さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

ドラマで振り返る序卦伝上経三十卦

2024-07-05 | さわやか易・講座

特別な卦である「乾」と「坤」から始まる上経の配列は人間や企業の栄枯盛衰を表している。一連の配列をある事業を起こしたA君のドラマとして再現してみよう。

A君が生れて来るときの母親の苦しみは「水雷屯」であった。未だ幼く蒙昧を表すA君を「山水蒙」両親は厳しく育ててくれた。生活は厳しく、育てるのに必要になるのが飲食で「水天需」両親は一生懸命働いた。時には飲食を巡って争いが始まった。「天水訟」である。ここで、もう争いがあるというのが易の教えである。人間に限らず生き物はすべて争いをしながら生きるものである。

争いの為に家族は団結する。「地水師」である。そして親しいものが寄り添う「水地比」が続く。親しみ協力すれば、「風天小畜」少し蓄えが出来る。蓄えが出来ると「衣食足りて礼節を知る」で、「天沢履」となる。こうしてA君は順調に育ち、就職し社会人になった。

安定した「地天泰」だったが、突然、父が病死してしまう。「天地否」で全てが否定される。A君は会社を辞めて家業を継ぐことになった。その為に、同志が必要、「天火同人」とともに一から始める。どうにか順調に運び、「火天大有」となって成功する。

親の教えは「いつも謙虚でいろ。」だったので、「地山謙」の気持ちを忘れずにいると、「雷地予」となって毎日が楽しい。楽しいところには色々な人が集まって来る。それが「沢雷隋」であり、中には困った人もいた。そんな人たちが問題を起こすようになり、「山風蠱」事件、事故となった。

しかし、問題を適切に処理していたら、事業は段々大きくなり、「地沢臨」となっていく。そうすると、世間からは「風地観」となって認められてきた。認められると、意外なところから「火雷噬嗑」、すなわち合併話が出てきた。そうなって来ると、ついつい良い所を見せようとして、飾り始めてしまった。「山火賁」である。

ついに粉飾決算をすることになり、「山地剝」の時を迎えた。A君の会社は売りに出すことになった。ところが、「捨てる神あれば拾う神あり」でA君の会社は復活することが出来た。「地雷復」である。これは自分の力ではなく、運命が味方してくれたのだった。これが「天雷无妄」というものか。その後のA君の会社は至誠真実、全社員心を一つにして事業に取り組んだ。その結果、「山天大畜」業界一の会社になった。

「山雷頤」人を養い、家族を養う、堂々たる企業になった。好景気に支えられて来たのだが、事業を拡張し過ぎたこともあり、バブルがはじけ、「沢風大過」在庫が山となった。いつの間にか景気が冷えてきて、「坎為水」落とし穴に嵌ってしまい、どうにもならない。そこで、A君は全く異業種とのタイアップで新しい事業に踏み出した。離為火」である。

このように、配列には継続性がある。自分なりのドラマを作って連想すると、覚えることが出来る。あせらず、ゆっくりと、これが易を知る近道でもある。

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