大阪府市が手を挙げたということが主な理由であろう。どうであれ、女性の社会進出はもとより、日本全体の労働力が今後縮小していく見通しであるので、外国人家政婦の雇用拡大は必須な情勢だ。

家事サービス分野に限ってみると、本年4月22日の規制改革会議「貿易・投資等ワーキング・グループ議事概要」によれば、昨年6月30日現在の家事使用人として在留中の外国人の数は1268人(うちフィリピン人が78.4%)となっている。これには様々な条件が付されている(資料1)。

先の規制改革会議第2次答申では、「外国人家事支援人材については、国家戦略特区の枠組みの中で、十分な管理体制の下で活用する仕組みの検討を進める」とある(資料2)。今年度検討開始なので、そうそう早く実現するとは思えない。

家事サービス分野も含めて、外国人労働者の受入れ拡大に関しては感情的な反対運動が起こりやすいと感じる。日本人の雇用の場を外国人が侵す云々もあるが、それ以前に外国人排斥のイデオロギー的なものが根底にあるのではないか。これは、日本に限ったことではなく、世界中どこでも見られる現象だ。

日本では近年、専門的・技術的分野の在留資格の在留外国人は約20万人で推移してきている(資料3)。規制改革や成長戦略といった大げさな場で取り上げ、それをマスコミが大きく報じることで、反対世論が形成されたり、反対運動が起こったりしやすくなるのだろう。ただ結果として、国内での国際競争において、国内勢が負けている分野があるということだ。

雇用できない日本人より、雇用できる外国人 ―― 経営者としては当たり前のことである。

外国人労働者政策については、受入れ拡大の方向に行くのであれば、これまでのように大きく話題にせずに、粛々と民間ニーズに適宜対応する形で制度改革を進めることが肝要なのではないだろうか。日本社会の在り方はどうか等々の精神論ではなく、冷静に社会構造の変化に追従するための経済論で進めるべきである。



<資料1>

(出所:法務省入国管理局資料


<資料2>

(出所:規制改革会議資料


<資料3>

(出所:法務省入国管理局資料

『介護職員の賃上げを目指す法律』の成立 ~ それでも官主導は変わらない・・・

2014-06-20 21:57:12 | 日記
介護施設で働く職員の賃金が低水準であることは周知のことだが、今日、介護職員の賃金引上げを目指す法律が成立したことを知っている国民はどれほどいるだろうか。正式名は『介護・障害福祉従事者の人材確保のための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律』で、全文は次の通り。衆議院からの議員立法である。


【介護・障害福祉従事者の人材確保のための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律】
 政府は、高齢者等並びに障害者及び障害児が安心して暮らすことができる社会を実現するためにこれらの者に対する介護又は障害福祉に関するサービスに従事する者(以下「介護・障害福祉従事者」という。)が重要な役割を担っていることに鑑み、これらのサービスを担う優れた人材の確保を図るため、平成27年4月1日までに、介護・障害福祉従事者の賃金水準その他の事情を勘案し、介護・障害福祉従事者の賃金をはじめとする処遇の改善に資するための施策の在り方についてその財源の確保も含め検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。


平成27年4月1日に介護報酬改定が予定されているが、それを念頭に置いているのだろう。「その財源の確保も含め」とあるのは肝の一つで、平成27年10月1日に予定されている消費増税(税率:8%→10%)にとっては、議員立法という点からも相当の追い風となるに違いない。

この法律の趣旨それ自体は賛同できるが、介護報酬改定は実質的には政府・厚生労働省の社会保障審議会で決められることになる。いわゆる官僚主導だ。それが悪いとは言わないが、国会で可決・成立したものには強制力がなく、政府の審議会で決せられたものには強制力があるというのは、日本の政と官の力関係の一端を象徴している。

例えば、介護職員の賃金は全産業平均よりも10万円ほど低いとの統計が出ている。仮に今いる介護職員(2012年度133万人)の平均賃金を全産業平均並みに引き上げるには、年間1.6兆円程度の資金が必要となる。政治判断次第では実現不可能な数字ではないが、他の社会保障制度との調整を経なければならない。社会保障サービス産業全体の利権をどのように配分していくかという話なのだ。

家族介護に係る女性の負担は相当大きい ~ 男性の負担を増やすのではなく、『プロ任せ』を勧奨すべき

2014-06-19 23:21:36 | 日記
先のブログ記事の続編。今後ますます少子高齢化は進むだろうから、家族を介護するために職を持てない人々も同時に増えていくことが大いに予想される。平成26年度版男女共同参画白書では、下の資料にあるように、介護時間が「ほとんど終日」の同居の主な介護者割合(男女別)が掲載されている。

これを見ると、介護時間が「ほとんど終日」の同居の主な介護者の7割強が女性で、全体の3分の1以上を要介護者の妻(配偶者)となっている。女性よりも男性の方が平均寿命が短いので、夫婦間の“老老介護”に係る負担は、夫(男性)よりも妻(女性)の方に偏重しているとのこと。

