木のように生きよう!!

「世界の巨樹を見に行く会」で巨樹を訪ねるとともに、日本の写真が海外のアート市場で認められるように頑張っています……。

西表島から戻りました

2008-04-29 19:26:42 | 取材日記


西表島での、月刊デジタルカメラマガジン『先駆者の現場』取材から戻りました。

というか、西表からは24日の深夜に帰宅したのですが、19時間足らず在宅して、すぐに桜旅へ。そして、今日の早朝に戻ってきたというわけです。19時間の在宅中はバタバタと2つの仕事をこなしたので、家にいた記憶はあまりなく、なんだかずーっと旅していた感じでした。


Img_7073 でも、西表島はとってもよかったですよぉ。海がきれいなのは言わずもがなですが、島特有のゆったりした時間の流れが心地よかったです。


P1000349 今回は7月号の写真家・米津光(よねづ・あきら/写真中央)さんだったのですが、その米津さんがすばらしい方だったことが、西表島の印象がとてもよかった大きな要因です。


P1000301 米津さんは今年のキヤノンカレンダーを撮影された写真家さんですが、その風景写真はこれまで見たこともないほど秀逸。本当にすべての作品が一幅の名画のよう。圧倒されました!!


P1000421 徳島県在住で普段はおもに広告写真家として活躍されていますが、その写真もまた“度肝を抜かれた”という感じ。昨今、こんなすごい広告写真は見たことはありません。どうやって撮ったのだろう。こんな写真のアイディアをどうやって考え出したのだろうというものばかり。

合成でもなければとてもあり得ないようなすごい瞬間を一発で決めた写真は、“近年には見られない”本当の「写真家」の名にふさわしい作品群。


P1000429 近代絵画か日本画にしか見えないほど静謐で見事な風景写真の撮影も、じつはこれまでになかった撮影法ともいえます。とにかく美しいです。

ですから、仕事とはいえ、私も原稿を書くのが楽しみです。みなさんも、7月号をお楽しみに……。


P1000285 写真もテクニックもすごいのに、米津さんはとっても腰が低いというか、キャパがあるというか、ユーモアもあって、少年のようにいつも楽しそう。
だから、一緒にいるとすごく楽チンで、私たちもとっても楽しかったんでしょうね(本当にありがとうございましたぁ?)。


P1000409 西表島での米津さん行きつけの和食処『初枝』さんにて。
「仕事やってんのぉ」って声が聞こえてきそうですが、すみません、それほど楽しかったんです!!

そばにいるだけで自然にニコニコしちゃう。西表島と島の方々、そして、米津さんはそんな場所、人でしたぁ。
近々に、米津さんの作品とその裏取材動画もアップしますよぉ……。





カリンの花

2008-04-21 23:14:09 | 木の花


先日、ハーブ研究家・広田せい子さんのブログでマルメロの花の写真を見ました。

このマルメロ、長野県諏訪地方ではカリンという名で親しまれています。
じつは、諏訪湖の周りにマルメロが植えられていて、この実の砂糖漬けがおみやげ品としても売られているのですが、どちらも地元では「カリン」と呼ばれているんです。

私も子どものころ、祖母と一緒に祖母の友人の家へ遊びに行くと、マルメロの砂糖漬けが「カリンの砂糖漬けでもいかがですか」とお茶菓子としてよく出されました。諏訪地方ではマルメロのをカリンと間違えていたのですね。

ですから、私もつい2、3年前まで、表面にこげ茶色のフェルトのような綿毛がびっしり生えている実をずっとカリンの実だと思い、それをホワイトリカーに漬けたものを「カリン酒ですがどうぞ」などといって差し上げていました。

こげ茶の綿毛の実はマルメロのほうだったんですねぇ。

間違いに気づいてから、「では、本物のカリンの実はどんなのかしら」といっていたら、S野さんがツルツルの黄色い実でワックスを塗ったように表面に油分がたっぷり浮いたカリンの実をどっさり送ってくれました。
実のあまりの違いに驚き、また、カリンの実のあまりの堅さに驚いたことをよく覚えています。

そんなマルメロとカリンなので、花はどんなだろうと気になっていて、いつか見たいなぁと思っていたんですねぇ。
そうしたら、広田さんのブログにマルメロのほうの写真が載っていて、薄いピンクの花があまりにも愛らしくって……。


P1000192 マルメロの花を見られたので、どこかにカリンはないものかと歩いていたら、このとおり。なんと、近くの緑道にあるではありませんか。

マルメロの花より濃いピンクですが、よく似た形の花。花の径はマルメロが4~5cm、カリンは2.5cmと植物事典にありました。


P1000199 とってもかわいい花でしょう。サクラが散った緑道にピンクの彩りを添えているのに、いままで全然気づかなかったなんて……。そして、見たいなぁと思ったら、急にふって湧いたように見つけられるなんて!!


