kananagaの日記

音楽したり絵を描いたり紙芝居したりするkananagaの暮らし

ほぼ日刊イトイ新聞創刊12周年記念MONEY IS お金のことをあえて。

2010-08-01 | 日記
ほぼ日刊イトイ新聞創刊12周年記念MONEY IS お金のことをあえて。矢沢永吉×糸井重里素人社長会議、(の、再放送)でお二人が言っていることに、あれこれ共感。多くのひとに聞かせたい。このページにしゃべったことがだーっとのっているので興味のある方は全文をぜひ。
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http://www.1101.com/okane/event/index.html

でもいつかこのページがなくなっちゃうかもしれないし、kananagaは自分の備忘録的に、ひとまずより気になった部分を以下に抜き書きペースト。

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■糸井■
「お金について『困ってる』というふうに考える機会は多かったんですか?」

■矢沢■
「うん。でも、それは僕だけじゃないと思う。いまの若いロックバンドはわからないけど、僕の場合はね、ビートルズがやってきたときですよ。あのメロディー、あの出方ナニ!とてもセンセーショナルですよ。ビートルズが、どうやって出て行くか、というのがもう、物語になってるわけです。
マネージャーとの出会い、取り分との話‥‥あのマネージャーって、いろんなことをやってた人なんです。プロのマネージャーだったわけじゃなくて、家具屋さんとかレコード屋さんもやってたんじゃないかな。そのレコード屋さんに、1日に5人8人、いろんな人がビートルズありますか、ビートルズありますか、って
レコード買いに来たんですって。そこで、ビートルズって何?ってことになって、ステージを見に行った。なんかわからないけどすごいな、とすぐ思った。そして、これ、金になるんじゃないかな、って彼はすぐ思った。金になるんじゃないかな、というアンテナは、彼はあるんだよね。
おれ、マネージャーやるよ、って話をすぐにジョンレノンにしたんだよ。そして、そこですぐに、お金の取り分の話やってるんだよね。取り分、35にしようよ、30にしてよ、っていう折衝です。
ジョンレノンだって、マネージャーだって、お互いによく金のことなんてわかってないくせに、お互い、最初にもう、金の話になるってわかってるんだよ。
ビートルズのよさって、どこにしびれたって、そこです。彼らの伝記がものすごくぼくに教えてくれたのは、こんなに、何もない俺たちでもロックという武器で
一発あてたら世界変えられるかもしれないということ。それがいっぱい込められてるわけですよ。
権利をとられちゃいけない、っていっぱい書いてあって、そこにぼくはつかまえられたわけ」

■糸井■
「スターが大爆発するかどうかっていうのは、そこだよね」

■矢沢■
「うん。ミュージシャンは、音楽がすき、もてたい、きもちいい、うまくいきゃ、メルセデスに乗れるかもしれない、ていうことで音楽やってるでしょ。そこに権利関係をどうするか、というのがビートルズの伝記に埋まってる」

■糸井■
「永ちゃんが日比谷の野音で、キャロルで出たとき、山下達郎さんも、大滝詠一さんも、矢野顕子さんもが100人くらいのライブハウスでやってた時代。永ちゃんも含めてね」

■矢沢■
「食えないよね、ぜんぜん」

■糸井■
「やっぱり」

■矢沢■
「当時のロックバンドは『アドバンス』って言ってつまり『前借り』ね。ギャラの。それか、彼女に食わせてもらってるか。さっきのビートルズの成功話とぜんぜんちがうわけ」

■糸井■
「うん」

■矢沢■
「音楽という武器で、なにかおこせるかもしれない。そう思って東京に出てきたから、そんなんじゃだめだと思ったね」

■糸井■
「でも、あの時代は、金の話なんてしてなかったでしょう、みんな」

■矢沢■
「だから、ふたつにわかれたよね。矢沢、おもしろいなという人と、矢沢、嫌い、金の話ばっかりして、という人と」

■糸井■
「おまえ、この業界でやってけなくなるぞっていってくれるやつもいたでしょ」

■矢沢■
「‥‥オレに直接言ってくるやつは、いなかったな」

■会場■
(笑)

