Kajitama News

同志社大学法学部梶山ゼミの連絡板です。

あぁ、そういうことか!

2024-06-11 12:06:00 | 学習支援

昨日、卒業生と話していたとき、
仕事の傍ら、法律の勉強をしていて「あぁ、そういうことか!」と思うことがあり、今更ながら法律の面白さがわかってきた…という話が出てきました。
ええ話です。

 
法律学って、面白さに気づくまでに少し時間がかかる学問のような気がするのです。
準備運動が長く、かつ、一つ一つの動作がやや複雑すぎて、準備運動だけで疲れてしまうというか、準備運動を覚えることが目的になってしまいがち、というか…
複数の動作にはひたすら、一から丸覚えしようとすると大変だけど、
「あぁ、これは脚の筋肉を動かすんだな」とそれぞれの目的と結びつけながら、
「そもそも、筋肉を動かすための動作には何パターンかあって、部位によって動かし方は異なるけど、基本は同じだな」などと法則性を見出したりして、
「あぁ、そういうことか!」と仕組みに気づくと、丸覚えより楽に覚えられるうえに、
「ちょっと、ここを鍛えたいんだけど、その場合だと、こうすればいいのかな」と推測がつき、応用できるようになります。
 
この「あぁ、そういうことか!」は、経験上、人から一方的に与えられる(教えられる)だけでは身につかない…
自分で「これはどういうことなんだろう」とあれこれ考えてみて、「あぁ、そういうことか!」にたどり着く、
そうでなくても、自分でしばらく考えたうえで、誰かの説明を聞いて「あぁ、そういうことか」となる、
タイパ・コスパが悪いように見えるけれど、「あぁ、そういうことか」と自分の中で腑に落ちたものは忘れにくいですから、長い目で見れば、効率がよいようにも思います。
 
そういうわけで、私の授業では、基本的に、教室での質問を受けないことにしています。
 
分からない!→すぐ答えを聞いてスッキリしたい、という学生さんは、きっと不満でしょうね。
そもそも、大学の授業で扱う問題には万人が納得するような「答え」がない場合も少なくないわけですが、とりあえずの「答え」を今すぐ知りたい、という気持ちはわかります。
ただ、授業中はきっと話を聞いたり、メモをとったりすることに忙しく、
よほど能力が高い人でないと、自分で考えながら聞くことは難しいと思います。
レジュメが配られたり、板書やパワポが使われたり、非常に分かりやすい、多色刷り・図表入りの教科書があったりと、
初学者への配慮は格段に向上しているのですが、それでも授業を受けた直後に「全部わかったー!すっきりー!」なんて思うはずがなく(そうだとすれば勘違いです!)、
たいていは、「ちょっとモヤモヤする、分かったのか分かってないのかも分からない」状態で、その後(超真面目な人はその日の夜、多くの人はテスト前に)、牛のように「反芻」しながら、情報をゆっくり消化していく、
その過程でどうしても消化できないものが出てきたときに質問し、疑問を解消すると、「あぁ、そういうことか!」となります。
 
メッセージで質問しようとすると、面倒くさいし、正直、回答する側も「授業時間外」の対応になりますから、少し負担が重くなる…大量の質問が送られてきて、アタフタすることもあります。
でもね、文字にすることによって頭が整理されます。
もしかしたら、レジュメを見返しながら書いているうちに「あぁ、そういうことか!」と気づくかもしれない、それなら、それでいいわけです。
私も、回答を書くなかで、「あぁ、この順序で説明したほうが伝わりやすいかも」とか、「この情報を付け加えると、知識が広がるかも」などと気づくことがあります。
教室の限られた時間でのやりとりでは、難しいことです。
 
ちなみに、私の「民法概論」では、数年前から、授業中に「発展」と言う問いをいくつか用意して、数日後に「解説」を出す、という形で、「あぁ、そういうことか!」体験をしてもらっています。

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