介護に当たっている者の立場について、女性では「子の配偶者」である場合が17%いるが、男性では「子の配偶者」である場合は0.3%しかいない。だからと言って、「子の配偶者」である男性(子の夫)に対して、妻の親(義理の親)の介護にもっと参加すべきとの提言はできない。

介護政策に関する普遍的な思想は、家族ではない他人、即ち介護サービス事業者に対して家族(親、配偶者など)の介護を委託することを是とすることである。自ら喜んで家族の介護に勤しむ人は別として、一般的には、家族の介護は極力『プロ任せ』にできるような環境を拡げていくべきだ。それは、費用対効果を極力上げるような介護保険制度にするよう、不断の見直しを怠らないことに他ならない。



<資料>

(出所:平成26年度版男女共同参画白書

日本が男女共同参画社会になっていないことを示す指標 ~ 政官民の全てで「指導的地位」の女性比率は低い

2014-06-18 06:07:43 | 日記
先のブログ記事に書いたように、日本は、数字の上では男女共同参画社会になっているように見える。しかし、日本が男女共同参画社会になっていると内外ともに評価する声はおよそ聞いたことがない。

その理由の一つは、先のブログ記事の資料2で示されるように、管理職の男女割合が諸外国と大きく異なっていることだろう。男女の性差に即した職種も相当数あるが、それ以外の多くの職種では男女の性差は能力差として顕れるとは思えない。

例えば、国会議員の女性比率は、衆議院で1割未満、参議院で2割未満(資料1・資料2)、官僚の女性比率は、指定職(次官、局長、審議官など)で2%未満、本省課室長クラスで3%未満、本省課長補佐クラスで6%程度(資料3)、裁判官・検察官・弁護士で2割前後、民間企業の管理職で1割未満など(資料4)。

これらを見ると、日本が男女共同参画社会になっているとはとても思えない。やはり、就業者数に占める女性割合の問題ではなく、指導的地位にいる女性割合の問題であることがわかる。国際比較が全てとは思わないが、国際競争社会であることを考えれば、女性が指導的地域に就く比率を上げる必要性はとても高いはずだ。



<資料1>

(出所:平成26年度版男女共同参画白書


<資料2>

(出所:平成26年度版男女共同参画白書


<資料3>

(出所:平成26年度版男女共同参画白書



(出所:平成26年度版男女共同参画白書

日本はとっくに男女共同参画社会 ~ 問われるべきは『女性の社会進出』ではなく『女性の管理職進出』

2014-06-17 23:55:56 | 日記
本日閣議決定された「平成26年版男女共同参画白書」では、今の日本を言い表すのに有用な資料がたくさん散りばめられている。そのうちの一つが共働き世帯数の推移(資料1)。共働き世帯数が男性雇用者と無業の妻から成る世帯数を上回ったのは平成9年以降である。

それから15年以上経っているが、女性の社会進出という点で日本はどのような状況なのか。例えば、就業者に占める女性割合については諸外国と比べても決して引けを取らないが、管理的職業従事者に占める女性割合については諸外国の中でもかなり低い(資料2)。

『女性の社会進出』の定義にもよるが、就業者ベースでの女性比率は半数弱なので、その点では男女共同参画社会になっているように見えるが、管理職という点では日本はかなり遅れていると評されてしまうだろう。ただ、女性が希望する就業形態の7割が非正規であるとの調査結果(資料3)からすると、管理職候補者数が男性よりも女性の方が相当少ないとも言える。

男女の性差に即した職種も相当数あるが、それ以外の多くの職種では男女の性差は能力差としては顕れないだろう。日韓と欧米など諸外国の違いは、性差と能力差を同一視しているかどうかなのかもしれない。今後問われるべきは、『女性の社会進出』ではなく『女性の管理職進出』であろう。



<資料1>

(出所:平成26年版男女共同参画白書


<資料2>

(出所:平成26年版男女共同参画白書


<資料3>

(出所:平成26年版男女共同参画白書

規制改革第2次答申 ~ 介護・保育事業のイコールフッティング論は始まったばかり

2014-06-16 21:19:06 | 日記
先週13日に取りまとめられた政府・規制改革会議の「規制改革に関する第2次答申」では、特に緊急性・重要性の高い最優先案件として「介護・保育事業等における経営管理の強化とイコールフッティング確立」が位置付けられた。

具体的には、次のような方向で取り組まれることとなった。



また、詳細については、この第2次答申のp10~13を参照されたい。今後、どこまで実現するか、しっかりと注視していく必要がある。

規制改革答申で書かれたからと言って、すんなり進む規制改革は殆どない。そんな簡単な話ではない。介護・保育事業のイコールフッティング論は、まだ始まったばかりなのだ。