介護人材確保 ~ 『潜在介護職人』の掘り起しには賃金UPの情報

2014-05-25 18:41:50 | 日記
今日の日本経済新聞ネット記事によると、厚生労働省は介護分野の人手不足を解消するため、介護福祉士が離職の際、公的な職業紹介機関に届け出てもらう制度を2015年度にも導入するとのこと。


<記事抜粋>
・高齢化で介護人材需要は25年度250万人と現状から100万人増やさなければならない。
・厚労省は、介護福祉士が仕事を辞める際に連絡先など情報を届け出てもらう仕組みを検討。
・今国会の医療介護推進法案に盛り込んだ看護師の離職時の届出制にならい、法制化を目指す。
・「潜在介護福祉士」は12年度に50万人を突破。これまで離職者の情報を把握する仕組みがなく、復職が進みにくかった。
・介護福祉士以外にも「潜在ホームヘルパー」が数十万~百万人。


介護サービス需要が激増する見通しであることは、政府見解などにもあるように周知のこと。当然、介護サービス需要に応えるべき必要人材数も増えていく。下の資料1〔=介護職員の推移と見通し〕は、このブログの他の記事で何回か掲載したものと同じ趣旨のものだが、介護サービス市場の拡大傾向は、必要人材数でも相当なものである。

介護人材確保に関する政策課題は幾つもあるが、その中で特に言われているのが、離職率と賃金水準だ。下の資料2〔=介護職員の離職率・賃金〕は、他産業などとの比較の一端を示している。この資料の趣旨は、介護サービス市場では、離職率が比較的高く、賃金水準は比較的低い、ということなのだろう。

離職率については、全産業平均や一般労働者と比べれば訪問介護員や介護職員は比較的高いと見れ取れるが、それほど大差でない。賃金水準については、産業計やサービス業に比べてホームヘルパーや福祉施設介護員は低いが、正規・非正規の比率や常勤・非常勤の比率を勘案した詳細は示されていないので、これだけでの評価は些か短絡的だろう。更に、離職率の差と賃金水準の差は、必ずしも連動しているわけでもないようだ。

先のブログ記事では、高い離職率を前提とした介護労働市場づくりが肝要であると書いた。それは相対的な離職率の高さではなく、絶対的な離職率の高さということ。介護保険財政の将来像や介護サービス需要にとっての必要人材数の見通しを考えると、介護労働市場においては、賃金水準の向上ももちろん重要ではあろうが、むしろ長期雇用と短期雇用の役割分担を明確にしていくべきだろう。

『介護最低賃金制度』の発想は、こうした理由にもよる。それは即ち、介護サービスでの働き方の選択肢を増やすことに繋がり、結果として賃金単価のUPである。『潜在介護職人』を掘り起こすには、この記事あるような人材情報の把握も重要であろうが、やはり何と言っても賃金UPを実際に行い、その情報を広げていくことが最も合理的であろう。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料