あるタカムラーの墓碑銘

高村薫さんの作品とキャラクターたちをとことん愛し、こよなく愛してくっちゃべります
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『照柿』 「第四章 燃える雨」 の読書記録

2006-08-16 23:59:43 | 何となく、タカムラー気分(お知らせ含む)
あああ、読み終わりたくない・・・。しかし読了せねば・・・と、デフラグかけている間に、読了。


これが最後の注意事項。文庫版『照柿』を購入されていない方、未読の方、読まれている最中の方で、「ちょっとでも内容は知りたくない」のであれば、今の時点でお帰り下さいませ。よろしくお願いします。


**『照柿』 読書記録**

●8月16日(水) 下巻 「第四章 燃える雨」 読了。(p319)

・いつもいつも高村作品の最終章やクライマックスは、グイグイと読み手をひきつけて、ページ繰る手を止めさせない。音楽に例えると、交響曲や協奏曲の最終楽章といった感じでしょうか。

・ひょっとして名前変わってるかな~? と思っていた「エイドリアン・ウー」。ろくでなし・女タラシ・男タラシの某侯爵と同じファースト・ネームというのが、個人的にイヤなの、腹立つの(笑) (某侯爵は「エードリアン」の表記。英語の綴りは当然どちらも「Adrian」)

・あれっ? 達夫さんが食事したのは、阪急○番街じゃなかったの~? ここにある鰻屋さん、東京の焼き方のお店なんだけど・・・。1993年当時は、関西の焼き方のお店があったのかな。それとも別の地下の食堂街か? 後で調べ直そう・・・。余談ながら、ご存知の方も多いでしょうが、関西では鰻は腹を裂きます。

・達夫さんと美保子さんが逃げて、大阪で会っているだろうという推測でも、合田さんは・・・というより一般男性は、「負けた」とは、思わないものなの? 嫉妬の炎はメラメラと燃え盛っているものなの? 諦めという単語はないの? 

・うわーん、JR大阪環状線利用者ならば誰でも分かるミスが、そのまんま残ってる~! 達夫さんと美保子さんの○○○の後、達夫さんが飛び乗ったのは「内回り電車」です! 大阪駅から「外回り電車」に乗った場合は、福島駅ではなくて、天満駅に行ってしまう~。単行本版『照柿』からの訂正部分で、実はここが個人的には一番気になっていた箇所だったりします・・・(苦笑) 芦原橋駅から乗った電車は、ちゃんと訂正されていたのに。それともこれは、校正担当者さんのミスか?

・家族・関係者に突然襲い掛かる青天の霹靂は、何といっていいのやら・・・。「人間」のあらゆる側面が、暴露されてしまうのですね。

・双子のようでいて、天敵のような警視庁と検察庁という組織だもの、加納さんの電話が合田さんに直接届かないのも、何となく納得。

文庫版『マークスの山』の出番の多さから、ひょっとして・・・と思っていたが、その予想に反して、加納さんの出番はちっとも増えてなかった。ガックリ。

・辻村さんと合田さんの「会話文」も、ことごとく縮小。「バカなことを聞いてくれるな」が、別の内容になってしまった・・・。まあね、辻村さんの初××の年齢なんか、よっぽどのコアなファンでない限り、知ってもどうってことないですが(苦笑)

・ちょっと前後しますが、お蘭が来たのは、あなたが手紙を書いたからですよ、合田さん。

・お蘭の言動チェック・・・というより、七係メンバーについて。十係・須崎軍団の爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい・・・。最初の第一声、てっきりペコさんかと思ったわ。

文庫版『マークスの山』の七係メンバーの描き方からすれば、この変わりようは仕方ないんでしょうね。うーん、読み手の私に、その覚悟と認識が足りなかった。

・達夫さんと合田さんの電話でのやり取り。合田さんの最後の台詞、これは二重三重の意味が込められているなあ、と思いました。クライマックスだし、余計なネタバレになってしまいそうなので控えますが、ただ、その言葉通りに合田さんがなった場合、義兄は真っ先にあなたを軽蔑し、見捨てるだろうことは間違いなかろう・・・。

・子が、最後のギリギリの状態で、無条件で求める存在は、やはり母か。

・何で合田さんが土井のお母さんに手紙を出したのかという理由に、今回初めて気づいた私は、どうしようもないおマヌケさん。自己嫌悪。

『神曲』『罪と罰』も、やっぱり読まなきゃなあ~。岩波書店の「図書」で連載されている、河島英昭さん訳の『神曲』が文庫化されたら、読みますよ。・・・って何年後の話・・・? 『罪と罰』は買ってあるのに手が出ず。ロシア文学って、なぜか「冬の話」だという思い込みがあって(笑) 『罪と罰』は夏の話だと知って、結構ショック受けてる私・・・。

文庫版『照柿』を先に読んで、単行本版『照柿』を後から読まれる方もこれから出てくるとは思いますが、どんな感想を抱くんでしょうか。楽しみなようであり、怖い気もします。

・沼野充義さんの解説は、読む価値あり! 久しぶりに手ごたえのある素晴らしい解説を読みました。(新潮文庫に収められている高村作品も、解説者と内容は充実していますね!) え? 文庫版『マークスの山』の解説はって? ・・・それはノーコメント(逃走)

***

予定を1日オーバーしましたが、5日間で読了できました。
完成までに約8か月かかった 文庫版『照柿』、読み応えがある作品であることは間違いありません。
高村さん、ありがとうございました。いつかまた、再読します。
秋からの新連載、「40代の合田雄一郎警部」に会えるのが楽しみです。

