第28話 「正義の揺らぎ」
「がはははは! どうした全然効かないぞ!!」
「っく・・・! 4・5班も戦闘準備、全員に火炎弾装備の指示を」
「了解」
炸裂型の弾丸を次々と当てるもののまったく有効打にはなりえなかった。
「まったく人間は脆いな!!紙くず同然だぜ!」
そういいまるで遊び道具を投げる子供のように人間を投げ捨てた。
「これなら俺が出ることもないな!出よ!キャッチー!」
「アニキー!!」
キャッチー達がどこからともなく現れて場が混乱し始めた。
「っち・・・4班は1・5班のフォロー、全員態勢を立て直す、一時撤退だ!」
「了解! 作戦コードα!もう一度繰り返す作戦コードα!」
「がはははは! こりゃいいやこの調子で全員倒してやるぜ!!」
「だめです!! こちら1班・・・もう残り3人・・・全く刃が立ちません!」
「っち・・・・」
そのころハンラマンは物陰に避難していた。
幸いレッドにダメージはない、どうやら人間の作った武器ぐらいでは致命傷は与えられないようであった。
「っく・・・まさか攻撃してくるなんて」
「本当に・・・ボク達テロリスト扱いされてるなんて・・・・」
「くそっ・・・・」
珍しくレッドが感情的になっている。
「俺達は・・・一体何を信じて・・・何を守ればいいんだ!」
「・・・・・・」
「俺達の正義は、常に目の前にあるものじゃないのか?」
聞き覚えのある声がした、後ろを振り向くとシルバーの姿がある。
「あんた・・・この状況がわかってるのか?」
レッドは冷たい目線を送るように言い放った。
「俺はたとえ1人になっても戦う」
「・・・っく!たまにだけ出てきてそんな調子のいいことばかり・・・」
「レッドよしなよ!」
「いや・・・俺も同じ意見だな・・・」
「・・・・・・・・・ボクは・・・」
「ピンクも・・・ブラックはどうなの!?」
その言葉に返事はない、無論ブルーも迷っていた。
「俺は何を言われてもいい、オッパーブを壊滅させるために・・・俺は戦う!」
「うぇい・・・遅れてきたらなんだか真剣な話じゃないっすか」
ようやく用事を終わらすことができたウィカがきたのであった。
「イエロー・・・」
「何があったかしらないけど、俺もシルバーの意見に賛成だね、さっさとこいつら倒して平和にして飲もうぜ!」
「俺はたとえ1人になっても戦うさ」
「寂しいこというんじゃねえっすよ~、俺もいくぜ~!」
2人だけ戦場へと向かうのであった。
「・・・・・・」
「ね・・・ねえ!2人とも!!」
「じゃあ、聞くがよ・・・ブルーあんたも守るはずの人間に攻撃されたらそんなこと・・・」
ピンクがブルーに突っかかった。
「・・・そんなこと、わかるはずないだろ!」
「ま・・・まあ二人とも!」
「ブラックも日和ってるんじゃねえよ!」
「ボクはそんなつもりじゃ・・・」
4人はそこから動く気配はなかった。
「ハンラマンさんじょ~う!」
「なんだハンラマン!逃げ帰ったんじゃないのか!? ほう、新手か」
「よし 超脱衣! 下着フォーム!!」
「俺が前に出る、そこの警察達を襲ってるキャッチーを倒してくれ!」
「おっけい、倒しちゃって俺の出番なくさないでくれよう!」
イエローはなぜかすでにフラフラであった、その奇妙な動きで次々とキャッチーを蹴散らす。
まるで風にでもなったかのようにキャッチーの群れの間をすり抜けていった。
「まったくもー、いつもなんでこんなに数がいるんすかー」
「アニキー!!アニキー!」
圧倒的な力でキャッチーを倒していくが数が多いのでなかなか減らないでいた。
「レッド・・・・ピンク・・・ブルー・・・」
ブラックだけ一人立ち上がる。
「ボクも・・・正義って奴をまた信じてもいいと思う・・・・」
「てめー・・・一人だけ正義面かよ!」
「・・・・レッド・・ブルー・・・2人は来てくれるって信じてますよ」
「おい!お前・・・俺はどうなるんだよ!」
ピンクが不服そうに突込みを入れた。
「・・・・・お前は突っかかってきたじゃないか!」
そういいブラックも戦場へ向かう。
その頃イエローは多数のキャッチー相手にいらいらしていた。
「アニキーー!」
「うぇ~い!! あ~~、イライラが最高潮っすよーー!!!」
キャッチーが溢れるように沸いてきた、いつもなら何人かいるので楽勝なのだが今回はたった一人でキャッチーを相手にしている。
「たった2人だと辛いな!?ハンラマン!」
怪人もシルバー一人の相手ぐらいなら楽勝といった表情であった。
「っち・・・イエロー早くキャッチーを倒してくれっ」
「うぇい・・・キャッチーが多すぎててんてこ舞いっすよ~」
「まあキャッチーなんぞやられても俺がいるから、お前らはここで負けてしまうわけだがな!」
「ま・・・まて!」
「ん? なんだ戻ってきたのか!」
怪人はまだ余裕な表情だった。
「イエロー!今そのキャッチーを倒すの手伝いますよ!」
「さんくすー!よぅし、ここからが本領発揮っすよー」
2人でキャッチーを倒すことによってどんどんとその数が減っていった。
「ようし、いっちょあがり、次はあの怪人だけだぜ」
そのころシルバーは一人で怪人と戦っていた、その屈強な肉体の前になかなか有効な攻撃が与えられずにいた。