■糸井■
「ああ、こわいから(笑)」

■矢沢■
「いや‥‥あのね、オレ、真面目なんです」

■糸井■
「はい(笑)」

■矢沢■
「でもね、思い出すと、そう言ってくる人が、ひとりだけいたんです。お前、つぶされるぞって」

■糸井■
「いましたか!」

■矢沢■
「そのとき、ぼく、その人に言ったんです。ぜったいに上行くし、そのときに、ぼくがこの業界をつぶしますからって」

■糸井■
「はー‥‥。でも、そういうセリフをさ、永ちゃんの真似してつぶれてった人はいっぱいいそうだよね」

■矢沢■
「そうなの?」

■糸井■
「そのちがいがどこにあるのかを考えると、やっぱり、永ちゃんの『まじめさ』じゃないかな。他の多くの人は、その『まじめさ』に耐えられないんだと思う」

■矢沢■
「ふーん」

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■糸井■
「さまざまな人がYAZAWAをモデルにしているように永ちゃんは、ビートルズをモデルにしてたんだ」

■矢沢■
「そうだね」

■糸井■
「生真面目さ、モラルを感じるときがあるんです。なんなんだろう、永ちゃんが変な人にならなかったのって」

■矢沢■
「まぁ、性格もあるんじゃない?ズルイことや卑怯なことは、したくないというね。まぁ、無意識では、そういうことしてたかもしれないけど、すくなくとも、意識の上では、したくなかった」

■糸井■
「無意識では卑怯なことをしたかもしれない‥‥って自分の話にまぜるでしょ?
そこが永ちゃんらしいんだよね。政治家の話には、ぜったい混ざってこないと思うよ」

■矢沢■
「でもさ、正直な話、20代の終わり、30代の頃なんてまわりを踏み台にして、上に行きたかったから。こいつにとられるくらいなら、オレがとるって。60代のいま、思い返すと、そういう意図はなかったにしろまわりを、傷つけてたのかもしれないなぁって」

■糸井■
「40をすぎたころ、あらゆる借用書がまわってくるってことに、気づいたんです。ああ、あのひと、道端でちょっと突き飛ばしちゃったことがあるなって。かならず、あとから返ってくる。ごめん、わかいころのことって。」

■矢沢■
「そういうものなんだと思う、それは。そんなことも、あんなこともあって、こんな歳に、なっちゃったんだよな」

■糸井■
「金欲しいなあって、あんなに欲しがってた時代からすると、そんなことでもないな、って思い始めたのは、いつごろですか」

■矢沢■
「やっぱり、50入ってからかなぁ。オレが人間に、ほんとになったなぁっていうのは、50入ってからだと思うの。だって、僕は50になるまで、自分の立ってる位置もわからなかった。50になってから、自分のことがじわじわじわじわ見えて来た。
あれだけ、あの位置に行きたい金が欲しい、って言ってたけどね。
でも、20代30代で、オレがもし「大事なことは金じゃありません」って、もし言ってたとしたら、それは、そうとうな、クソです、そうとうな嘘つきですよ。

■糸井■
「永ちゃんは、お金の使い方がとってもわかってるなぁ、と僕なんかが思うのは、コンサートでバーンと使ったりすることです。チェコから50人のオーケストラをステージのうちの2曲のために武道館に呼ぶのはケチなことを考えたら、よしたほうがいいことです。その、『やりたいんだよ』のためにお金を使うのが、
すごく上手に見えたんです」

■矢沢■
「ひとりのアーティストとして、制作会社にステージをお願いしていた場合、
何も考えなくていい。楽ですよ。矢沢とは、契約してこのくらいギャラください、それを話せばいいわけであってね。だけど、ぼくがなんで自分で制作会社をはじめたかというとね‥‥

あるステージが終わったとき、今日のライブ、照明がしょぼい。あれじゃまずいよ、ってスタッフが言ってきたわけ。
でもそれはぼくが言うことじゃない。矢沢にアーティストとしてのギャラを
払ってたらどこかでしぼんなきゃいけないでしょう。オレは、相応のギャラを
もらってるわけだから、制作会社には制作会社の言い分があるだろうし、そこはとやかく言うわけじゃない。
だけど、それは違うんだ。パフォーマンスというものは、照明も何もかも、すべて含めたものなんですよ、そこを自分でやるのとやらないのとでは、先に待ってるものが大きくちがっていく。
金じゃないんだよ。金というのは回ってるもんですよ。だから、制作会社をはじめたんです。
そこでやっていくことが次に繋がっていく、それは繰り返しなんですよ。
その繰り返しはけっこうハードな作業です。だけど、これはどこでやめてもだめなんです。やめたらフェードアウトしていくだけです」

■糸井■
「うん、うん」

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(その後、矢沢は側近のスタッフの三十億円を持ち逃げされる)

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■矢沢■
「30億円の事件のとき、『矢沢は、もう終わったな』と思って、やけ酒飲みまくってたの」

