あるタカムラーの墓碑銘

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『我らが少女A』 加納祐介さんの登場場面の毎日新聞連載時と単行本の抜き書き・比較 その4

2019-08-08 00:24:48 | 我らが少女A 雑感
その3 の続きです。

引用部は、○印・・・毎日新聞連載時  ●印・・・単行本  で区別します。 異なる部分は下線を引きます。 その後、変更部分を指摘する、という形式です。

メインは加納祐介さんに関連するところですが、大空翼くんには岬太郎くんが欠かせないように、加納さんには合田雄一郎さんが欠かせない部分が出てくるので、その点も取り上げている場合があります。

ついでに加納祐介さんに該当する固有名詞・名詞・単語等は強調しています。

電話の相手が推測したとおり、合田はオリンピック公園に面した駒沢公園通りを歩いている。隣には今日退院した友人の判事がいる。玉川通り近くのちょっといい鮨屋で退院祝いをし、締めはウイスキーだろうと言う友人の口車に乗って、公園のすぐそばに建つ友人のマンションへ向かっているところだ。 (第3章 17)

電話の相手が推測したとおり、合田はオリンピック公園に面した駒沢公園通りを歩いている。隣には、今日退院した友人の加納判事がいる。玉川通り近くのちょっといい鮨屋で退院祝いをし、締めはウィスキーだろうと言う友人の口車に乗って、公園のすぐそばに建つ友人のマンションへ向かっている、まさに最中だ。 (単行本p135 15)

【相違点】

○隣には今日退院した友人の判事
●隣には今日退院した友人の加納判事

○ウイスキー
●ウィスキー

○向かっているところだ。
●向かっている、まさに最中だ。



電話を終えたところで、そら、の勘が当たった、野川事件がおまえを追いかけてきたと友人が謳うように言い、笑う。きっと、女優志望の美少女がおまえを呼びに来たんだ。どうかもう少し付き合ってくれ、って。 (第3章 17)

電話を終えたところで、そら、の勘が当たった、野川事件がおまえを追いかけてきたと加納が歌うように言い、笑う。きっと、女優志望の美少女がおまえを呼びに来たんだ。どうかもう少し付き合ってくれ、って。 (単行本p136 15)

【相違点】

○友人が謳うように言い、笑う。
●加納が歌うように言い、笑う。



○●その男、おまえに何かサインを送ってきているんだろう。一つ間違えると、今度はおまえがストーカーされるぞ。気をつけろよ。 (第3章 17) (単行本p136 15)

これは加納さんの発言。 相違点はありません。 これが初めてのことです。


境界型人格障害のような危うさはなく、悪意もないのは確かだが、浅井がふつうの理解を超えた思考回路で生きている以上、友人の言うとおり、まったくの無害ではありえないというのが正しい答えだろう。
ウイスキーはロックでいくか。マンションの階段を上がりながら、友人が楽しげに言う。いや、今夜はストレートだ。合田は応じる。
 (第3章 17)

浅井忍には境界型人格障害のような危うさはなく、悪意もないが、一般人の理解を超えた思考回路で生きている以上、加納の言うとおり、何が起こるか分からないというのが正解ではあるだろう。
ウィスキーはロックでいくか。マンションの階段を上がりながら、加納が楽しげに言う。いや、今夜はストレートだ。合田は応じる。
 (単行本p136 15)

【相違点】

●浅井忍には (新規追加。新聞連載に無し)

○悪意もないのは確かだが、浅井がふつうの理解を超えた思考回路
●悪意もないが、一般人の理解を超えた思考回路

○友人
●加納
(2回とも変更)

○まったくの無害ではありえないというのが正しい答えだろう。
●何が起こるか分からないというのが正解ではあるだろう。

○ウイスキー
●ウィスキー



そういえば野川事件の少し前、最高裁で初めて違法収集証拠排除法則を適用した判決が出て、加納と議論になったのだ。合田は思いだす。違法な逮捕の後に得た証拠だからという理由でその証拠能力をダイレクトに否定した判決は、現場には素朴に<?>だった。加納は、先行する手続きが違法の場合、それに続く証拠収集手続きに違法性が継承されるという従来の考え方が葬り去られたわけではないとして屁理屈をあれこれ並べてくれたが、判決への懐疑は残ったままだ。
その加納は今日から職場復帰して、三分咲きの桜の下を高裁へ登庁し、快気祝いの縮緬小風呂敷を手に、部総括以下への挨拶回りに忙しい。合田も一つ貰った縮緬の小風呂敷は、教科書を包むのにちょうどいい。
 (第3章 18)

そういえば野川事件の少し前、最高裁で初めて違法収集証拠排除法則を適用した判決が出て、加納と議論になったのだ──合田は思いだす。違法な逮捕の後に得た証拠だという理由で、その証拠能力をダイレクトに否定した判決は、捜査の現場には素朴に<?>だった。そのとき、現役判事の加納、先行する手続きが違法の場合、それに続く証拠収集手続きに違法性が継承されるという従来の考え方が必ずしも葬り去られたわけではないと、屁理屈をあれこれ並べてくれたが、判決への懐疑は消えず、いまも残ったままだ。
その加納は今日から職場復帰して、三分咲きの桜の下を高裁へ登庁し、快気祝いの縮緬小風呂敷を手に、部総括以下への挨拶回りに忙しい。合田も一つ貰った縮緬の小風呂敷は、教科書を包むのにちょうどいい。
 (単行本p139 16)

【相違点】

○加納と議論になったのだ。合田は思いだす。
●加納と議論になったのだ──合田は思いだす。

○証拠だからという理由で
●証拠だという理由で、

○現場には
●捜査の現場には

○加納は、
●そのとき、現役判事の加納は、

○葬り去られたわけではないとして
●必ずしも葬り去られたわけではないと、

○判決への懐疑は残ったままだ。
●判決への懐疑は消えず、いまも残ったままだ。




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