P1000244 リンゴの花とともに、この時期に咲くもののなかで好きな花ベスト3に入りそうです。あと、この時期に咲く花で好きなのはいい香りのライラックでしょうか。


P1000227 緑道ではトチノキの花も咲き始めました。この花はロンドン近郊、リッチモンドにある王立植物園キューガーデンで見たのと同じピンク色です。

トチノキの花にも白や赤があり、ベニバナトチノキ、セイヨウトチノキ、アカバナトチノキなどあるそうなのですが、どの色の花がどの種類なのか。今度、S野植物博士にうかがってみましょうか。

さて、明日からは取材で、西表島へ。
西表は初めてなので、できたら、サキシマスオウの木を見たいなぁ。
ただ、今夜は海の近くの夜景撮影でフリースを着込んでも寒かったので、旅支度に水着も入っている地で体がびっくりしないといいんだけれど……。






手なぐさみ その3

2008-04-20 00:08:11 | 日々の暮らし


仕事が忙しいほどに、旅に出たり、
何かをすご~く手づくりしたくなるのは何故なんでしょうか。


Img_4687 母の日用にとつくったこのアクセサリーマフラーとブレスレットも、仕事がパンパンの最中につくりました。

母の好きな藤色を使って……。それも2セット。母の友だちとお揃いで使ってもらってもいいかなと思ってです。

考えてみると、忙しければ忙しいほど、ストレス解消は必要になるわけで、仕事を忘れて何かに熱中する時間が必要になるのでしょうね。

だから、これもつくり始めると、ほとんど徹夜でした。つくりながらも、こんなに一生懸命やらずに、仕事のためには少しでも寝なくちゃと思うのに、どうしても手が止まらないんです。

でも、これが自分のためだったら、きっとやらないだろうなというのも事実です。別に、他がためにだけ生きるほどではけっしてないのですが、自分のためだと途端に「まぁ、いいかぁ」となっちゃうのもまた事実なんですよぉ。生来、まったくのナマケモノですからね。


Img_6868 で、母の日用を2セットつくって、やっと気が済んだと思い、仕事を再開しようと思ったら、今度は母だけじゃ悪いから、父のもつくらなくちゃと思い始めちゃって……。

もう、こうなったら、気が済むまでやるしかない。そうじゃないと、仕事にもまだまだ身が入らないわぁ……。というわけで、父のランチョンマットまでつくってしまいました。

とにかく気が済めば、仕事に戻れるという意識があるものだから、あまり時間をかけてゆっくり丁寧にという具合にはいきませんでしたが、全部仕上げたらすっきりしましたぁ。

で、先日の桜旅の帰りに実家に立ち寄って、ふたりにこれを渡せると「あぁ、よかったぁ」とやっとひと安心。こういうのって、貧乏性なのかしら?

でも、両親がとっても喜んで使ってくれているので、私もとっても満足。

結局、私は自分が喜ぶことをしているだけなのですねぇ。
まったくもって、ジコチューなのだぁ?






ありがとうを込めて

2008-04-19 10:40:00 | ファミリー


じつは、桜旅に出た朝、『四万十 川がたり』の野村のおんちゃんが亡くなりました。

桜旅は半分はプライベートとはいえ、カメラのテスト撮影も兼ねていたのですぐに戻ることはできず、高知でのお通夜やお葬式には残念ながら間に合いませんでした。

訃報の第一報はお嬢さんのあっちゃんからのメールでした。

その後、四万十川沿いのおんちゃんの家の近くのおばちゃんからも、「蟹江さんだけには知らせなにゃいかんけんと思って……」と電話をいただき、「本当にええ顔しよったよぉ」と報告もしてくださいました。

この4年間、病院で寝たきりのまま、ほとんど意識がなかったおんちゃんの動向は、ずっとあっちゃんがメールが知らせてくれていました。亡くなる2日ほど前、「いよいよ延命を止めたけれど、悪い状態ではなく、苦しんでいません。このまま自然に枯れていくようです」というメールももらっていたので、ある程度は覚悟を決めていました。そして、おんちゃんができるだけ苦しまないように、笑って天国に行けるようにとずっと祈っていました。


20080415150603_2そして、亡くなった知らせを受けたあとに弔電を打ちました。

野村のおんちゃんの本をつくれたこと、そして、一緒に過ごせた日々は私の一生の宝物です。明日からは天国で舟を漕ぎ、エビやカニ、アユを捕って、みんなを元気にしているおんちゃんを想うことにします、と……。

その弔電の御礼とともに送られてきたのが、この写真でした。
「いい写真ができました」とあっちゃんのコメントがついてしました。遺影なのでしょう。モクズガニを持った本当におんちゃんらしい、かわいい写真です。

また、お葬式が終わったころには、あっちゃんからは電話ももらいました。これも本当にうれしかったです。

で、そのときにおんちゃんの奥さんである百合ねえ(四万十では名前の下に姉さんの“ねえ”をつけて、年上の女の人のことを呼びます)とも、電話で話しました。「もう、お焼酎飲んどるけんねぇ」という百合ねえはとても明るかったです。お葬式には間に合わなかったから、お墓参りに行くねというと、「また、遊びに来なさいよぉ」とほとんど気炎を上げるほどに元気がよくて、とても安心できました。

