「天風姤」は悪いこととは限らない。人と人が遇うというのが、「天風姤」であるから、当然素晴らしい出会いもあるはずだ。
「物相遇うて、而して後に聚(あつ)まる、故に之を受くるに萃を以てす。萃とは聚まるなり。」
人と人が遇う。それが、集まるに繋がる。卦の形は、地の上に沢がある。これは地上のオアシスである。水を求めてあらゆる動物たちが集まって来る。オアシスは動物たちにとっては、生きるために必要不可欠だろう。しかし、集まることによって、様々なドラマがあり、様々な問題もある。
「聚まりて上(のぼ)る者は、之を升と謂ふ、故に之を受くるに升を以てす。」
人と人が集まると、何かに向かって成長しようとする。成長を表す卦が「地風升」である。成長や進歩を表す卦には、他にも「火地晋」、「風山漸」がある。「火地晋」は快進撃をするが、その後に急に衰退する。「風山漸」はゆっくりと着実に進むことである。「地風升」はさらにゆっくり成長する。
卦の形は、地の下に風、風はこの場合「木」である。すなわち木の根が成長していることを表している。どんな大木もそれを支えているのは根である。見た目の成長より、目に見えないところでしっかりと育っていることが大切なのだ。人間で言えば、精神、心の成長こそが土台であり、見た目の成長はその結果である。結果より原因の方が大事であることを教えてくれる。
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