蜻蛉・莞爾の無責任漢字樂院

漢字に関する色々なことを発信して行きます。中国語も有りますよ!

その「ツ」の正体は?!

2009年04月06日 | 共通する部分が表すモノ
【その「ツ」の正体は?!】

日本での古くから用いられてきた“繁体字”ですが、太平洋戦争以後、当用漢字から常用漢字に変更され、次第に意味の能く理解できない記号のような文字が出来ました。

日本では、識字率向上とやらでそれなりの成果はあり、蜻蛉も馴れ親しんでいましたが、漢字を学んで行くに連れて、疑問だらけになって来ています。

その一つが「ツ」のような、俗に言う「冠」のように覆い被さった存在、これが俄に理解できなかったのです。 皆さんはどうでしょうか?

ここいらで解決して行きましょう!



(1)
学・覚  (「臼爻冖」の組み合わせ)

學 覺 ⇒ 繁体字 
↓ ↓
学 覚 ⇒ 常用漢字
↓ ↓
学 覚 ⇒ 中国漢字も同じ(見は少し省かれていますが・・・)

関連 その他:鷽(うそ) 鱟(かぶとがに) 嚳 黌 礐 など


(2)
労・栄・営・蛍・鴬  (「火火冖」の組み合わせ)

勞 榮 營 螢 鶯 ⇒ 繁体字(かがり火を焚くようす)     
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
労 栄 営 蛍 (鴬) ⇒ 常用漢字
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
劳 荣 营 萤 莺  ⇒ 中国漢字(草冠にような形になっています)

関連 その他
熒(ひかる) 犖(まだらうし) 瑩(あきら)
縈(めぐる) 檾(いちび) 塋(はか)
膋 滎 煢 禜 嫈 嵤 罃 鎣 など


(3)
挙・誉  (“與”は、“与”の旧字体)

擧 譽 ⇒ 繁体字(持ち上げるようす)
↓ ↓
挙 誉 ⇒ 常用漢字
↓ ↓
举 誉 ⇒ 中国漢字

関連 その他:舉 轝(こし) 鸒 礜


(4)
厳・巌 (口口厂の組み合わせ) 

嚴 巖   ⇒ 繁体字 ★ちょっと細かくて見難いですね  
↓ ↓
厳 巌(岩) ⇒ 常用漢字
↓ ↓
严 岩   ⇒ 中国漢字


(5)
単・戦  (口口)

單 戰 ⇒ 繁体字(敵の攻撃を防御する盾に付く飾り羽の部分~勇者の印)
↓ ↓
単 戦 ⇒ 常用漢字
↓ ↓
单 战 ⇒ 中国漢字 


(6)
桜  (貝貝の省略形)

櫻 ⇒ 繁体字(嬰は、ネックレスのように、キレイに並んだ花びら→カワシイ)

桜 ⇒ 常用漢字 

樱 ⇒ 中国漢字(ほとんど繁体字のままです~貝の部分が略されています)


番外

見ようで「ツ」にも見えるモノ
~尚が上に付く~
常・黨(党)・堂・當(当)、嘗・甞・掌・棠・牚・裳・賞

略されてこのようになったもの
畄 = 留 の略字体(上部が略されています)    
★「菑」とは異なる


<エピローグ~蜻蛉コラム>
このように数多く有りました。

新聞・テレビなど、限られた「紙面。画面」では、仕方ないことかもしれません。
でも、自身の手で書く時には、篆書体・金文・甲骨文字までとは言いませんが、基の字(簡体字)を思い浮かべながら、書いて見るのも、文化を知ることに繋がるのではないでしょうか!

最後まで辛抱してお読みくださり、傷み入ります。




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