やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

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幽霊だけど恋してる―291話

2014-04-09 07:36:15 | 小説
「ごめん。みんな!」

露子が急に立ち上がる。

話し合いを続けている仲間たちが、一斉に露子を見た。

誰も何も言わない。

「私・・・やっぱりもう一度、閻魔大王に会いに行ってくる」

「・・・・」

誰も何も言わなかった。

『露子の思うようにしていいよ』

その代わりに、式神が伝えてくれる。

いつもと同じ口調で、同じように優しく。

式神の言葉が皆の想いを代弁しているように、それぞれの口元に笑みが浮かぶ。

私は、私の思うように。。。

露子は決心を決めた。

もう誰にも迷惑はかけられない。

1人であの地に行って、閻魔大王に伝えたい思いをぶつける。

願いを一つ叶えてやるなんて、それはおかしい。

魂と魂。

きっと伝えたい気持ちをわかってもらえる。

今まで皆が露子を信じてくれたように、閻魔大王にだって通じる言葉がある。

「気をつけてな」

金太郎が言ってくれた。

露子は頷いて歩き始めた。

今度は堂々と自分の足で三途の川を渡り、真っ直ぐに恐れずに行こう。

閻魔大王の元に。

きっと伝えたい思いを言葉に変えよう。

皆を守れるのは自分だけだ。



川の桟橋に、船頭らしき男がいる。

何も言わないまま露子を誘った。

たぶん、、、もうあの世の誰もが、露子が来ることを知っている。

閻魔大王の元に。




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