住民基本台帳人口移動報告(平成25年結果) ~ 都市圏への人口集中を誘導すべし

2014-01-30 21:01:17 | 日記
厚生労働省が今日発表した「住民基本台帳人口移動報告(平成25年結果)」によると、平成25年における都道府県間移動者数など主な指標はそれぞれ以下の通り。

1)都道府県間移動者数は2年連続減少(図1)
 ・市区町村間移動者数は501万5571人で、10年連続減少

2)東京都の転入超過数は2年連続の大幅増加、千葉県は3年ぶり転入超過、滋賀県は46年ぶり転出超過(図2)
 ・転入超過は9都府県
 ・愛知県及び大阪府は3年連続、宮城県は2年連続の転入超過
 ・東京都の転入超過数は前年に比1万3675人の大幅増加

3)東京圏の転入超過数は2万9315人増加、名古屋圏と大阪圏は3年ぶり転出超過(図3)
 ・3大都市圏(東京圏・名古屋圏・大阪圏)全体では8万9786人の転入超過
 ・東京圏は9万6524人の転入超過
 ・名古屋圏は147人の転出超過
 ・大阪圏は6591人の転出超過

転入超過の9都府県は、未だ見ぬ“道州制”でのそれぞれの中心都市だろう。3大都市圏について、大阪府と愛知県では転入超過である一方で、大阪圏と名古屋圏では転出超過となっている。大阪圏と名古屋圏の傾向を見ると、2都市圏内での大阪・名古屋への集中が見られる。

都市圏又は都市部への一極集中を憂う向きもあるが、『地域包括ケアシステム』を本気で目指していくならば、“国土の均衡な発展”というこれまでの全総(全国総合開発計画)のような発想ではなく、人口密度が一定以上の都市圏への人口集中を是認する政策を採っていくべきだろう。孤独が好きな世捨て人のような人は別として、ごく普通の人々のことを考えれば、ケアされる側にも、ケアする側にも、その方が効率的であるはずだ。









(出所:総務省統計局資料

『現役世代』と『高齢者』の定義 ~ 「65歳」区分では持続できない

2014-01-29 21:52:00 | 日記
15~64歳は『現役世代』と言われるが、2010年までにこの現役世代の人口数が増えてきていたのは47都道府県の中で東京都だけであった。下の資料1〔=都道府県別 高齢者人口及び現役世代人口の増減(1995年~2010年)〕は、それを示している。

しかし、2025年までの見通しを立てると、それまで現役世代を多く輩出してきた東京都でさえ、現役世代人口は減少に転じてしまう。下の資料2〔=都道府県別 高齢者人口及び現役世代人口の増減(2010年~2025年)〕は、それを示すものだ。

こう見ると、現役世代人口数の減少が顕著であることに悲観してしまいそうだ。そこで発想を転換し、『現役世代』と『高齢者』の区分である「65歳」を見直していくことを検討すべきである。

高齢化と少子化が同時に進行していくことがわかっているだから、労働力を確保していくには、「15歳~64歳」という『現役世代』を拡充していくしかなく、その場合の手法としては、「15歳」を下方修正するか、「64歳」を上方修正するか、となる。そうなると、「64歳」を上方修正するしかないはずだ。

今後、世代間格差が拡充していくことが自明であるから、『高齢者』とて同世代間扶助に軸足を移していかざるを得ない。とは言え、例えば80代以上は80代以上での同世代間扶助で、というのも現実的とは思えない。60代後半~70代前半のどこかで線引きしていくしかないだろうが、どこで線を引くにしても、「65歳」を相当超える年齢までは、高齢な者であっても『高齢者』ではなく、社会保障という点では『現役世代』と同じような処遇としていくしかないだろう。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料

東京都の高齢化問題(6) ~ 東京都政で『集中のメリット』を追求すべし

2014-01-28 23:34:41 | 日記
先のブログ記事などで書いたが、東京都が日本一の『高齢街』である。それ自体は大問題なのだが、別の視点で、都道府県別生産年齢人口に関する下の資料1・2は興味深い。

