やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

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幽霊だけど恋してる―310話

2014-04-28 23:41:41 | 小説
「死ぬのって、思った以上にリスクを背負うの。今まで出来ていたことが出来なくなる。これほど辛いことはないわ。あなたにはわからないでしょうけど」

「ゴメン。そんなに怒らなくても」

「怒るわよ。当然でしょ」

「悪かった。でも君の側にいたいのは本当だ」

優一はこんな積極的な男の子ではなかった。

どこからこんな風に変わったのだろうか。

一度想いを言葉にしてしまうと、もう言葉を止めることが出来ない。

その位、我慢していたのかもしれない。

「ねぇ聞いて。今日はちゃんとお別れを言いに来たの」

「お別れ?どーいう意味?!」

怒ったように優一は前かがみで言う。

「もう時間なのよ」

「時間?」

「そうこの世にいられるリミット」

「そんなの・・・他の霊みたいにいればいいじゃないか」

「他の霊?」

「俺も事故を切っ掛けに色々と見えるようになってさ・かなり古い霊も居るじゃないか」

「あれは自縛霊よ」

「そうなればいいじゃないか」

「ダメなの。私の場合・・・閻魔大王と約束してるからね」

「そんな約束は破ればいい」

「相手が相手。破れるわけ無いわ」

「そんな・・・だったらやっぱり俺が死ぬしか」

「ダメ!何度言ったらわかるの。わからずや!!」

「それは君もだろう!」

「ダメなの。あなたが死んでも私とはもう二度と会えないの!!」

「どうして?」

「私は消滅するのよ」

「消滅?」

「あなたは死ぬと霊界に行くわ。私の場合は、魂も消えるの」

「それって、どーいうこと?」

「もう意識も感情も、霊の姿さえ無くすのよ」


コメント
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