“雇用情勢改善”と景気停滞感のアンバランス

2014-05-02 20:40:31 | 日記
総務省統計局が今日、労働力調査の2013年度平均2014年1~3月期平均2014年3月分を発表した。それぞれの概要は次の通り。


<2013年度平均>
 ・就業者数6322万人(前年度比47万人増)
 ・完全失業者256万人(前年度比24万人減)
 ・完全失業率3.9%(前年度比0.4ポイント低下)

<2014年1~3月期平均>
 ・就業者数6281万人(前年同期比42万人増)
 ・完全失業者数239万人(前年同期比38万人減)
 ・完全失業率3.7%(前年同期比0.6ポイント低下)

<2014年3月分>
 ・就業者数6298万人(前年同月比52万人増。15か月連続増)
 ・雇用者数は5541万人(前年同月比56万人増)
 ・完全失業者数246万人(前年同月比34万人減。46か月連続減)
 ・完全失業率3.6%(前月と同率)


このブログでもしばしば掲載しているもので、2012年からの毎月の推移を見た直近のものは下の資料の通り。先のブログ記事などでも書いているが、賃金水準という点でアベノミクスの効能が現れているとは言えない。マクロ雇用情勢という視点では、安倍政権になってから好い傾向は着実に続いている。もちろん、個別のミクロ雇用情勢には差異があり、業種間での『雇用情勢格差』となって現れる。

今日の日本経済新聞ネット記事にあるような「雇用情勢は着実に改善が進んでいる」との政権側の評価について、それ自体は間違ってはいない。しかし、経済指標や賃金指標に改善の兆しが見られないので、国民経済社会全体の景気浮揚感は殆どないだろう。雇用情勢の改善傾向が景気停滞感の中で浮遊しているというアンバランス。

どの指標に注目するかで評価は変わってくるが、一般的に最も景気動向を体感させるのは実質GDPや賃金の水準のはず。第三の矢とそれ以降に実がないものばかりなのが痛い。それでは実質GDPも賃金も低位固定が精一杯だ。社会保障制度改革や原子力発電再開など英断を要する施策が打たれなければ、数字で現れようがない。経済は数字であり、数字は経済である。



<資料>

(出所:総務省統計局資料