日本全体が高齢化することが見て取れる。65歳区分の場合には、東京都の生産年齢人口比率の変化が47都道府県の中で最も小さい。それに比べて75歳区分の場合では、東京都の生産年齢人口比率の変化は、65歳区分のそれに比べて大きい。

あくまでもマクロの観点であるが、こうした変化を見据えると、生産年齢人口の区分を65歳とし続けることは妥当でなく、徐々に引き上げていくことを真剣に検討すべきだ。

更に、都市部と地方の生産年齢比率の分布の変化を考えれば、都市圏への人口集中促進とは言わないまでも、それを徐々に誘導していくような施策が重要になっていくと思われる。

東京都だけでも、都内の人口密度分布を見ながら、『集中のメリット』を追求していくような都市政策が必要であろう。これは国の都市政策として進めていくべきとの見方もあろうが、都政として都が自らの判断で行えるものであり、率先して行うべきことでもある。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料

東京都の高齢化問題(5) ~ 推進すべき介護インフラは施設系か在宅系か

2014-01-27 22:42:38 | 日記
先のブログ記事などからも明らかなように、東京都は日本一の『高齢街』である。当然、介護保険サービス需要も相当に高い。先のブログ記事の資料3〔=特別養護老人ホームへの入所申込状況調べ(都道府県別)〕は、それを端的に示す典型例だ。

東京都における介護給付も更に増加していく見通しだ。日本全体の社会保障サービス費用の合理化が必須である中で、東京都も同様に合理化が肝要である。要するに、東京都の介護給付総費用の抑制を図っていくべきとなる。先のブログ記事でも述べたが、介護サービス利用者一人当たりの費用額を参酌しながら、どのような介護保険サービスを慫慂していくかを考えていく必要がある。

そこで掲げたのと同じものが下の資料1〔=サービス種類別にみた受給者1人当たり費用額及び費用額累計〕であるが、ここから言えることは、介護サービスの費用対効果は「訪問介護 > 通所介護 ≫ 介護老人福祉施設 > 介護老人保健施設」ということだ。これは、国の介護保険財政改革に係る一つの視座に据えていくべきことであると同時に、日本で最大の介護保険サービス需要を抱える東京都の高齢者福祉行政に係る基本思想に据えていくべきことだ。

ところで、介護保険サービスが多種多様化してきている中で、最近伸びてきているものに『小規模多機能型居宅介護』というものがある。これは、「通い」を中心として、要介護者の様態や希望に応じて、随時「訪問」や「泊まり」を組み合わせてサービスを提供することで、中重度となっても在宅での生活が継続できるよう支援するもので、2010年度から始まった比較的新しい制度だ。

東京都知事選では、高齢者対策として特養の建設促進を声高に叫ぶ候補者もいるが、介護保険財政の持続性を慮る観点からは、介護サービスの費用対効果が比較的高いものへと財政投入の比重を移していく必要がある。『小規模多機能型居宅介護』は、通所介護や訪問介護よりも費用対効果は低いが、施設サービスよりも費用対効果は高い。

資料2〔=小規模多機能型居宅介護の動向について(事業所数)〕によると、『小規模多機能型居宅介護』の東京都での進捗は全国的にも最低の位置にあるが、これが新設された経緯を踏まえると、施設サービスよりも優先させていくべきだろう。先のブログ記事の最後にも書いたが、東京都の高齢化問題を都知事選で論うのであれば、このぐらい具体性のある話をしてもらいたい。“東京から国を変える!”的なスローガンだけでは都民生活への裨益はない。



<資料1:サービス種類別にみた受給者1人当たり費用額及び費用額累計>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料

東京都の高齢化問題(4) ~ 『買い物困難者』の問題

2014-01-26 21:28:07 | 日記
先のブログ記事にも書いたが、東京都は日本一の『高齢街』である。高齢者数が都市部に集中しているという点では、これは東京都固有の問題というよりは都市圏における問題として考えていくべきだ。こうした問題の代表格が、先のブログ記事などで書いた待機老人問題であるが、他にも数多ある。

