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さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

明治維新を起こした武士たち

2023-09-04 | 浮生は夢

山岡鉄舟(1836~1888)

親分、スティーブ・ジョブズが禅をやっていたことは知りませんでした。そう考える禅というのは凄いですね。禅がなければスティーブ・ジョブズの活躍もなかった訳ですから、世の中も違っていますよね。

その通りだ。禅から得るパワーは計り知れないんだ。日本人は気が付かないでいるけど、今日、日本が世界に伍して大国のような国になっているのは禅のお陰なんだぞ。

えっ、それはどういうことですか?

お前、日本は世界の中でも、経済でも文化でもスポーツでも堂々と世界の仲間入りをしているよな。それはいつからのことだと思う。

経済的に発展したのは、昭和の高度経済成長からですよね。やはり経済大国と言われたその頃からじゃないでしょうか。

そうじゃないよ。戦前から日本は世界から一目置かれる存在だったんだ。いつからとはっきり言えないだろうが、日露戦争で日本がロシアを負かした時が一つの世界デビューと言えるんじゃないかな。1905年のことだよ。

確かにロシアに勝ったことは世界を驚かした出来事でしたよね。でも、経済的にはまだまだだったんでしょう。

まあな、でもな、東洋の島国だった日本が世界の檜舞台に立ったことは間違いない。その前に19世紀の末にはフランスで「ジャポニズム」と言って北斎の版画や浮世絵なんかがブームになっているんだよ。

そうですか。そんな前から日本は世界から認められていたんですね。

それもこれも、幕末から明治維新をやり遂げた日本のパワーがあればこそのことなんだよ。その明治維新をやり遂げたのが、日本の武士たちなんだ。福沢諭吉や吉田松陰、西郷隆盛、坂本龍馬、有名無名の様々な旧武士たちのパワーが結集して成し遂げたことなんだよ。

そう言えば、そうですよね。やはり日本の武士階級には凄い人たちが大勢いたんですね。

その通りだ。その武士階級の人たちは皆禅をやっていたんだ。禅をやっていると、いざという時の、冷静と決断が備わるんだよ。だからこそ、欧米列強が押し寄せて来た我が国最大のピンチに立ち向かえたんだな。

成程ね。だから親分は明治維新を起こしたのは禅のパワーだと言うんですね。禅で有名な幕末の武士は誰でしょうかね。

それぞれ皆やっていたとは思うんだが、山岡鉄舟なんかは有名だよね。鉄舟は剣、禅、書に優れていたと言われている。

確か、江戸城無血開城に貢献した人ですよね。江戸に向かってくる征討軍の大将・西郷隆盛に直談判をした人ですよね。

そうだ。鉄舟は幕府側の武士だが、こういう肝の据わった武士が双方にいたんだよ。だからこそ、無血開城なんてことが出来たんだな。

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スティーブ・ジョブズと禅

2023-09-04 | 浮生は夢

Steve Jobs Headshot 2010-CROP2.jpg

スティーブ・ジョブズ(1955~2011)

親分、少し禅について興味が湧いて来たんですが、そもそも禅をやっているのは日本だけなんですか?

今ではアメリカやヨーロッパでも禅は知られるようになってきたから、やっている人はいると思うよ。確か曹洞宗の寺があるというよ。ただ向こうではゼン・センターというらしいよ。とは言っても禅の文化は日本特有と言っていいんじゃないか。

でも、達磨が始めたのは中国でしょう。中国では禅はそれほど発展しなかったのですか?

うん、日本から遣唐使が行った頃、そして鎌倉時代に栄西や道元が学んだ頃は、中国の禅宗も発展していたんだろうけど、明のころにはかなり衰退していたそうだ。いくらか残ってはいたんだろうけど、共産党の時代になってからは弾圧されたみたいだな。

あの文化大革命の時は古い文化はまるで敵視されるほど、徹底的に破壊されましたからね。禅宗も完全に潰されてしまったんですね。じゃあ、こんなに禅宗の寺があるのは日本だけなんだ。禅の文化と言えば、茶道もそうですよね。

禅は日本の武士階級に広まったんだ。剣の道も「剣禅一如」と言われ、禅の精神が尊ばれているんだ。ところで、スティーブ・ジョブズを知っているだろう。

アップルの元CEOですよね。知っていますよ。

スティーブ・ジョブズは座禅からインスピレーションを得ていたんだぞ。彼はマーケティングをしなかったんだ。いつも座禅によって天から自分の中に降りてくるものを待っていたんだ。それが彼の開発方法だったというんだ。

そうだったんですか。ジョブスはどうして禅をはじめることになったんですか?

