さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

序卦伝(17)天山遯と雷天大壮

2024-07-09 | さわやか易・講座

「雷風恒」は久しく変わらない安定である。しかし、安定はいつまでも続かない。

「物は以て久しく其の所に居る可からず、故に之を受くるに遯を以てす。遯とは退くなり。」
いつまでも同じ環境にいれば、「井の中の蛙」になり、マンネリ化することになる。そこで、思い切って環境を変える必要もある。「遯とは退くなり。」定年を迎えたサラリーマンが現役を退くことも遯ではあるが、若くても気分転換に新しい世界に身を置くことも遯である。下経の配列から考えて、まだ始まったばかりであるので、若者が新世界に身を置くことの方がぴったりだと思う。
 
卦の形は、山(少男)が偉大な天の下にあり、じっと身構えているところである。天はあくまでも高く、広いので、小男はその偉大さに感激し、自分の小ささを思い知らされているところでもある。スランプに陥ったスポーツ選手が大自然を前にして、悩んでいた自分がちっぽけに感じて、新たなファイトに溢れているとも考えられる。
 
「物は以て遯(のが)るるに終る可からず、故に之を受くるに大壮を以てす。」
隠遁していると、心も身体も充分に養われるものだ。再び自信が回復して来る。そこで、「天山遯」の次に「雷天大壮」が置いてある。大壮の卦は、陽のエネルギーが溢れる程みなぎっている様をいう。雷は上を目指す活動を表している。そこに下から陽の天がさらに押し上げるのだから、気力満々、自信満々、さあ、行くぞ!という形である。
 
スランプを脱出したスポーツ選手は以前より何倍も気力に満ちている。スポーツ選手に限らず、どんな仕事、どんな趣味、芸術、全てに言えることではないだろうか。それにしても、易の配列には頭が下がる。3000年前から人間は変わっていないのだと、つくづく実感する。