その中でも最近話題に上る回数が多いのが、『買い物困難者』の問題だ。下の資料〔=都市部における買い物困難者の問題〕によると、「生鮮食料品販売店舗まで500m以上で自動車を持たない65歳高齢者」を『買い物困難者』と捉えているように思える。どのように定義するかはその時々の事情で変わってくるし、何らかの公的支援を行うとすれば、その対象とすべき範囲もその時々の財政事情などで変わってくる。

『高齢街』での新たなビジネスニーズという全く別の視点で考えると、生協などが行っているデリバリー事業と、電力・ガス・水道など公益事業体との連携を公的に誘導していくこともあり得る。端的には、高齢者『見守り』サービスである。公益事業体が持っている公益特権と顧客名簿の有効活用を目指していくべきだ。

やや細かい話になったが、東京都の高齢化問題を都知事選で論うのであれば、このぐらい具体性のある話をしてもらいたい。“東京から国を変える!”的なスローガンも大事でないとは言わないが、スローガンだけでは都民生活への裨益はない。



<資料>

(出所:厚生労働省資料

東京都の高齢化問題(3) ~ 『一人暮らし高齢者』も急増

2014-01-25 16:21:29 | 日記
先のブログでは、東京都の『高齢者のみ世帯の人口』ということで、「単独世帯」と「夫婦のみ世帯」の高齢者人口の将来推計を行った。今回は、そのうち「単独世帯」、即ち「一人暮らし」の高齢者人口について考える。

先のブログ記事で示した計算式を利用すれば、2010年と2025年の『一人暮らし高齢者』の人口は、それぞれ以下のような推計値になる。

・75歳以上
 <2010年> 269万世帯×1人/単独世帯 = 269万人 
          ⇒ うち東京都:269万人 × 1/8.69 = 31万人

 <2025年> 447万世帯×1人/単独世帯 = 447万人
          ⇒ うち東京都:447万人 × 1/9.07 = 49万人

・65歳以上
 <2010年> 498万世帯×1人/単独世帯 = 498万人
          ⇒ うち東京都:498万人 × 1/9.09 = 55万人

 <2025年> 701万世帯×1人/単独世帯 = 701万人
          ⇒ うち東京都:701万人 × 1/9.08 = 77万人

2025年における東京都の75歳以上の『一人暮らし高齢者』は49万人、65歳以上の『一人暮らし高齢者』は77万人と推計される。77万人というのは、都道府県では徳島県の人口(2013年10月現在で約77万人)と同じ水準で、東京23区では世田谷区の人口約83万人(2012年現在)よりやや少なく、練馬区の人口約69万人(2012年現在)よりやや多いといった水準である。

先のブログ記事の最後の方にも同じようなことを書いたが、来月9日の都知事選を控え、この2025年における東京都の『一人暮らし高齢者』の増加を見越した政策を掲げている都知事候補者が誰であるか、都民にとってはとても重要な選択基準になっていくのではなかろうか。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料

東京都の高齢化問題(2) ~ 『高齢者のみ世帯の人口』は急増

2014-01-24 21:05:46 | 日記
先のブログ記事の資料1〔=都道府県別の高齢者(75歳以上)人口の推移〕と資料2〔=都道府県別の高齢者(65歳以上)人口の推移〕から、高齢者人口の東京集中の度合いを推計すると、次のようになる。

・75歳以上人口の比率:東京都/全国 ⇒ 123.4/1419.4=1/8.69(2010年)、197.7/2178.6=1/9.07(2025年)
・65歳以上人口の比率:東京都/全国 ⇒ 267.9/2948.4=1/9.09(2010年)、332.2/3657.3=1/9.08(2025年)

つまり、今から東京五輪(2020年)が終わった後の頃まで、日本の高齢者(75歳以上・65歳以上)の9人に1人は東京都在住ということになる。東京都は日本で最多人口なので当然と言えば当然かもしれないが、実際に数値で表すとこうなる。

