この説明文にある、電子資料一覧のリンクを開いてください。
「目的で絞り込む」のところから、「判例・法令を調べる」を選びましょう。
性同一性障害特例法による性別変更要件としての「生殖能力をなくすこと」につき、最高裁が違憲の判断を示しました。
特例法では、性別変更の要件を次のように規定しています(3条1項)
一 十八歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に未成年の子がいないこと。
四 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
2003年の制定時には、3号が「現に子がいないこと」となっていたところ、2008年に「現に未成年の子がいないこと」と要件が緩和されました。「未成年の子がいない」要件についても、憲法違反が問題となっていますが、最高裁は、2021年11月30日、憲法に違反しない、と判断しています。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90733
2号の「現に婚姻していないこと」についても、2020年、最高裁は、違憲性を否定しています。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89311
今回は4号、5号の要件の問題です。
この点についても、2019年に、最高裁は、「本件規定は,性同一性障害者一般に対して上記手術を受けること自体を強制するものではないが、性同一性障害者によっては、上記手術まで望まないのに当該審判を受けるためやむなく上記手術を受けることもあり得るところであって、その意思に反して身体への侵襲を受けない自由を制約する面もあることは否定できない」としつつ、「現時点では」憲法に違反しないと判示していました。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88274
ただ、2週間前には、静岡家裁浜松支部が4号を違憲とし、卵巣摘出手術を受けずに性別変更を申し立てた人に対し、女性から男性への性別変更を認めました。
最高裁が、今回、4年前の判断を覆すかが注目されていました。
この問題については、ゼミで繰り返し取り上げており(古くは1期生・・・だから、1999年でしょうか)、4年生も「城プロ」の報告が始まる前の共通課題として、この秋、まず、この問題を検討しました。
判決を2日後に控えた月曜日、意見を聞いたところ、「手術要件は不要」という意見と「不要だとは思うのだけれど、それによる社会の混乱も心配で、正直、迷っている」という意見に分かれました。
最高裁には、現行規定維持派、改正派、双方から要望が出されていました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231005/k10014216411000.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231017/k10014227661000.html
お風呂はどうなるの?トイレは?この手の話になると、必ず、出てくる話です。
Tさんが「でも、それは分けて考えてもいいんじゃないかと思います」といいました。
そう、日常生活において「戸籍上の性別」を確認する機会なんて、そうあるもんじゃない。
多くは、むしろ、「見た目」で判断しているんですよね。
もちろん、「悪用されるのではないか」「女性が危険にさらされるのではないか」等の懸念はわかります。
あるいは、アスリートなら、男女別の競技での扱いが気になるかもしれません。
ただ、それは「戸籍上の性別」と必ず結びつけないとダメな話なのか・・・
そこは「分けて考えてもいいんじゃないか」というわけです。
Iさんが「LGBTQには、性別がはっきり分からないという人もいますよね」と言いました。
これまで、無理やり、「男女」に二分してきたけれど、それって必要だろうか・・・
これも重要な視点であると思います。
今日、「違憲」の文字を見て、私は、ある卒業生の顔を思い浮かべました。
男性になるため、身体にメスを入れ、卵巣を摘出した卒業生です。
自分で決めたことであり、親も理解してくれた、今は幸せに暮らしている、けど・・・
Tちゃん、つらかったよね。
(追記)今日の判決文、ホームページにでました!公衆浴場やトイレの問題にも触れられています。https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92446
すでに報道されているとおり、ゼミで何度か取り上げてきた問題に関して、最高裁の判決が出ました。
予想どおり、ネット上にはかなり激しい反発が表明されています。
先月、すったもんだの末、関連法案が可決されたばかりですので、この判決が出たことで、また同じ議論が繰り返されるのだろうと思うのですが、賛成、反対の前に、まずは、(報道で要約されているものではなく)判決文全部に目を通してほしいと思います(昨日のうちに、裁判所HPにアップされています)。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92191
報道でも繰り返し強調されていますが、判決は、あくまでも「この事案での対応」が問題とされています。
一般論ではありません。ただし、議論の契機にはなるだろうと思います。
今日から執行官のドラマが始まるようです。
「強制執行」の世界を描くドラマ…のようです。