蜻蛉・莞爾の無責任漢字樂院

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「執」と「報」に共通すること

2009年01月13日 | 共通する部分が表すモノ
【 執と報の共通点 】

ご存知ですよね!?「幸」が共通していることは。
それともう一つあるのですが、先に「幸」のことを放しましょう。

「幸」は、古い字形を見ると、両手にはめる刑罰の道具です。
解釈として、命を奪われずに両手だけの刑罰で済むのは、思いがけない幸せであり、重い刑罰を逃れたことを表しています。 「さいわい」の意味 ☆「さち」とも

刑罰にかかる人が多かったので、「刑罰にかかるのも、かからないもの偶然」偶然の幸せを戒めを込めて、手枷の図形で暗示しています。

これを踏まえて「執」と「報」を見てゆきましょう


「執」は、「幸」と「丮(ケキ)」とを組み合わせた形です。
丮(ケキ)は、両手を差し出している形で、のちに「丮」が「丸」の形になっています。

両手に刑具の手枷をはめている形 ⇒ 執
  「罪人をとらえる」の意味
のちに全てのモノに対して、「とらえる」の意味になりました。
●手に取り持つ→「とる」の意味


そして「報」です。
これは、「幸」と [報-幸](右側の部分) を組み合わせた形から出来ています。
後でも述べますが、「及(旧字体が酷似)」の形にもよく似ています。

[報-幸]は、跪く人(卩)を 又(手の形)で押える形です。
●服従の「服」の元の字。

両手に枷(かせ)をはめられ跪く人を後から押える形 ⇒ 報
∴犯した罪に報復刑的な処置 ~ 報復する事
のちに、報告・報知など、「しらせる」の意味に

先に述べました“似ている”という点ですが、
「及」は、立っている人に手を出してつかまえたことをいう文字で、、将に「追及」の意味のようです。
「負」「臽」「危」などの上の部分に載っている「ク」のようなモノが、「人」を表しています。
「報」では、「幸」を除いた部分は「卩」と「又」との組み合わせから出来ています。
「卩」は、膝をついた(跪いた)人の形で、その人に手を出して“つかまえた”様子を表した文字です。

●立っている(及)か、跪いている(「卩+又」)の違いです。
∴「卩」の縦棒()を引く前の一画目での“はね”の部分がミソのようです


≪もう一つと言ったのは、この“人に手を出していること”なのです。≫


「執」も「報」も字の出来方も使われ方も「マイナス」なイメージが有ります。
執行(しっこう)~「死刑執行」を連想させます。
報道(ほうどう)~日本の世相を眺めれば、基本的には犯罪や好くない出来事=事件というような使われ方です。

「しらせる」と言っても、「知識」や「知らせる」の「知」と「むくいる」方の「報」とがあり、「むくいる」には「復讐」の「讐」(仇を討つ~マイナス方向)が基本にあります。

この「マイナス方向」も、もう一つ別の共通点かもしれません。




<余談>
「幸」の入っている文字で、「逹」があります。「幸」+「辶」からできています。
「達」は、「幸」にもう一本加わらないとダメです。

「逹」は「達」と区別しにくく、唐の時代から見られるようになり、本来は間違えではありますが、今では俗字扱いとしてJIS漢字にも登録されています

★くれぐれも、お間違えなく!



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