また、高齢者の世帯形態の推移と将来推計(75歳以上・65歳以上)は、それぞれ下の資料1・2の通り。これと上記の推計結果を合わせて考えると、高齢者の「単独世帯」と「夫婦のみ世帯」に係る高齢者人口は次のように推計される。

・75歳以上
 <2010年> 269万世帯×1人/単独世帯 + 225万世帯×2人/夫婦のみ世帯 = 719万人 
          ⇒ うち東京都:  719万人 × 1/8.69 = 83万人

 <2025年> 447万世帯×1人/単独世帯 + 370万世帯×2人/夫婦のみ世帯 = 1,187万人
          ⇒ うち東京都:1,187万人 × 1/9.07 = 131万人

・65歳以上
 <2010年> 498万世帯×1人/単独世帯 + 540万世帯×2人/夫婦のみ世帯 = 1,578万人
          ⇒ うち東京都: 1,578万人 × 1/9.09 = 174万人

 <2025年> 701万世帯×1人/単独世帯 + 645万世帯×2人/夫婦のみ世帯 = 1,991万人
          ⇒ うち東京都: 1,991万人 × 1/9.08 = 219万人
  
即ち、2010年における東京都の『高齢者のみ世帯の人口』は、75歳以上では約83万人(cf.2013年10月現在の佐賀県の人口は約84万人)、65歳以上では約174万人(cf.2013年10月現在の熊本県の人口は約180万人)になっている。

更に、2025年における東京都の『高齢者のみ世帯の人口』は、75際以上では約131万人(cf.2013年10月現在の青森県の人口は約134万人)、65歳以上では約219万人(cf.2013年10月現在の長野県の人口は約212万人)と推計される。

次の都知事は東京五輪の顔になると仮定すると、2022年までは都知事の任に当たっていることになる。来月9日の都知事選を控え、この2025年における東京都の『高齢者のみ世帯の人口』の増加を見越した政策を掲げている都知事候補者が誰であるか、都民にとってはとても重要な選択基準になっていくのではないだろうか。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料



平成26年度予算案 ~ 社会保障関係費が、歳入規模に見合わない歳出規模になっている現実

2014-01-22 23:35:56 | 日記
以下は各ポータルサイトの記事URLです。


Gadgetwear
http://www.gadgetwear.net/2014/01/26305.html


ライブドアニュース
http://news.livedoor.com/article/detail/8454602/


アメーバニュース
http://yukan-news.ameba.jp/20140122-9/


ビッグローブニュース
http://news.biglobe.ne.jp/economy/0122/gdw_140122_0958534700.html

東京都の高齢者向け住宅整備率 ~ 全国ワースト3

2014-01-21 23:06:07 | 日記
先のブログ記事に書いたように、東京都は日本一の『高齢街』である。高齢者の住まい・住まい方のニーズも多様化してくることが予想される。下の資料〔=都道府県別 65歳以上の高齢者向け施設・住まいの整備状況〕を見ると、東京都の高齢者向け住宅整備率はワースト3だ。

しかし、これをどう考えるかの価値判断は分かれるところだ。高齢者向け施設・住まいを高齢者の多様なニーズに応えられるように整備していくことは理想的なことではあるが、他方で費用負担の問題を重々考慮しておく必要もある。こうした指標を見ると、全国平均を上回るようにすることが目標になりやすいが、それほどの財政的余裕があるとは思えない。

高齢者向け住宅の整備は、高齢者ニーズに対応するだけでなく、関係する建設業など多くの産業を潤すことにはなるが、だとしても費用負担の在り方を置き去りにしながら進めることはできない。『高齢者の住まい』とは、若年世代・現役世代への汎用性はない概念だ。財政支援によって高齢者向け住宅を整備していこうとするならば、最も費用対効果が高いと認定されるのは、高齢者向けに特化した住まいではなく、全世代に通じるような住まいであろう。