彼は生まれた直後に養子に出されたのが原因で、若い時から精神的な悩みを抱えていたんだ。インド放浪をしたり、精神世界に解決を求めてあらゆる哲学書を読んだりしていた。その時に米国に来て座禅を広めていた鈴木俊隆(1905~1971)の著書に出合ったんだ。早速ジョブスは鈴木俊隆に会いに行ったんだが、鈴木とはいまいちウマが合わなかったらしい。だが、鈴木が日本から呼んでいた僧の乙川弘文(1938~2002)とは意気投合した。30年に渡って師事していたというんだ。ジョブズも乙川も一風型破りな所があり、その辺がお互いに良かったんだろう。

乙川弘文とはどんな人なんですか?

新潟県出身の曹洞宗の僧で、駒沢大学と京都大学で学んだ後、鈴木俊隆に招かれてアメリカに渡っている。スイスで5歳の末娘を助けようとして、溺死したというのだ。ジョブズのショックは大きかっただろうな。

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直ぐにも出来る座禅。

2023-09-04 | 浮生は夢

親分、達磨と武帝のやり取りは面白いですね。達磨が王様に向かって、全く遠慮しないではっきりものを言うところが凄いですよ。

まあな、この話は後から作られた話だろうけど、禅の僧からみるとこの世の王様なんか何の権威もないも同然なんだよ。王様だろうが、お金持ちだろうが、貧乏人だろうが、人間としては皆同じに見えるんだろう。

本物の修行をして、人生観が変わってしまうとこうなるのでしょうか。

たぶんそうだ。この世の世界がどう見えるかが、僧としての成長のレベルなんだろうな。俺達はちょっとした会社の社長とか、大地主とか、国会議員なんかを相手にすると、何だか引け目を感じてしまうよな。それじゃあ、まだまだ人生なんか解っていないということさ。

そうですね。僕も社長の前に出ると緊張してしまいますよ。とても達磨みたいに対等の関係で話すことなんて出来ませんからね。もう一つ、不思議なのは、その後達磨が9年間の座禅に入ってしまうということです。誰も相手にせず、一人きりでただ座っているだけなんでしょう。それが何になるんでしょうか?

そういう伝説なんだよ。座禅というものがいかに厳しい修行かということを知らせる為だろうな。

そもそも座禅は「只管打座」と言ってただひたすらに座ることを勧めるものですよね。仏教ならもっと経典を読んで学ぶとか、先輩僧の話を聴いて学ぶとか、どうして学ぶことをしないんでしょうか?

どうも禅というのは、書物から学ぶことより、身体で体験することを重視するようだな。俺が昔、ある禅寺で指導してくれた坊さんから聴いたことだが、「書物を読んだり、話を聴いたりすることは、頭の中に知識を取り入れることだ。それに対して座っていることは、頭の中から余計なものを出して整理することだ。人は余計な知識でいっぱいだからそれを整理することによって、新しい気付きがあるのだ。」ということを聴いたことがあったよ。

成程、確かに僕たちは色んなことをごちゃごちゃと知ってる積りでいますが、肝心なことは解かっちゃいませんよね。たまには座禅をして頭を空っぽにした方が良いのかも知れませんね。大事なことは何かが解るかも知れませんね。

それとな大事なのが呼吸だよ。呼吸を整えることだよ。座禅では数息観と言ってな、ゆっくりと息を整えて1から10まで数を数えるんだ。出来るだけ一回の呼吸を長く腹式呼吸で行う。10まで数えたらまた1から始める。

成程、腹式呼吸は良いですよね。それだけで、気分も良くなりますからね。でも、座禅とは足を組むんですよね。あれが出来ないんですよ。

いいんだよ。椅子に座っててもいいんだ。姿勢を良くして座ればいいのさ。一日10分でいいからやってみな。気分爽快だぞ。大事なことは続けることだよ。

そうですか。早速始めようかな。なにも禅寺に行かなくても出来るんですね。

そうだよ。自分なりの座禅でいいんだよ。何でもレベルというのがあるだろう。野球だって、草野球から大リーグまであるだろう。だから先ずは自分のレベルでコツコツやってみることだよ。今更禅寺の坊主になる訳じゃないんだから、自分の人生にプラスになればそれでいい訳だろう。

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達磨から禅が始まった。

2023-09-04 | 浮生は夢

宮本武蔵による達磨像

親分、いよいよ禅について考えてみたいのですが、いったい禅というのは何なんですか?

座禅することで知られているが、本当は何なのだろうか。勿論、仏教の一つの宗派ではあるんだろうが、他の宗派とは違う気もするし、一緒に考えてみようじゃないか。

先ず、禅というのは何処で、そして何時から始まったのですか?

