やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

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幽霊だけど恋してる―300話

2014-04-18 23:05:15 | 小説
どうやって運べば、この死霊を解放せずに地獄に落とせるだろう。

砂場から少し見える地蔵の首に、露子は悩んだ。

もし解放してしまえば、また悪霊と死霊の戦いが始まる。

幾ら悪霊と言っても、5歳足らずの子だ。

何度も勝てるとは限らない。

そう考えると、早めにけりをつけたい。

いや、けりと言うよりも眠ったまま運びたい。

このまま掘り起こしたらどうなるのだろう。

たぶんまた蘇る。

「ねぇこの悪い奴を、このまま石に入れたまま運べる?」

無理と知りながらも少女に相談して見た。

少女は小首をかしげて見せる。

やっぱり無理か。。。

幾らなんでも、悪霊と言っても子供だ。

そんなことを知るわけないだろう。

露子はどうしたものかと、また一人で考え始めた。

少女はトコトコとどこかに走り出す。

露子は気にもしなかった。

どちらにしても公園の外には出ないだろう。

露子がここに居るのだから。

しばらくすると、裾を引っ張られる感じがする。

露子にはできないことだ。

つまりそれは悪霊である少女がしていること。

振り返ると、何やら手にしている。

「何?」

露子に差し出した。

露子はそれを見る。

触りたいが触れない。

露子の身体はないのだ。

それは折られた紙。

少女が開くとその紙は話し始めた。

『露子、戻ってきたよ』

見るとそれは式神だった。


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