それは結局、太古の昔からそうであるように、要するに『普通の住まい』ということになるのではないか。



<資料>

(出所:厚生労働省資料

東京都の待機老人問題 ~ “特養入所待ち”ではなく『介護サービス待ち高齢者』の把握が必要

2014-01-20 22:35:53 | 日記
先のブログ記事では東京都の待機児童数について考えてみたが、ここでは待機老人数について考えてみたい。今後どれだけの介護サービス需要があるかを推計したものが、下の資料1〔=介護サービス量と給付費の将来見通し〕だ。

『待機老人』という言葉がある。老人ホームへの入居を希望しているが満杯なので部屋が空くのを待っているお年寄りたち、というのが一般に思われていることだろう。しかし、厚生労働省はこの『待機老人』という用語を使ってはいない。敢えて使っているとすれば、『特別養護老人ホームの入所申込者』(資料2)だ。

『待機老人』という言葉は報道等で一人歩きしてしまった造語であるが、これを解消することが一つの政策目標だと思われていることも事実だろう。ただ、特養の入所申込者数の全員が特養に入所できたとしても、介護サービスを必要としている高齢者の全員に介護サービスが行き渡るわけではない。特養の入所申込者のうち特養側からみて「真に入所が必要な人」は入所申込者全体の1割強という調査結果もある。

以上は、いわゆる『特養の待機老人』の例であるが、真の意味での『介護サービス待ち高齢者』は特養など施設系か、デイサービスや訪問介護など在宅系かを問うべきではない。資料1の「利用者数」に該当する『介護サービス待ち高齢者』に対する介護サービスの展開を、介護保険財政の最も効率的な配分で実施していく計画性が、今最も求められている介護サービス将来見通しであるべきだ。

これは来月9日の東京都知事選挙の大きな争点に掲げられるべきだろう。『特養の待機老人』だけを見ても、下の資料3の通り、東京都は日本一なのだ。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料)


<資料2>

(出所:厚生労働省資料


<資料3>

(出所:厚生労働省資料

東京都の高齢化問題(1) ~ 日本一の『高齢街』

2014-01-19 21:53:19 | 日記
大手マスコミの報道ぶりなどからすると、来月9日の東京都知事選挙の争点は、“原発 Yes or No?”のワンイシューになってしまいそうな雰囲気になっている。だが、原発政策は国政マターであり、都政マターではない。もちろん、都知事候補者が原発に関して語ることが一切不適切だというわけではない。敢えて言うならば、別のブログ記事で書いた「東京都知事選における『原発』の正しい語り方」の線であろう。

都知事選の争点の一つは、先のブログ記事などに書いた待機児童問題の他に、やはり東京都の高齢化問題であろう。先のブログ記事でも書いたことだが、厚生労働省「都市部の高齢化対策に関する検討会」が提言を出した。これは、東京都政も含めた都市政策には大いに参考になることが提言されている。

最多人口を抱えるから仕方ないのだが、はっきり言って、東京都は日本一の『高齢街』であるし、今後ますますこの傾向は強まると見込まれる。都市部の問題は都市部の問題として都市部で解決するしかないと思われる。高齢化が都市問題であること、特に東京都が最も深刻な『高齢街』であることを示す統計データは幾つもあるが、代表的なものとして下に資料1~3を掲示しておく。

都知事選の争点で語られるだけでなく、新しい都知事が取り組むべき最大課題の一つが東京の『高齢街』化対策であることは間違いない。東京都の政策は全国の全ての自治体の雛形になるとは思えないが、少なくとも、東京以外の都市部の自治体への先導役になることはできると思われる。いずれにせよ、都民生活に深い関わりのあるイシューは、立地していない原発である訳はなく、子ども子育てや高齢者に係る諸施策であるはずだ。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料


<資料3>

(出所:厚生労働省資料

東京都の待機児童問題 ~ 正確な待機児童数の把握が必要

2014-01-18 22:23:15 | 日記
先のブログ記事の続編。厚生労働省の発表によると、「認可保育所の待機児童数(認可保育所に申し込んでも入所できない児童数)」は22,741人(2013年4月現在)。保育所利用児童数2,219,581人(同)に比べれば待機児童数は少なく見えるが、都市部を中心に潜在的には更に85万人の保育ニーズがあるとの試算もある。試算は前提で変わるもので、筆者が別の前提で試算すると、潜在的待機児童数は更に一桁増える。