■糸井■
「うん」

■矢沢■
「酒は便利がいいもんでね。なぐさめてくれました。でも、1週間で飽きるんです。こんなことやってても、何も解決しない」

■糸井■
「うん、うん」

■矢沢■
「ぼくが有名人だから、マスコミは、おもしろおかしく書き立てるんです。被害者なのにね。そうしたら、腹立ってきたんですよ。こんなことしてらんない、マスコミの連中のさせっぱなしにさせない。そうしないためには、「借金を返す」ってことだけだったんです」

■糸井■
「ああ」

■矢沢■
「家族に、言われたんですよ。お酒もいっぱい飲んだでしょ?飽きたよね?たしかにタイヘンな額だけど、矢沢永吉が本気になったら返せない金じゃないから‥‥って。そんなことないんですよ、本心は」

■糸井■
「30億だからねぇ」

■矢沢■
「でもオレは『マジ?』って聞いたの。3回くらい聞いたの、『マジ?』って。
そしたら『マジ』って、返ってきた。おれは、その「マジ」っていう言葉に、すがりたかった。ほっとしたんだよね」

■糸井■
「ああ‥‥」

■矢沢■
「『マジだよね?』『マジ』『‥‥オッケー』って。それから、本気で走った。
よし、マスコミの野郎にぜったい、おもしろおかしくさせないぞって。もう、怒っちゃおうって」

■糸井■
「若返ったんだ」

■矢沢■
「仮想的というか、敵にしちゃったんだよね。そう思い込んだら借金の返済に向かって、一気に走ったよ」

■糸井■
「ははー‥‥」

■矢沢■
「真正面に、解決したんです。借金を返済した。そしたらね、まわりで拍手が起きたんです。ざわめいているのが見えたんだ。これが『解決』ってやつかと。『ケツを拭く』ってやつかと。そしてマスコミは、解決してるやつを、おちょくれないんです」

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■矢沢■
「今だとね、鳩山さんがいなくなりましたけどってメディアに聞かれるんです。
オレには、よくわかりません。わかりませんが、ひとつだけ、言いたいことがある。それはね、野党もメディアも一億数千万のわれわれ国民も鳩山首相に丸投げして、それでチャラにしようと思ってんの?‥‥ってこと。あの人ひとりにおっかぶせて、リングに彼を放り込んで、寄ってたかって、言いたいこと言って。
こんなの、あり?次だれ? 菅さん? 時間の問題だよね。だって、その仕組みが変わらないんだから」

■糸井■
「その、よってたかっての仕組みが」

■矢沢■
「ずるいよ」

■糸井■
「オレ、ツイッターで、鳩山さんのイタコをおろしていろいろいわせればいいのにって書いたら‥‥」

■矢沢■
「よく、そんなこと思いつくねぇ」

■糸井■
「そしたら、みんなが、そうだと思うって。つまり、伝えてる側の人たちが
ワーワー言ってるだけでふつうのひとはけっこう、あんなによってたかって‥‥って、思ってるんじゃないかな」

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■糸井■
「子どもに、お金の話って教えてる?」

■矢沢■
「うん。子ども3人いるけど、かならず言うのはおなじことばかりなんだけど、
お前たちには敵がいるって。それは、苦労したことしたことないことだ。そいつは、牙をむいてくるぞって」

■糸井■
「はー」

■矢沢■
「おぎゃあとうまれてから、冷暖房完備でしょ。このまえも、息子に怒ったんですよ」

■糸井■
「おとうさんやるねぇ」

■矢沢■
「たまたまお父さんオフだったからね」

■糸井■
「オフでしたか!(笑)」

■矢沢■
「エアコンつけっぱなしだったぞ。座れ。正座だ。お前、このエアコン代、タダか?ペイしてんのは、お父さんだ。誰かが金払わなきゃなんないんだよ」

■糸井■
「エコか? よりタダか? だね」

■矢沢■
「とにかく一回キレイごとは言わないで、『だれが払ってるんだ?』って。
だから、役人も、寸法バッチリあわせて話さなきゃダメだよ。あらゆる問題はそこから。うちの40人の社員に、かならず言うの。あのね、会社のカネだったら、なんでもいいのか?自分のがま口から金が出ると思ってみてくださいよ。国だってそうじゃん。そのへんを考えたら答えは出ると思うよ」

■糸井■
「うちはそのへん、大丈夫かもしれない。というのも、初期のころから、あらゆることをタダでやってきたんです。それ、どうにかタダでできないかなって。はじめにそこを考えてからだと、お金を払う意味もきちんとしてくるし、できないことって、あんまりなくなるんです」

■矢沢■
「それは、自分のがま口から、というのとおなじことだね」