よりみち文化財

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御廟山古墳の現地説明会 堺市 百舌鳥古墳群

2008年11月29日 | Weblog
大阪府 堺市北区

大阪府堺市の百舌鳥(もず)古墳群にある御廟山(ごびょうやま)古墳で現地説明会があると新聞報道があったので、出かけてきました。

現在、皇族を埋葬したと伝えられている古墳などは「陵墓参考地」として宮内庁が管理をしていますが、それらの古墳が従来研究者に公開されることはあっても、一般公開はなされておらず、今回のこの御廟山古墳が初めてだそうです。

29日と30日の両日とも、公開は午前9時から午後4時までと聞いていましたが、人出の多さを予想して、10時に大仙公園内に入りました。
御廟山古墳に最寄りのJR百舌鳥(もず)駅を利用するとなると、大仙公園へは御廟山古墳とはJRの線路を挟んで反対側の方向へ行くことになってしまうのですが、実はこの大仙公園の催し広場では見学のための整理券を配布していて、その整理券がなければ見学できないとのことだったのです。

それにしても、新聞に先着5000名に整理券配布、とあったように、主催者側ではかなりの人出を見込んでいるようです。新聞記事はあまり目立つものではなかったのですが、地元の大阪では昨日あたり、テレビニュースでもあったのでしょうか。



仮設の橋を渡ってからは、墳丘に沿って組み立てられている見学用の通路をたどって墳丘の周りを3/4ほどぐるっと廻る事になります。
やはり墳丘に降り立つことはできませんでしたが、大規模な古墳を周濠を渡ってこれほど近くで見るということは、確かにそうあることではありません。




今回の見学で印象的だったのは、円筒埴輪の底まわりだけが残って列をなしている「埴輪列」と崩落の激しい墳丘表面に散乱する「葺石(ふきいし)」、それからこの墳丘自体の大きさでしょうか。

墳丘の崩落は江戸時代に灌漑用水を確保する為に、周濠を拡げる工事がなされたことによるとの説明があり、また現在は崩落がより進んでいるそうです。
緑色の水をたたえる周濠は見てみると確かに浅いようで、農業用水にここの水を利用するとなると、広さのわりに貯水量がちょっと物足りないように見えます。




「テラス」
墳丘1段目のテラスが見えます。
「テラス」というのは本来“平らな部分”を指す言葉で、古墳の説明にはよく登場します。
巨大な古墳というのはたいてい段々に造られていて、ちょうどあの、積み重ねた鏡餅のような感じになっていて、この御廟山古墳の場合は3段あるということですが、それぞれの段の平らな面が「テラス」ということになります。
この御廟山古墳は三段重ねの構造である
現地の写真に写っている案内板の「テラス」の表示は、「墳丘斜面はこのあたりから平らにつくられていますから、ここから先がテラスです」という意味のようです。




「埴輪列」と「2段目の葺石」という案内板が見えます。
こういった古墳の発掘調査の成果を見るというのには、ほんのちょっとでも、古墳が造られた当時の姿をよりリアルに感じることができるという楽しみがあります。

堺市立博物館には、今回の発掘調査で出土した遺物の展示もあり、「朝顔形埴輪」や「蓋形埴輪(きぬがさがたはにわ)」、「家型埴輪」の破片が展示されていました。
その、「朝顔形埴輪」というのは、朝顔の形をした埴輪、という意味ではなく円筒埴輪のうち先端の一部分が朝顔の花のように開いた形をしているものということです。
「蓋(きぬがさ)」は、飾りの付いた傘のようなものらしいのですが・・・。
現地の見学と同時にこういった貴重な資料を見ることができるというのは確かに素晴らしいことですが、ちょっと説明不足のような気もします。

埴輪などの遺物から、御廟山古墳が築造されたのは5世紀後半で、しかも仁徳天皇陵といわれる大山(だいせん)古墳よりも少し古いものと考えられるそうです。



墳丘内には多くの巨樹が見えます。
何故か墳丘の様子よりも、通路を歩いているときにずっと墳丘内から聞こえていたたくさんの鳥の声が、耳に残ってしまいました。


見学会の資料に大正時代の地形図から推測したデータとして、
全長:約186m(今回の調査でもう少し墳丘が大きいということがわかったそうで、全長は200mほどと推定されています)
後円部径:約96m
後円部高さ:約18.3m
前方部幅:約119m
前方部高さ:約17.8m



 

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2 コメント

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初コメとなります (misacchi)
2008-11-30 07:07:59
おはようございます。
はじめまして。misacchiと申します。
御廟山古墳の説明会行かれたのですね。分かり易いご説明頂きありがとうございました。とても参考になりました。
こちら(神奈川)では金曜日の朝刊に説明会の実施が載りました。もう少し早く分かれば都合をつけて行きたかったなと思いました。
ですから、ご報告ありがたかったです。
これからもおじゃましますので、宜しくお見知りおき下さいませ。
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はじめまして (kalash)
2008-11-30 19:14:23
コメントありがとうございます。

私も現地見学会を知ったのは28日の朝刊紙面で、大阪近辺に住む私も前日の新聞発表にはちょっと慌ててしまいました。
確かにこういった古墳の公開はそう多くはないことですので、早めに発表があれば、と思います。

御廟山古墳は全長186mの前方後円墳ということでしたが、実際歩いてみると、通路から見える葺石はこぶし大ほどのものがほとんどで、まるで河原を歩いているようにも思えて古墳自体、もっと大きいように感じられました。

これからも文化財の探訪など、記事をアップしていきたいと思いますので、また是非いらして下さい。
よろしくお願いいたします。
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