政府の人口維持目標 ~ 『2060年代に1億人程度』への道筋

2014-05-04 07:53:13 | 日記
今朝の日本経済新聞ネット記事によると、政府が「50年後(2060年代)に人口1億人程度を維持する」との中長期の国家目標を設けるとのこと。


<記事抜粋>
・合計特殊出生率は12年で1.41。60年に同2.07以上に引き上げ、人口1億545万人程度にすることを目指す。
・出生率改善のため、国費ベースで3兆円規模の出産・子育て支援の倍増を目指す。
・「資源配分は高齢者から子どもへ大胆に移す」「費用は現在世代で負担」と明記し、国債発行を前提に高齢者に厚く配分している社会保障予算を見直す。
・労働力に関する現行の統計とは別に新たな指標も。20歳以上70歳未満を「新生産年齢人口」と定義し、雇用制度などの社会保障政策を設計。
・外国人材の活用に関しては「移民政策としてではなく、外国人材を戦略的に受け入れる」とする。
・一連の改革は今後5年程度で集中的に具体策を検討し、実施する方針。


このブログで再三再四提言してきたことが、ようやく政府中枢から本格的に政策案として提起されることを期待したい。人口を維持していく方策には多くの手法が考えられてきたが、要するに、若年現役世代の負担をいかに軽くしていくかである。そして、そのための社会インフラとしての子ども子育て制度や介護制度に関する諸改革が必須となる。

この記事では「国費ベースで3兆円」との数字が書かれているが、例えば、保育分野では先のブログ記事で書いたように、「必要となる保育士」46万人分の給与を全産業平均と同程度にする費用は年間1.7兆円、或いは介護分野では先のブログ記事で書いたように、介護職の給料引上げを試算してみると年間1兆円で全産業平均に並ぶことなどからしても、妥当な数字の単位と思える。

事ここに至っては、骨太の方針においてどのような作文がなされようとも、財源の在り処である年間100兆円を上回る高齢者向けを中心とした“年金・医療”に係る財政支出の削減に依る以外に妙案はない。有権者の多くを構成する高齢者に対してする政治的説得を、今後中長期に亘って行っていくしかない。それが、人口維持目標に向かう唯一の道筋ではないだろうか。

別の寄稿を始めとしてこのブログでも何度か書いてきたことだが、現在の一般的な高齢者の年齢区分である「65歳以上」を「70歳以上」、「75歳以上」、「80歳以上」に引き上げていく必要に迫られる時が来るだろう。全体の人口構成が高齢化するとなれば、高齢者・高齢世帯の定義も同様に高齢化させていくべきだ。

そして、遠からず日本は「64歳以下が65歳以上を支える国」から『69歳以下が70歳以上を支える国』になり、次に『74歳以下が75歳以上を支える国』になっていかざるを得ない。今の高齢世代は逃げ切るから、数十年後に高齢世代となる我々は覚悟しておかなければならない。だから、今から準備しないといけない。