犬がおるので。

老犬から子犬まで。犬の面倒をみる暮らし。

かぞく。

2013年12月13日 | おせわがかり日誌


ある日、犬の散歩で見かけた光景。

よちよち歩きの女の子とお母さんがむこうからゆっくりゆっくり歩いてきた。




バス停にちょこんと座った2歳くらいの女の子。

ピンクの上着、デニムのミニスカート、厚ぼったいタイツ、お人形さんみたいなお顔。

ものすごくかわいい。




お母さんと一緒にバスを待ってるみたいだったけど、なんだかそわそわしてる。

お母さんもきょろきょろあたりを見回して、そわそわ。

あれ?大きな道路を挟んだ向かいの小学校から聴こえてきた。




「さえちゃーん!おかあさーん!」

渡り廊下から、めがねをかけた小学3年生くらいの男の子が、叫んでる。

気がついた女の子が、バス停の石造りのベンチに立ちあがって、手を振ってる。

あ、お母さんも。




「さえちゃーん!おかあさーん!」

はあと数回続き、ピンクの上着を着たお人形さんみたいな女の子は、

ベンチの上に立ちあがり、背伸びして、一生懸命手を振ってる。笑顔じゃなくて、真顔。

お母さんも周囲を気にしながら、控えめに手を振ってる。

小学校と、バス停の間を挟む道路が、なんだか川みたいに見えてきた。





家にいるときはそうでもないのに、別の場所でこうして会うと、

家族って恋しいというか、家族と離れているのがさびしいっていうか。

女の子がちっとも笑わないで、真剣に手を振ってる姿見て、そんな風に思った。

休み時間が終わって、それぞれがもとに戻り、やがてバスがきて、

女の子もお母さんも行ってしまったけれど、もう誰もいない、

だけどさっきまでそこにいた人たちのあとには、

何か残ってる気がして、それが何なのか、ちょっと考えた。