4年間も寝たきりだったので、毎日看病していたあっちゃんに疲れが出ないようにと思っていましたが、私は80歳を越えて急にひとり暮らしになった百合ねえのことがいちばん心配でした。おんちゃんの入院中、お見舞いに行ったのも本当は百合ねえと一緒に呑んで、元気を出してもらうことがねらいでした。

でも、1年前からは詩吟を再開し、最近は毎日歩いていると聞いてだいぶ安心していました。おんちゃんもきっと天国で安心していることでしょう。

おんちゃんには本のことだけでなく、その後も雑誌の取材で行ったり、ほかの方を伴って舟に乗せてもらいに行ったりして、そのたびに盛大に四万十川の幸をごちそうになり、本当にお世話になりました。そして、なにより、おんちゃんはその背中で、私に幸せに生きていく方法を教えてくれました。本当に「ありがとうございます」をいちばん伝えたい人でした。

だから、亡くなった日から、私は空に向かって「おんちゃん、元気~。ありがとうねぇ、今日も私はおかげで幸せだよぉ」と言っています。

入院中はおんちゃんが生きてくれているだけで元気になれる、ありがとうと思っていたけれど、亡くなったら、もっともっと元気がもらえているような気がしています。「ありがとう」と大きな声で何度も言えるようにもなりました。

そして、私は今日も、「おんちゃん、本当にありがとう。しあわせだよぉ」と空に向かって、にっこりしています。


桜旅その1 巨樹編

2008-04-18 21:09:46 | 巨樹の旅


旅ではあまりきちんと予定を立てないのが私流です。
何時に出発するかも適当ですが、泊まる場所を決めるのもぎりぎり。
だから、予約は当日の午後2時くらい。予約できるぎりぎりの時刻になって電話をすることが多いんです。

なぜかというと、桜を訪ねながらも途中でおもしろそうだなぁと思うとそこに立ち寄って、気ままに時間を過ごしてしまうからなんですね。
だから、事前に宿泊地が決められない。なかでもいちばん多いのは、地図上に記されている巨樹への立ち寄りです。


P1000079 でも、ふらふらと旅をしていると、思わぬものに出合います。

これは岐阜県恵那市にある禅林寺の雪舟の画。たまたま、このお寺に巨樹があったので立ち寄ったわけですが、目にしたことがある達磨の絵の本物に対面するなんて……。
実際に見ると、この絵は縦1メートルあまりもある大きいもので、なおさら驚かされました。従って、達磨大師の眼力はすごかったです。


Img_4741 禅林寺の大スギです。じつはこの木を見ようと立ち寄ったのですが、臨済宗妙心寺派のお寺があまりにもりっぱだったので、拝観料を払ってなかを見学。そこで、だるま様に会ったというわけです。


Sugi 岐阜県加茂郡市川町にある大山白山神社にも行きました。左が幹周り8.9m、樹高36m、推定樹齢1200年の大スギ。右が夫婦スギです。ここは白川町の中心からクルマで20分ほど。標高892mにあるため、誰もいませんでした。


Koma 大山白山神社は天上画で有名だそうですが、ここには変わった狛犬がいました。子連れ狛犬に、手鞠をつく狛犬です。


P1000154 静かな境内には楚々と咲くサクラもありましたが、撮影を終えて戻ってくると、見晴らしのいい神社の広~い駐車場に座って、ひとり愛妻弁当を食べているおじさまがいました。自然パトロールをなさっている方のようで、静かな場所でひとりランチを食べてるなんて、なんだかかっこよかったぁ。


Img_4824 これは長野県下伊那郡清内路村の「小黒川のミズナラ」。
幹周りは6.4mですが、人里離れた山奥に鎮座する樹齢300年以上の巨樹は見事な枝張り。気持ちいいよぉといわんばかりに手を広げている感じで、ここはとても気持ちのいい空間でしたね。
今回は葉がまだ繁っていなかったので、この次はぜひ新緑のころに行ってみたいと思っています。


Img_4843_2 上のミズナラに立ち寄ったのは、飯田市にあるこの「安富桜」を見るためでした。残念ながら、すでに花は散っていましたが、樹齢450年以上、幹周り5.4m、樹高20mというエドヒガンは木としてもとても威厳があるいい木。これも次はぜひ満開のころに来なくてはと思いましたね。


Img_4853 安富桜は飯田市美術博物館(桜の後ろにある白い変わった建物)の前庭にあります。そして、そのお庭にはさまざまな木や花がきれいに植えられていました。
これはサクラの横にあったモミジ? 新葉から真っ赤なのが不思議です。


Img_4855 まだ樹高1mほどのモクレンの木もありました。だから、花のアップが撮りやすかったぁ……。


Img_4862 上品な感じのスイセンも。ここには御衣黄もありましたよ。

いろんなサクラとともに、いろんな木、いろんな花や人、そしてワンちゃんたち。旅は本当にさまざまなものに出合わせてくれます。出合う数が多いほど、人生が深くなって、懐も深い人になれるといいんだけど、……ね。