蜻蛉・莞爾の無責任漢字樂院

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「専」には、「丶」が要らなくて、「博」「敷」には、「丶」が要る理由

2009年03月21日 | 共通する部分が表すモノ
【「専」には、「丶」が要らなくて、「博」「敷」には、「丶」が要る理由 】

<蜻蛉メッセージ>
常用漢字になってしまって、奇しくも同じ形になって今しましたが、元々別の形です。
携帯電話・パソコンなどは、変換すればスンナリ出てきますが、自分の手で書くとなると、「どっちだったかな!?」と迷いやすい「丶」の存在。
ここいら辺で確定する解釈を持っておきましょう!


≪基本理解≫
“専”は、「專」の形
“博”や“敷”は、それぞれ、「甫+寸」、「甫+方」の形


≪個別に解釈≫

【専】

常用漢字では、専。 元の形は、專
会意。叀 と 寸 を組み合わせた形。
叀(セン)は、上部を括った橐の形。

橐の中に物を入れて、手でうって固めること ⇒ 專
「まるめる、うつ」の意味

∴橐の中の物をひたすら(只管)打ち固めることから、
「もっぱら、もっぱらにする」の意味

<漢語林>
会意。叀+寸。音符の叀は、糸巻の象形。
糸を糸巻きにまきつける、の意味から、転じて、一つの
中心をめぐる、もっぱら、の意味を表す。
常用漢字の専は省略体による。

<関連>
恵は、「惠」の形
叀(セン)+ 心 = 惠(恵)
●これにも「丶」は必要ない


【博】

形声。音符は、尃[甫/寸](フ)。
[甫/寸]は、根を包んだ苗木をを手に持つ形。
草木を土に植えること。
十は、おそらく干(たて)の形で、搏(うつ)と読むべき字であろう。

[甫/寸]は、ひろい、おおいに」の意味があり、
博は、「ひろし、ひろめる、おおきい、おおい」の意味。

簙(すごろく)とつうじて、
「すごろく、ばくち」の意味に用いられる。

博打・博奕(ばくち):金品をかけて、賽(さい)や花札・トランプなどの勝負をすること。
博徒:ばくち打ち
賭博:金や物などをかけて勝負事をすること。

<漢語林>
形声。十 + (甫/寸)。十は、四方、の意味。
音符の[甫/寸]は、田の苗を広く植える、の意味。
ひろい、の意味を表す。寸は手の意味。


【敷・敷】

形声。音符は、尃[甫/寸](フ)=旉(フ)。
尃[甫/寸]は、根を包んだ若木を手に持つ形。
若木を土に植えること。「敷」・「溥」のもとの字。

尃[甫/寸]=旉(フ)に攴(攵:打つ)を加えて、
   若木を植え土をうち固めること ⇒ 敷 敷
  「しく、ほどこす、ひろめる、あまねし」の意味

<漢語林>
形声。攵(攴)+旉。
音符の旉は、稲の苗を敷き並べるの意味。
攵を付して、使役的に「しく」の意味を表す。
方は、“四角”を表している。


【「甫」に「丶」が必要な理由】
甲骨文では、田+屮(草木の芽)の形。
「丶」は、草木の痕跡。

また、金文では、用+父の形。
「丶」は、「父」に見える「丶」の痕跡。(右側か?)
「父」は、武器を手に持つ形なので、左側の上に部分が「武器」で、右側の上の部分が「手」を表しているように見て取れる。

●常用漢字になった場合、同じ形になったが、成り立ち全く違う。


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