あるタカムラーの墓碑銘

高村薫さんの作品とキャラクターたちをとことん愛し、こよなく愛してくっちゃべります
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「山は山でも、今日は山崎の山!」 (文庫版上巻p63)

2006-07-26 00:50:01 | マークスの山(文庫版) 再読日記
これも唐突に始まりました、『マークスの山』 再読日記でございます。25日から読み始めました。文庫版『照柿』発売に備えて、そろそろ読んでいかないと間に合わないという焦りに似た気持ちもあって・・・。

今回は講談社文庫版でやります。これで読むのは、3~4回目かな?
(早川書房単行本版の再読日記は、いずれまた。『照柿』の文庫化がなかったら、今秋に読む予定だったのに・・・と、ぼやいても仕方ないんですが・苦笑)

ちなみに『わが手に拳銃を』は、昨日読了しました。再読日記は、あと3回で終わらせます。
(『リヴィエラを撃て』の再読日記は7回分も残ってるよ・・・。いつやるのよ、あんた?)

***

世に言う〈合田シリーズ〉は、全面改稿された文庫版が出たことで、単行本版〈合田シリーズ〉 と、文庫版〈合田シリーズ〉 に、スパッと分かれて考えていいと思う。つまり、全くの別もの、別作品、別シリーズで。

あくまで私見ですが、文庫版『照柿』を読むならば、文庫版『マークスの山』で造形されたキャラクターで、読むべきだと思う。文庫版『マークスの山』の文体と紡がれたストーリーで、文庫版『照柿』に臨むべきだと思うのだ。(同様に、単行本版も)

***

それではいつものように、文庫版『マークスの山』について、簡単に述べておきましょう。

第109回直木賞と、第12回日本冒険小説協会大賞を受賞した 単行本版『マークスの山』 (早川書房)を、惜しげもなく全面改稿したものが、文庫版『マークスの山』 (講談社文庫) になります。

これも『わが手に拳銃を』『李歐』の場合と同じく、どちらを先に読むかで、作品に対する読み手の印象がガラリと違ってくるはずです。

「どちらを先に読めばいいの?」と訊かれたら、無責任かもしれませんが、これは回答に困ります(苦笑) 今となっては出来ないけれど、先に文庫版を読んでいたらどうなっていたかな~と、想像もしてしまうので。
現在のところ、単行本版・文庫版の両方が出版されていますので、これも運試しと思って、お好きな方からお読み下さい。読み手の「選べる自由」を尊重します。

「そんなのいらん!」という方には、単行本版→文庫版の順で。但し、読む期間はしばらく空けた方がよろしいかと思います。内容をヘンに覚えていたら、まるで間違い探しのような気分を味わって、純粋に物語を楽しめなくなるのでは・・・と危惧します。

「文庫にならなきゃ読みません」という方には、いっそ潔く文庫版だけ読むというのも、ありかもしれません。

・・・結局は、「読み手の選ぶ自由を尊重」していることになりますが(苦笑)

それではいつものように、注意事項。
最低限のネタバレありとしますので、未読の方はご注意下さい。よっぽどの場合、 の印のある部分で隠し字にします。

***

2006年7月25日(火)の文庫版『マークスの山』 は、一  播種のp82まで読了。
うわーん、合田雄一郎さん登場まであと1ページ!! それは次回のお楽しみに・・・♪


【主な登場人物】 は、今回の再読日記では、やりません。ネタバレ。  一番の問題が、困ったことに、マークスくんなんですよね。何書いてもネタバレになってしまいそうで。 


【今回の警察・刑事や、検察・検事に関する記述】 
刑事を主人公にした小説を読んだのは、単行本版〈合田シリーズ〉が初めてなんです、多分、ね。だから、どんな組織なのか、どんな捜査をするのか、どんな区分や特徴があるのか、初めて知ったことがたくさんあります。
それらについて、個人的にピックアップします。(但し、それが正しいのか否かは、私には判断できないので、ツッコミはご遠慮下さい・苦笑)

★犯罪の被疑者は、お縄にした限りは少々頭がおかしくなろうが何だろうがまず送致だ。 (文庫版上巻p31)


【今回の名文・名台詞・名場面】

★鉄格子の放った磨りガラスの窓から、夜陰の明かりが射していた。闇が光るものだというのを知ったのは、週一回この部屋に通うようになってからだった。その輝く闇の中で、ベッドの寝具から首だけ出している一人の若者の目が恒星のように光った。 (文庫版上巻p53)


『リヴィエラを撃て』 再読日記でも取り上げましたが、同じような描写があったなあと思いまして、取り上げました。
ネタバレ。  この若者が、『マークスの山』の主要人物の一人です。 

本格的な始動は、次回読了分から。

***

【2006.7.28. 追記】
【今回の警察・刑事や、検察・検事に関する記述】 のコーナーを追加しました。


2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (minoring)
2006-07-26 22:46:27
こんばんは。

私は文庫版を最初に読みましたよ。

合田シリーズのイメージが先行していたせいかもしれませんが、そんなに巷で言われるほど合田さんの印象が強くないなあと思いました。

その1年後くらいに単行本を読んで、「ああこれだったのか」と思ったのを覚えています。

文庫から読むか単行本にするか、確かにある意味運試しですね。
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どちらが先でも、合田さん。 (からな)
2006-07-27 00:56:42
minoringさん、こんばんは。先日はメールをありがとうございました。



なるほど、私とは逆のパターンで『マークスの山』を読まれたのですね。



単行本版を読んでから、文庫版を手にした時は、「どれくらい変わっているのか」というドキドキ感を味わいました。

minoringさんもきっと、文庫版→単行本版を読んだ時は、同じ思いを味わわれたことと思います。



>合田さんの印象が強くない



文庫版の合田さんは単行本版より、何ていったらいいのか、合田さんの自己の深い部分で、「ちょっと壊れている」感じがしました(笑)

単行本版は、壊れているにしても、若々しいというか、荒々しいというか。

どちらも魅力的なんですが・・・。



私も昔、ある方から教えていただいたんですが、約80版ほど版を重ねている単行本版も、実は何度か細かい部分が変更されているんですって。もしも余裕がありましたら、古書店などで探してみて下さい。



最も違いが判りやすい部分は、単行本194ページに、又三郎さんの「お蘭には負けたぜ」の台詞があるかどうかだそうです。

通な方は、この台詞のある単行本と、ない単行本の両方を所有しているようです。

私も探しに探して、ようやく見つけることが出来ました。

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