「一瞬でもいいから隙を作らないと・・・」
「シルバー助けにきたぜ!」
「助かった・・・・」
「ほほ?キャッチーを全滅させたか!」
ブラックはいつものように攻撃をしかける、だが今までの怪人よりも強いのかあまり効果がない。
「っく・・・ボクの攻撃じゃびくともしない・・・」
「効かんわ!!」
3人は一度距離をとることにした。
「なんだ!逃げるのか!」
「うぇ~い、お前をやっつける作戦会議っすよ!」
そういい物陰に一度隠れた。
「うぇい・・あっちしょぼくれてる3人はまだこないのか?」
「今はいい・・・迷いのある戦士なんて邪魔だ」
「・・・とりあえずボクだけはこっちにきました・・・後はあの3人を信じるだけ」
これは3人にとっても辛い戦いになることは目に見えていた。
「隊長・・・あいつ達・・・」
「ああ・・・わかってる、だがな俺達はあいつ達全員を撃退しろという命令が下っている・・・そむくわけにはいかない!」
そういい隊長と呼ばれた男は指示をした。
「残ってる人数を一度招集、その後フォーメーションを組みなおして再度攻撃を開始する・・・、俺達だって戦えることを証明するんだ!」
「了解!」
一度崩れた陣形などまるでもともとなかったかのように完璧に陣形を組みなおす、その辺は何度も訓練されているらしく寸分の狂いもなくまるでこうなることを知っていたかのようにスムーズに終わった。
「1班は俺とともに待機、残り全員で目標MB18にのみ集中砲火・・・・、まずは一体倒す!」
「了解!」
「脚を集中して狙え!」
「砲撃準備、2の合図とともに一斉発射・・・1・・・・2!」
「撃て!」
合図とともに携帯男爵の足元に攻撃が集中した。
「ぐぁお!? なんだ!!?」
人間の攻撃で足元が少しだけぐらつく、そのおかげで一瞬注意がそれた。
「よし注意が逸れた!」
「っく・・いまなら大技で倒せるのに!」
「早くフォーメーションを組むんだ!」
「レッド・・・・!? みんな!!」
「うぇい、遅いっすよー」
「悪かった・・・俺達の覚悟はきまったよ」
レッドの声にほかの2人も頷いた。
「よし!いくぞ! ハンラ流奥義!」
ハンラフォースブーストキーーック!!
「ぬぁ・・・!? 油断してしまった・・・ぐぁあああ!!」
突如無駄にセクシーな女が登場する、その女は怪人に薬を渡した。
「あらぁ?せっかくクリュー様に強化してもらったのにその様ぁ?」
「く・・くそぉ」
「なら、これをあげる・・・・最後まで暴れて頂戴?」
「へへ・・・・わかったぜ!」
もらった薬を躊躇なく口へ放り込み巨大化する。
「この遊園地ごとぶっ壊してリサイクルしてやるぜ!」
「司令!」
-わかった! 今から送る!-
そういい3体のメカは合体した、シルバーのロボットであるシルバーパックももちろんきている。
「2対1だと!?」
『お前は強敵だからな・・・特別に2体で攻撃してやる!』
「ぬぬ・・・食らえ!巨大携帯ヌンチャク!」
そのスピーディーな攻撃はまるで生き物のようにピクシーロボを襲う、だがこちらには味方であるシルバーパックがいた。
『油断するな!こっちにもいるぜ!』
「ぐぁ・・・卑怯だぞ!」
怪人がシルバーのほうを向く。
『こっちにもいるぜ!』
ピクシーが隙を突き背後から攻撃した。
「くそっ! 卑怯だぞ!」
『だから油断するなって!』
何度も何度も挟み撃ちで攻撃され敵は自棄になった。
「むがああああ!!! どいつもこいつも!」
そうしてタダ闇雲に突っ込んでくる。
『よし!合体だ!』
『わかった!』
そうしてピクシー・ロボとシルバー・パックが合体する。
『エネルギーチャージ!!』
「うがああああああ!!」
怪人の巨大ヌンチャクが振り下ろされ攻撃が当たる瞬間であった。
『エネルギー100%!! ファイヤーー!!!』
高出力のエネルギーが発射された、この攻撃には耐えれず吹き飛んでしまう。
「くそっ・・・・卑怯だ・・・ぞ」
そういい爆発するのだった。
「シルバー・・・助かった、ありがとうな」
「悪かったな・・・・」
「ああ・・・たまにしか助けにこれなくて悪い、だが俺はまたピンチな時に駆けつけられるようにする!」
「おう!」
シルバーとレッドは熱い握手を交わしたのだった。
「っと・・・まあ、これから帰るんすけど~」
どうやらウィカがあまりいい気分ではないようだった。
「・・・・・わ・・わかった! 今回はぐずった分俺たちが・・・」
ユズィとモディ、最後にしぶしぶとリーが返事をした。
「よし、鳥定だな・・・」
「でも・・・最近行きづらいよね・・・」
「ん~・・・・・」
3人は考えた。確かに今まで何度も騒ぎを起こしてしまったので鳥定はあまり気乗りがしなかった。
「よ・・・よし、今日は俺が立ち飲みでも・・・」
「お!さすがリーさんじゃないっすか!」
全員でリーの提案に乗り、駅前の立ち飲み屋に行くのだった。
次回予告
ゼロ「クック・・・」
クリュー「何を笑っておる?」
ゼロ「いやぁ・・・クックック・・・」
ミンスー「多方・・・新しいおもちゃでも見つけたってところかな?」
ゼロ「クック・・・」
クリュー「まあ良い、で?次回は?」
ゼロ「ク・・クククク」
次回 第29話「ゼロ 始動」 お楽しみに