脱衣変態だよね
もはや
第38話「白衣の天使」
「ん・・・・・んぁ・・・」
ユズィはガンガン痛む頭を抱えながらおきた、そしてあたりを見回すと全く知らない風景が目に映る。
「・・・・・・どこだ?」
ユズィの記憶にあるのは刺身番長で調子に乗り始めてカクテルを一気飲みしたあたりからであった。
「ってぇ・・・頭が・・・」
頭を触って見ると包帯が巻かれていた。
「あ、ようやく起きましたかあ」
そこにはまるで春風のようにさわやかでやさしく、まるでそのまま幸せな世界へといざなうかのような心地よさがあった。
「ぁあっ・・・ええと・・えと確か・・・ミミさんでしたっけ?」
ユズィは一目ぼれしてしまった看護しの名前をビリー経由で聞いていた。
「ふふっ、あれ?なんで知ってるんですか?」
「あっ・・・いやっ・・・可愛らしい看護士さんなんでつい・・・」
「ふふっ、面白い人ですね」
「お・・・おおおお、俺はふざけてなんてないっすよ!!」
「はいはい、ありがとうございますね~」
そういい見回りのチェック表にサインをして部屋を去った。
「ああ・・・・なんだろうこの春を髣髴させるような香り・・・まるで俺の心に咲いた一筋の桃の花のように白く美しくまるで人々の黒く荒んだ心を浄化するような・・・ん~~~~もう今すぐ抱きしめたいっ!!!!」
そういい枕を思いっきり抱きしめる。
「え?抱きしめたいって?」
「ミミさんぅ!!?」
ユズィは驚いてのけぞったが目の前にいたのはまるでアメリカザリガニの背中のような顔をした婦長だった。
「ちがっ・・・これは誤解です・・・」
「不健全ですよ・・・不謹慎です・・・」
明らかにおばさんな婦長はまるで乙女のように体をくねらせ始めた。
「こ・・・ここは病院だからねっ!!!」
そういい頬を赤らめながら走り去ってしまった。
「あぁ・・・・なんか変な勘違いされた・・・・」
ユズィはとてつもなく落ち込んだ。
その後今日一日はミミが目の前に現れることが無くユズィは死ぬほど落ち込んでいた。
次の日
「やあ、元気にしてます??」
そこに現れたのはモディと司令とアジスだった、他のメンバーは仕事などでこれないというのでお見舞いの品を預かってきていた。
「はい、この漫画はビリーちゃんから、そしてウィカさんからはジュース」
「あれ・・・レイさんとリーは?」
「レイさんは”無茶はやめなさい”っていう激励が・・・」
「あとリーさんなんだけどね、カードの大会行ってるほうが有意義だとか言いながらそわそわして出かけたよ」
「でも・・・誘ってほしい空気は出してた・・」
本当にリーはツンデレだなと4人で笑いながらしゃべっていた。
「えー・・・覚えてないっすよ」
「嘘じゃないって、ユズィちゃんが突然壁を殴ったあとに急にトイレ行くっていって・・・」
「そして戻ってきたら急に倒れたんだよ」
モディの話もアジスの話もいまいち信用できなかった。
「まあ、何はともあれ大事には至らなくてよかったよ」
司令がとりあえずまとめた。
「ここは病室ですよ、静かにしてください。相室の人に迷惑ですよ!」
またミミが現れた、それによりユズィの思考回路は停止した。
「ミミさっ・・・・・・・」
「はい、すみません・・・ん?」
3人で生暖かい目線が送られた。
「へぇ・・・・ユズィちゃんって、ああいうタイプが好みなんだねえ」
「確かに可愛いな」
「ば・・・っ!! そんなことないっすよふつーっすよふつう!!」
「じゃあ、俺が告白しちゃおうかな・・・」
アジスがからかってみる。
「だぁ!!!それはダメだ!!」
そして再度ミミが現れる。
「もう!さっきから何を話してるんですか? そんなに元気なら退院してください!!」
「そ・・・そんなぁ・・・俺はこんなに重症なのに・・・」
「そんなに大声出してはしゃいでるじゃないですかっ!」
「俺のハートはズキズキ痛むんだぜ!!」
「・・・?心臓の病気ですか、なら今から内科の先生呼んできますよ?」
「う・・・・内科の先生って言ったら・・・」
「そうです、アキモト先生です」
「ひぃいいいいい!!!」
「どうしたんです??」
司令がユズィの怯え方を見て心配そうに見た。
「だいぶ前・・・おなかが痛くてここの内科にお世話になったんですが・・・・・あんなに・・・髭がじょりじょりで・・・胸板は厚くて・・・ってか何で医者なのにツナギなんですか!!」
「もう!また騒いで・・・・、本当に呼んできますよ!」
「ごめんんさいぃいい! もうあんな舐めるような目線はいやだぁああ!」
「長居するのも悪いしね・・・・」
このままだとなんだか収拾がつかなくなりそうなので、3人は帰ることにした。
「まぁ・・・元気そうでよかったよ」
「ユズィちゃん、みんなが心配してるから早く元気になるんだよ?」
「もうこの病院ならどんな怪我でもすぐ治せそうですよ!」
ユズィはこんな可愛い看護士さんがいるのなら、といいたかったがそこは抑えた。