うん、仏教の発祥地であるインドだろうとは思うんだが、はっきりしないらしいんだ。中国に伝わったのは5世紀の後半に達磨(ダルマ)が有名になったのが始まりのようだな。南北朝の宋の時代にやって来たと伝えられている。出身については良く解らないらしいが、南天竺の国王の王子として生まれたとか、ペルシャ生まれで各地を歩いて中国にやって来たとか、中国に来た時は齢150歳になっていたというのさ。

達磨と言えば、武帝とのやり取りが有名ですよね。

南朝の梁(りょう)を治めていた武帝が達磨を呼んで質問する話だな。

武帝は質問した。「わしは仏教を信仰しており、各地に寺を作り、僧を招き、経を広めた。どんな功徳があるだろうか?」 達磨「功徳はありません。」 武帝「何故、功徳がないのだ?」 達磨「人間界の功徳というものはただの煩悩です。仏の世界では何の価値もありません。」 武帝「真の功徳とはどのようなものだろうか?」 達磨「この世は空です。功徳は求められるものではありません。」 武帝「ではこの世に聖なるものはどこにあるのか?」 達磨「聖なるものなどどこにもありません。」 武帝「いったい、お前は誰なのか?」 達磨「知りません。」

結局、武帝はおちょくられたと思ったのだろう。そのまま武帝を返したという話だ。

確かに武帝にしてみれば、おちょくられたと思うでしょうね。

まあ、これも伝説だからな。ただ、人間界と仏の世界とを考えるヒントにはなりそうな話だよな。

達磨はその後どうしたんですか?

言い伝えによると、崇山少林寺にこもって、9年間の座禅をしていたとされている。達磨は簡単に弟子をとらない僧だったが、神光という僧が熱心に弟子入りを求めた。ついに入門することになり、名を慧可(えか)と改めた。この慧可が第2祖となり、中国に禅宗が広まったとされるんだよ。

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仏教の進化発展

2023-09-04 | 浮生は夢

親分、仏教というのは次々と新しい宗派が出来、どんどんと進化してきたんですね。キリスト教とかイスラム教とかはそんなに進化するもんじゃないでしょう。

そうだな、キリスト教の場合はカトリックが16世紀頃、宗教改革でプロテスタントが出来てるな。枝分かれみたいなことが起こっているな。これも進化したと言えるかも知れないが、仏教の進化とはちょっと違うよな。

お釈迦様が最初に普及させたのが原始仏教で、その後にいくつもの部派に別れるんですよね。それが上座部仏教と大衆部仏教となり、上座部仏教はスリランカに定着する。大衆部仏教の中から、竜樹が唱えた仏教を大乗仏教と言って、これが中国や日本に広まるんですよね。

そうだ。良く覚えているな。

中国でも日本でも次々と新しい宗派が出来て、7つか8つの宗派に別れますよね。それが奈良時代で、「南都六宗」と呼ばれました。東大寺に大仏を建立したのが聖武天皇で、天皇は中国から鑑真を渡来させました。

その通りだ。奈良時代は仏教が盛んになったのは良いんだが、僧侶の権限が強くなり過ぎてしまったんだな。そこで朝廷は都を奈良から京へ遷都するんだな。

そうでしたね。そこで桓武天皇が人心を一つにしようと新しい宗派を中国に求めることになりました。遣唐使として派遣されたのが、最澄と空海でした。最澄は天台宗を、空海は真言宗をそれぞれ開山するんですよね。天台宗の本山は比叡山延暦寺。一方の真言宗は密教として高野山金剛峰寺を本山としました。

面白いのは比叡山延暦寺なんだな。密教を目指したんだが、色んな宗派を自由に学べる総合大学のような存在になり、そこに次々と優秀な僧たちが学んでは新しい宗派を起こしていくんだな。これが次の鎌倉仏教になって行くんだよ。

奈良時代にあった「南都六宗」がいったん比叡山延暦寺に集約されて、そこから浄土宗、浄土真宗、日蓮宗というように独立して行くんですね。

そうなんだよ。貴族が治めていた時代からやがて武士が治める時代になっていくだろう。密教は貴族の間に流行ったんだが、武士には合わなかった。そこで、武士には武士らしい仏教として禅が流行るんだな。この禅も比叡山延暦寺で学んだ栄西とか道元が開いたんだよ。

栄西に道元ですか。興味ありますね。いったい禅というのは他の仏教とどこが違うんですか?

そうだな、じゃあ、次のテーマは禅にしようか。

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