昨年4月に安倍首相が発表した「待機児童解消加速化プラン」では、小規模保育事業など新制度の先取り、認可を目指す認可外保育施設への支援など5本柱の施策を進め、13~17年度で合計40万人分の保育の受け皿を確保することを打ち出した。1年で8万人分となる。

13年度もあと数ヶ月しか残っていないので、今から13年度分8万人の保育の受け皿を確保するのは極めて困難であろう。17年度末までの4年数ヶ月での施策の推進が切に望まれる。

東京都の待機児童数は、上記の厚労省発表の方法に準じて数えると8,117人(2013年4月末現在)となっている。下の資料1〔=都道府県・政令指定都市・中核市別の待機児童数〕、資料2〔=東京都の区市町村別の待機児童数〕には、それぞれ全国、東京都の待機児童数の詳細が記されている。東京都の待機児童数は全国の36%弱を占める計算だ。都内の保育サービスの状況から知ることができる。

政府の「待機児童解消加速化プラン」では、保育所待機児童数2.3万人(2013年4月末現在)に対して、1年間で8万人分の保育の受け皿を確保していくことを目指している。これは、明らかに待機児童数の数え方が首相と厚労相で違うことを示しており、首相側は「認可保育所の待機児童」以外の待機児童の数を含んでいると言える。

同じことを東京都の待機児童数に照らして考えてみると、8,771人とは認可保育所の待機児童数のみであって、真の保育ニーズ全体を示すものではないだろう。『潜在的待機児童数』がどの程度いるのか、政府はもちろんのこと、全国一の待機児童数を抱えるであろう東京都においても、しっかりと把握するため調査を行うべきだ。保育政策の対象者数に精確性を欠いたままでは、真の保育ニーズに適応できるはずはない。

これは、来月9日の東京都知事選挙で掲げられるべき大きな争点の一つなのだ。



<資料1:都道府県・政令指定都市・中核市別の待機児童数>

(出所:厚生労働省資料


<資料2:東京都の区市町村別の待機児童数>

(出所:東京都福祉保健局資料

2013年の自殺者数 ~ 3万人を下回ったが2.7万人以上いるという実状

2014-01-17 22:08:40 | 日記
昨日の朝日新聞ネット記事などで報じられている通り、警察庁の発表によると、2013年に自殺した人は2.7万人(前年比2.4%減)だったとのこと。4年連続の減少で、2年続けて3万人を下回ったが、2.7万人もの人が自殺している実状は看過し得ないだろう。

これまでの自殺者数の推移を見ると、下の資料1〔=自殺者数の推移(自殺統計)〕や資料2〔=自殺者数の長期的推移(人口動態統計)〕の通りだ。前者は警察庁の統計で、後者は厚生労働省の統計。当たり前ではあるが、両者とも同じ傾向を示している。

こうした自殺者数の動向は景気動向や政策動向に連動しているのではないかとの見方もあるが、内閣府の見解では、要するに諸説あるのだが、「定説はなく、今後の分析の課題となっている」ようだ。

確かに例えば、先のブログ記事でも載せた下の資料3〔=被保護世帯数、被保護人員、保護率の年次推移〕や資料4〔=一般会計税収、歳出増額及び公債発行額の推移〕と照らしてみても、生活保護の被保護世帯数の推移と自殺者数の推移は1990年代前半のバブル経済崩壊までは相関関係がありそうに見える以外はそうとは考えにくいし、景気・経済対策などの動向とも相関関係は見られない。

こうしたことに精確性を求めるのには無理があるのかもしれない。いずれにせよ、的確な自殺防止対策を地道に行っていくしかないと思われる。



<資料1>

(出所:内閣府資料


<資料2>

(出所:内閣府資料


<資料3>

(出所:厚生労働省資料)


<資料4>

(出所:財務省資料)