ハンラマンを書き始めて
よくわからない暴走が始まったのはここからだった
第3話 「完成!俺らの基地」
スー司令を取り戻して2日、8割ほど完成していた基地も無事に仕上がった、コレによって平和の拠点は護られることになった。
「あとはピクシーロボの完成だけだ・・・」
「スーちゃん、何か言った?」
「あ・・・いや、何でもない!」
実は、ロボット製作は仲間内でも内密にして欲しいと依頼主は書いていた。
「よし! 打ち上げにいくぞ!」
皆で近くにある居酒屋チェーン店、”鳥定”へと向かった。鳥定は鳥と名前に入ってるくせに、鳥の料理があまり強くなく、むしろ魚の干物などが推しの商品だったりする。
「かんぱーい!」
そんな事など関係ないと言わんばかりに、威勢のいい声で乾杯をして皆酒が進む。
「んじゃ、リーの真似やりまーす、”ったく、しゃーねーなー!”」
「いいぞー! ビリー!」
「ふざけんなよ、似てねーし」
「うぇーい、今は白鳥の日本酒っすよ~」
「あははは」
どこにでもあるようなお店の風景、まるで平和そのものだった。
だが突然、店の奥から悲鳴が聞こえた。ただの酔っ払いのイザコザではないらしい気配を察知した5人は様子を見に向かうことにした。
「うひぃいーーー! 盛り上がってるんじゃないすかぁー?」
「きっと連中はアレっすよ、ブブゼラっすよ」
「ブブゼラっすか? パネエっすな」
「この2人はもうダメだ、置いていこう・・・」
「だな、こいつ等いても足でまといだしな」
「うぇい、2人は後でお説教っすね」
「またまたまたー、みんなぁ~」
「ほんっともう、エイリアンなんてワンパンっすよー」
「さすがじゃないっすか、ビリーさん」
ビリーとユズィが明らかにヤバイ状況だったのでおいていくことにした。
お店の奥の個室の部分から人が逃げてくる、どうやらそこでトラブルが発生しているようだ。
「俺はお通し男爵! こんなまずいお通しが食えるか!」
小さい子供ばかりを狙う卑劣な怪人”お通し男爵”がいたのであった。
「そこまでだオッパーブ! 今すぐやっつけてやんよ、超脱衣!」ウィカが威勢良く声を発する。
「出たなハンラマンめ!」
コレだけを聞くとどっちが悪役だかイマイチ分からない状況であった。
しかし酒の場での怪人の登場は敵怪人にとっては誤算であった、そうコチラには”酒に酔えば酔うほどわけの分からなくなる”酔拳のイエロー”がいるのである。
「うぇぃ! ちょっくらあの怪人にお説教してくらぁ」
イエローの単独行動、だがピンクもブルーもお酒が回っているので止める気配がない。
「ちょー迷惑なんすけどー」
「なにをぉ? こんなクソまずいお通しの方が迷惑だろう、子供の味覚というのはな、5歳までに決まるんだ、もっと美味しい物を食べさせてやらないと、日本の未来が危ういぞ!」
お通し男爵が熱弁を振るう。
「うぇ? ここは居酒屋っすよー、子供なんていないっすよ」
「ふはは! 貴様は何も知らないんだな、今は女子会というのをやってな、子供を連れてくる馬鹿な母親がいるんだ!」
「そいつは関心しねーっすね」
「だろう?」
「だけど・・・・」
「なんだ!」
ウィカも負けじと反論をする。
「確かにいけねーことかも知んねーっすが、暴力で解決したら、余計子供に悪影響なんじゃねえっすか?」
「なんだと!!」
「だいたいオッパーブってなんなんすか!?」
「くそっ!寄るな! コレでも食らえ!」
お通し男爵得意料理”ポテトサラダ”が出される。
「うほっ、美味い」
「なんの! ならこれだ!」
次はきゅうりとタコの酢の物が出てきた。
「酸味が効いてていいんじゃない~?」
「ぐぬぬ・・・ならこれで!」
「きんぴらは好物っすよ!」
「はははは!どんどん食って逆に吐き気に襲われてトイレにこもるがいい!」
だが次々と出すお通しを食べている、さすがにお通しがなくなってきたのか怪人の表情がゆがんできた。
「これなら・・・・」
「ナムルはお通しの王道っすねぇ」
「ええい! 次だ!」
「パリパリキャベツうめぇwww」
お通し男爵の攻撃が弱くなってきた。
「くそっ! 次で最後だ!」
最後に出てきた料理は切干大根の煮物であった。
~回想シーン~
ここはどこかの合コンの現場だ。
「コチラお通しになります」
それを見た女性客の1人が嫌な顔をした、それに釣られていっしょに来た男性客たちも騒ぎ始めた。
「俺あんまりコレ好きじゃないんだよね?」
「ウチもー、こんなのに金払いたくなーい」
「すみません、規則でお通しは必ず1品出すことになっているので」
「えー、ありえーない」
その言葉でしぶしぶ了承するものの明らかに嫌な顔をした、結局最後まで一口も食されることがなかった。
店員は客が帰ったあと片付けをする。まるで嵐が過ぎ去ったかのような散らかりようだ。
「くそっ・・・・ お通しの恨み・・・・」
店員の表情は一変していた。
「絶対に後悔させてやる・・・」
