幽霊だけど恋してる―２９６話

「それでいいわけはありません」

「それでいいわけがない？」

「はい」

「ならばお前の望みはなんだ？」

怖い顔が一層怖くなる。

「私の望みは、私の思うようにすべて叶うことです」

「なに？」

思いもよらない望みに、閻魔大王も驚いたようだ。

一瞬間が空く。

「人間と言うものは本当に強欲なものだ。だから人はこの世に来て修行をせざるおえない。すべての魂を洗い清めなければ、どんどんと生の世界は荒んでしまう」

「欲なのは認めます。でもその代わりですが、私ならどうなっても構いません」

「お前如きの命と言っただろう。その程度の物と引き掛けに、何が望みだ。お前が求めている物をすべて言ってみろ」

「私の求めているのは、あの人達とあっちの世界にいる幽霊達、そして悪霊死霊がすべてこっちの世界に入れてもらえることです。消滅はなしで」

「それはおまえ自信の欲で、それぞれの気持ちなど無視しておるのではないか。あっちの世界にやつらがすべて同じことを望んでいると思うか？少なくても死霊はそんなことを望んではいまい」

「それは・・・・そうでしょうが、死んだらやはりこちらの世界に来るべきです」

「背後霊も守護霊もこちらで修業を受けて行った身だ」

「確かにそうですけど・・・」

「少なくとも守護霊がいなければ、生の人間たちは間違った方向に進んでしまうぞ。それでも良いのか？」

「それは困ります」

「どれほどお前の願いが浅はかで愚かか、わかったか」

「はい。ではもう一度整理ます。私の願いは私の思うようにすべてが叶うことです。その思うようにには、相手の気持ちを聞いてこちらに来たいと思うう霊だけにします。ただ死霊と悪霊は有無を言わさずにこちらに連れてきます」

「おまえのかわいい悪霊もか。間違いなく地獄行きだが良いのだな」

「正直あの子は自分のしていることが悪いことという意識がありません。ですので悪霊と片付けていいのか疑問です。でももし悪霊であるならば、あちらの世界でいるよりも地獄の方がいい。地獄も悪いところではないと聞きますし・・・」

「それはどうかな。地獄に落とされた人間の意識による」

「そうですよね。たぶんあの子なら、きっと平穏に暮らせると思います」

「自信だな」

「はい。しばらくあの子と居てそれを知りました。友達を愛することと信じること」

急に閻魔大王の顔が変わる。