「っち・・・このままではハンラマンによって縮小される一方ではないか・・・」
クリューは新店舗の話も予算面のことで中止になったことに腹を立てていた。
その様子をキャッチーが止めようとするが全く止まらない。
「ええい!貴様らもだ、いい加減な仕事なんてしおって!」
そういい思いっきり殴った。
「ぐぁ・・・すみません」
「いいか! 料金説明をしてでもつれて来い!! 飲み放題、揉み放題ということも忘れるな!」
「は・・・はい、アニキー!」
「まあまあ、落ち着いてくださいよ」
ミンスーが怒鳴り散らすクリューに割って入った。
「貴様・・・、のん気に構えている余裕などあるつもりか?」
「ええ、俺には切り札がありますからね」
その言葉に一瞬固まる、だがすぐに立て直して聞き返した。
「その切り札とやら、期待してもいいんだろうな?」
「全く信用がないですね、無能のゼロと非力なブリトニーと比べられちゃ困りますよ」
「それほど言うのだからな・・・・もし失敗でもしたら・・・」
「ええ、責任はきちんと取らせていただきましょう、ではこれから作戦に取り掛かりますので」
そういい堂々とその場を去っていった。
「っち・・・相変わらず気持ちの悪い奴め・・・」
クリューははき捨てるように言い放った。
そのころハンラマン達は。
仕事帰りのウィカがとおりすがりのリーを見つけた。
「あれ、リーさんでねえっすか~、どうしたんで?」
「ん?ああ、明日はちょっと用事があってね」
「ずいぶん服装がキマってますなあ、デートっすか?」
ウィカに図星をつかれたのだがバレバレの態度で返す。
「ん・・・・いや、後輩に誘われたんですよ」
リーがさりげなく高そうなジャケットを見せる。
「ふーん、まあ・・・ってことは今日は来ないっすね?」
「そうですね、みんなによろしくいっておいてくださいよ」
「うぇい、OKわかりゃした」
「じゃあ、また今度行きますよ」
そういいリーは不自然なほどにばっちり決めた服装で駅へと向かった。
「やあ、キョウコちゃん待った?」
「ううん、5分ぐらいかな?」
「悪いちょっと知り合いにあってさ、絡まれたんだよね」
「そうなんですか~、ええと・・・映画でしたっけ?」
「そうそう、とっておきの映画があるんだよ」
そういいリーは手もつながず並んで歩き始めた、どうやらそこまで親密な関係にはなっていないようだった。
「また・・リーさんの楽しい話が聞きたいです」
「そうか? 仕事の話とか、馬鹿な仲間の話ばっかりだけどね?」
謙遜しているのか馬鹿にしているのかわからない口調でしゃべり続ける。
「そういえばよ、ビリーっていう馬鹿な奴がいるんだけどさ、裏切りかけたんだよね~仲間を見捨てたっていうか?」
「え~、そんな人いるんですか~?ひどいですね!」
「だろ?だから俺が説教してやって今はもう改心したみたいなんだけどな」
「さすがじゃないですか!」
「まあな」
「他にはあるんですか?」
「そうだなー、モディっていうちょっと地味な奴がいるんだけどな、今はそいつが心配なんだよ」
「リーさんって優しいんですね!」
「それほどじゃねえよ」
誇らしげに言うリーの顔はなんだか輝いていた。
その頃、アトモスフェアでは。
「クシュッ!!!!・・・げほっ・・ ハクシュン!!」
ビリーは特大のくしゃみを3発ほど放った。
「うあ・・・ビリーちゃんびっくりさせないでよ・・・」
もう読み終わった雑誌を読み返すモディが驚いてビリーにしゃべりかけた。
「ごめん・・・なんだか急にくしゃみが・・・」
まだ鼻がむずむずするのか鼻をすすっていた。
「ビリーさん風邪ですか?」
レイさんが心配そうにこちらを見た、だがビリーは風邪っぽさはないのでおそらくただのくしゃみだと言った。
「もしかしたらリーさんが噂してんじゃねえっすか?」
「もしかしたらユズィちゃんかもよ?」
「もしかしたら指令がかも?」
アジスまでもがからかい始めた。
「や・・・やめてくださいよ、どんだけ恨まれてるんですか・・・」
「冗談だって、ほらほらさめないうちに!」
ウィカが熱燗でも入れるようにコップにコーヒーを入れた。
「・・・クション!!!!」
「まぁ・・・明日医者に行ったほうがいいよ?」
「そ・・そうする」
「クッシュン!!」
「あれ・・・?今度はモディさん?」
「あれ・・・おかしいな、ビリーちゃんのでも感染したかな?」
「えー・・・」
こうして戦士たちの夜はふけっていくのであった。
次回予告
マネジャー「くそぉ・・・・こうなったら・・・我々キャッチーの実力を見せてやる!」
キャッチーA「アニキー!」
マネジャー「さて・・・作戦会議といこうじゃないか・・・何かいい案はあるか?」
キャッチーB「アニキー!」
キャッチーA「アニキー!」
マネジャー「・・・・・・」
キャッチーC「アニキィーー!」
マネジャー「だめだ・・・なんか失敗しそうな気がする・・・」
次回 第39話「マネジャー出陣!」 お楽しみに