『照柿』読書記録 の記事をご覧の皆様、ご協力ありがとうございました。
読了しましたので、当ブログでのネタバレは解禁 と致します。よろしくお願いします。

さて、明日から封印していた他のブロガーさんの記事をチェック!
今日はさすがに疲れました。明日から出勤だから・・・。ああ、先週の仕事の続きか・・・イヤだなあ、また残業か・・・。



5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (naru)
2006-08-20 21:05:20
 からなさんこんばんは。

 下巻感想拝見しました。組長のドッキリ発言には私も読んでいて動揺してしまいました!高村さんも「●P」なんて言葉を知ってらっしゃるんですね(笑)でも私も単行本の台詞の方がやらしくて好きです。

 文庫版は全体としてすっきりしていて読みやすく、合田さんの狂気も軽減されていたように感じました。七係メンバーの個性も弱くなったなと。個人的には単行本を読んだ時の印象が強すぎて、あっさり風味の文庫にはやはり違和感を持たずにはいられませんが、そうなんですよね、こっちを先に読まれる方もたくさんいるわけで。初めての方にとっては文庫バージョンも十分暑苦しく、重厚な印象を受けるのかもしれません。

 からなさんの手元にある『罪と罰』とは違うのかもしてませんが、新潮社文庫の『罪と罰』(上下巻)の黒と柿色を基調とした装丁を見て、『照柿』意識してるんじゃあ?と思ったんですが、タカムラーの考えすぎでしょうか。
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訂正をば。 (naru)
2006-08-20 21:23:49
 新潮文庫の『罪と罰』が『照柿』よりも先に出版されていたはずですから、『照柿』を意識というのはおかしいですよね。コメントを投稿した直後に気付きました。恥ずかしいです~
返信する
言いたいことが山ほどありすぎて (からな)
2006-08-21 23:35:45
困ってしまいますね~。naruさん、こんばんは。



>私も単行本の台詞の方がやらしくて好きです。



ああ良かった、一人でも同意してくださる方がいらして!

文庫版はあまりにストレートすぎて、ちょっとひいてしまいました・・・。「○くざは、上品でない」と思われたのでしょうか、高村さんは。



>合田さんの狂気も軽減されていたように感じました。



「恋」にも「夏の暑さ」にも、もっと狂って欲しかったですね!



>七係メンバーの個性も弱くなったなと。



喋ってませんからね~。特に雪さんと十姉妹ちゃんが、目も当てられない。ペコさんの台詞も、お蘭に奪われてしまったし(苦笑)

一方で、合田さんに対する又さんのトゲトゲ・ギスギスした雰囲気は、増したように感じました。



>新潮社文庫の『罪と罰』(上下巻)の

>黒と柿色を基調とした装丁



なるほど~。こういう老舗の文庫は、例えば文字を大きくした改訂版を出すとすれば、装丁も変える場合も多いですからね~。・・・と無責任なこと書いていいのか・・・?(苦笑)



ちなみに岩波文庫版の『罪と罰』(全三冊)を持っています。

返信する
はじめまして (もじずり)
2006-08-25 11:59:01
からなさん こんにちは

 年に100冊ほどの海外ミステリーを読み飛ばしていた私が、昨年夏に体調を悪くして、回復期の秋に偶然手に取った「照柿」 陳腐な言い方をすれば「魂をゆすぶられるような」「臓腑をえぐられるような」感動で 「達夫! 達夫 好きや・・・」に涙して高村先生にはまるという典型的なコースをたどりました。

 「やおい」って何?、「腐女子」って何?と辞書を引いていた私がネット上をさまよった末に、“穏やかな”からなさんとみなわさんの所をチェックする毎日です。

 文庫版の感想を友人に聞かれて「んー。説明的になった」(←日本語になっていない)

文庫版では読み返すたびにその日の気分や体調で違う感動があるということはなくなりましたね。今まで単行本から文庫になってよくなったと思うことがないのですがどうでしょうか。

 からなさんの読書記録を読んで、「そうそう」と思ったり、「こんな解釈があるのか」と目が開かれる思いがしたりとても楽しみにしています。

 あー 7係シリーズが読みたい!!
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いらっしゃいませ! (からな)
2006-08-26 01:08:02
もじずりさん、はじめまして。コメントありがとうございます。



>“穏やかな”



穏やか・・・ですか?(笑) まあ出来る限り、そういうのは公にはしないように努めてはいます。・・・たまに表明はしていますが(苦笑)

だって、それだけが高村作品の魅力・特徴ではありませんものね。



>今まで単行本から文庫になってよくなったと

>思うことがないのですがどうでしょうか。



『照柿』に関して言えば、文庫版はまだ1回しか読んでいないので、現時点ではノーコメントで(苦笑) 少なくとも単行本版を読んだ回数と同じだけ読まなきゃ・・・と思っているので。



作品によっては、単行本版も文庫版も何度か再読するうちに、「どちらも良い」と思うものもあれば、「ああ、これは高村さんなら書き直すだろうなあ」と思うものもあります。

良い悪いの問題ではないなあと、まるで悟りをひらいた心境。



>読書記録

>楽しみにしています。



ありがとうございます!

もちろん、私の感想や解釈が「絶対」ではありませんので、もじずりさんの感想や解釈なども、ぜひ教えてくださいませ。



>あー 7係シリーズが読みたい!!



図書館での入手も厳しくなってきましたものね。もしよろしければ、メールして下さい。コ○ー、お譲りしますよ。



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