彼は帰り際、ついストレスでおっパブに入ってしまった。そこでオッパーブの総帥であるクリューに出会う。
「お前は、何か悩んでいるな?」
「な・・なんなんですか?」
「わかるぞー、仕事のストレスか? ならおっぱいにうずくまり、すべてを懺悔するといい」
「う・・・・実は・・・・」
「ほうほう・・・・」
「俺はクリュー様に出会い、そしておっパブの素晴らしさと、自分のこだわりを相手に押し付けるという使命を頂いた!」
近づいてきたイエローを振り払い言う。
「俺はお通しを馬鹿にする人間にお通しのすばらしさを教えるんだ!」
「間違ってるっすよ・・・、そんなのはただのエゴっすよ」
イエローが急に真面目な顔になった。
「コレが楽しみで来てる人だって絶対るはずっすよ」
そういい切干大根をすべて食べつくした。
「エゴではない、クリュー様には、我々オッパーブが世界を支配し、世界に秩序をもたらすと・・・」
「全然秩序なんてないじゃないっすか、ほら・・・楽しく飲むはずの場所の居酒屋がこんな事になってるっすよ?」
そこには怯えながら逃げる人、そして何をしていいのか分からずおどおどしている店員の姿があった。
「ええい! キャッチー!!!」
「アニキィー!!」
どこに隠れていたかはわからないが、大量のキャッチーが次々と現れる。
「ウィカちゃん、こんな雑魚みたいなのはウチらが全部倒しちゃうよ」
「ったく、今回は俺の活躍なしかよ」
キャッチーは2人の活躍で次々と倒される。
「お・・・俺はただ・・・、お通しが、店のサービス精神が・・・」
「わかってるっすよ、ちょっと空回りしただけなんすよね?」
「俺・・・オッパーブを辞めるよ・・・もう子供を襲うなんてこりごりだ・・・」
「子供・・・? おっパブなんすから、大人を・・・」
「いや違うんだ、子供の頃からおっパブの素晴らしさを知ってもらうために、子供を連れ去り洗脳しているんだ」
「なんだって・・・・!? ってか、その説明聞いたときに、怪しいって思わなかったんすかい?」
「お通しの事しか頭になくて・・・・」
「うぇい・・・・まあ、あんたは自分の間違いに気づけたんす、だから許しますよ」
「そう・・・言ってくれるのか?」
ハンラマンは戦うことなく怪人を静めることに成功した。
コレは力で抑制することだけが正義ではないということを証明した。
「っふ、裏切ったわね?」
「あ・・・あんたは? 誰だっけ?」
「本当にお通しの事しか頭にないつまらない男・・・」
そう言い何か針の様な物を投げてきた。
「ぐっ・・・・ぐあああああ」
「クリュー様を裏切るなんてバカなことを・・・」
突然お通し男爵が暴れ始めた、それもさっきの様子とは少し違うものだった。
「どうした!?」
「お・・お・・・俺の右手に近寄るなぁああ!」
和解したはずなのに攻撃をしてくる、今度はあのお通しではなくただ暴れているだけだった。
「お前、何をした!?」
「この男はもうダメだわ、だからリミッターを外してあげただけ」
お通し男爵は苦しみながら暴れている。
「見える・・・見えるぞ・・・はぁはぁ・・・俺に殺されたい奴からかかって来い、俺は1000年前の戦いで数々の敵を沈めた騎士だ!」
お通し男爵は、怪人になる前は中二病だった。
「くそっ・・・馬鹿野郎!」
イエローの使う酔拳が炸裂、お通し男爵は動かなくなる。
「あ・・・りがとう・・・・俺の・・・お通しを食べてくれて・・・」
そういいお通し男爵は店の中で爆発した。
「あら・・・やっぱり使えない男ね」
途中で乱入してきた女が呆れたような声を出す。
「隙だらけだよ!」
ブルーがその女にCD手裏剣を投げるが簡単に避けられた。
「アンタ達・・・本当にクリュー様が恐れているハンラマンなの?」
「そんなのは、今君を倒すから関係ないよ!」
ブルーはなるべく派手な攻撃をした、それはピンクを背後に配置して挟撃するためだ。しかし、そんな事はお見通しといった表情で簡単に避ける。
「おっと・・・、もう警察が来たようね・・・本当だったら殺してあげたいけど、そろそろ潮時ね」
「待て・・・お前の名前は・・・?」
「わたしの名前はソフィーよ、お店に来たら、指名してね?」そう言い投げキッスをしたあと消えていた。
「・・・・オッパーブ、自分の仲間すら捨て駒に使うのか・・・なんてひどい連中なんだ」
ブルーが悲しみを抑えきれずに言う。
「俺らはそういう闘いの中にいるんすよ・・・」
イエローが店を立ち去る。
ピンクとブルーが寝てるユズィとビリーを起こして勘定してから店を出たのであった。
次回予告
ウィカ「酒のつまみならやっぱり魚っすね」
ビリー「やっぱり肉っすよ」
ユズィ「いいっすねー、肉」
リー「いや、サラダだろ?」
モディ「ナッツ類も忘れちゃだめだよね」
ユズィ「全部合わせたらいいんじゃないすかね?」
全員「それはない」
次回 「巨大化!?オッパーブの卑劣な罠」 お楽しみに!