さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

姐さんの憲法論(33)~軍部大臣現役武官制~

2021-02-15 | 姐さんの憲法論

姐さん、今回の憲法談義は元GHQの一員だったユダヤ人のモーゼさんが著した「日本人に謝りたい」を読んで、姐さんの目から鱗が落ちたという話から始まりましたよね。

そうだったわね。この憲法は地球を一つにしようとするユダヤ思想が大本にあって、君主制を倒して民主制に変えていくという道の一環だということよ。簡単に言えば、日本の天皇制も君主制とみなして、どうしても排除しなければいけない標的だから、戦争に巻き込み、潰したところで民主憲法を押し付けたという話よ。

ところが、モーゼさんによれば、日本の天皇制は君主制とは違って、君民共治の理想的体制だったことに気が付いて、戦後精神的に荒廃していく日本を見て、「申し訳ないことをした」と謝る話ですよね。確かにマッカーサーの前に進み出て、「全責任は私にある。」と言った昭和天皇を思うと、ヨーロッパの王様とは全く違い、日本国民の父親のような存在だということを知って、手を合わせたくもなります。でも姐さん、戦前の旧憲法の元にあった日本を考えると、今の憲法になってつくづく良かったと思わずにはいられませんよ。

旧憲法の一番の問題は何だと思う?

憲法にどう書いてあるかは知りませんが、「軍部大臣現役武官制」というのが最も問題だったと思います。陸軍大臣には現役の大将か中将が指名されることになっていたため、陸軍が気に入らなければ大臣を降りると言えば、内閣が成り立たなくなってしまうんですよ。結局、陸軍の言いなりに成るしかなくなってしまい、戦争に突き進んで行くんです。それを誰も止めることが出来なかったと言えるんじゃないでしょうか。

確かにそうだよね。

吉野作造(よしの さくぞう)

 

 

 

 

 

最近知ったことなんですけど、大正時代の吉野作造が「二重政府と帷幄上奏」という本を刊行したんですよ。帷幄上奏(いあくじょうそう)というのは、閣議を通さずに天皇に意見を申し出ることなんです。陸軍の上層部はこれが出来たというんですね。このことを重大事として批判したのが吉野作造なんですよ。ところがこの本をアメリカのコールグローブという学者が読んで日本の軍部大臣現役武官制の仕組みを知るんです。彼はGHQの憲法問題担当政治顧問にもなっているんですね。ということは、GHQは戦前の日本や旧憲法の問題点をすべて熟知していたってことなんです。

だから、GHQは日本を軍国主義だというのね。確かに見方によれば、その一面はあるよね。でも、追い詰められたら、窮鼠猫を嚙むだよ。経済封鎖してきたのは向こうだからね。ところで、吉野作造の影響は凄いもんなんだね。吉野作造の教え子たちが東大で新人会を作ったんだよね。その新人会から政界や法曹界にいろんな人が出て行ったんだよね。

そうなんですよ。吉野作造の民主主義が「憲法研究会」を立ち上げた高野岩三郎や森戸辰男に繋がっているんですよ。鈴木安蔵は京大ですけど、生前の吉野作造に最後に会って、後を託されたような人ですからね。考えて見ると、全部吉野作造に繋がるんです。

つまりは、今の憲法はGHQの押し付けだけじゃなくて、吉野作造の思想が受け継がれているってことなのね。私は戦前に治安維持法で捕まったりした人は天皇制に反対する共産主義者で非国民とばかり思っていたけど、むしろそういう人たちが日本の民主主義を作って来た人なんだよね。ちょっと、目が覚めたわよ。

それに、大正デモクラシーというけど戦前の日本の民主主義はまだまだで、どちらかと言えば封建主義の方が強かったと思いますよ。日本の封建主義は社会の隅々、一般の家庭までしみついていて、とても先進国とは言えなかったと思いますよ。

そう、じゃあ今度はその話にしようか。

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