東洋医学の実践的理論研究~人間が病むということの過程的構造からの東洋医学的治療論の研究~

人間が病むということの過程的像から、鍼灸等の問題を説いてみたいと思います。よろしくお願いいたします。

「旧・東概」まとめ(12-2)~病因論、概要と外因(六淫)~

2015-10-26 22:30:20 | 鍼灸理論・東洋医学
 「1.病因論」まとめ。この項では、まず病因観の歴史が説かれ、次に外因と内因、不内外因の具体が説かれる。病因観の歴史を視ると陰陽論の有効性、必要性が痛感される。(『』内、要旨)

 「1)概要」
 『鍼灸医学では、病因は陰陽論に基づき分類される。大きく。陽としての、外因によるもの(外感)と陰としての、内因に基づくもの(内傷)に分けられる。(「台形における病因の分類」図があるので最後に画像で添付する。ブログ筆者。)
 「内経」の後、宋時代に病因を、外因(六淫)、内因(七情)、不内外因の三つに分けた。以降、これが一般的となった。』

 「2)外因」
 『外因(風、寒、暑、湿、燥、火)は、自然界の気候の変化であり、万物を生成、変化させる天の「正気」である。しかし、これが過剰や不足、あるいは季節に反して現れるとともに、人間の側の生命力が衰えていると、外因が外部から発病させる原因となり、病につながっていく。この場合の「六気」の外因を「六淫」・「外邪」と呼ぶ。』

 「(1)風」
 『風は春の主気であるが、四季のすべてに外邪とあいて現れる。「五臓」では肝と関係が深い。外感病の中では、風によるものが最も多い。皮毛から侵入し、営衛の気を不通にする。
 ①風は陽の邪気。上部を犯しやすい。(頭痛、鼻詰まり、咽頭痛、顔面の浮腫。)②衛気を犯す。(発熱、悪寒、汗)③風邪による病は症状や部位が一定せず、動きやすい。経過が急で変化が速い。[遊走性]④風は百病の長。六淫中もっとも重要な発病因。』

 「(2)寒」
 『寒は冬の主気。「五臓」では腎と関係が深い。
 ①寒は陰の邪気。体内の陽気を損傷し、陰陽の調和を崩す。(悪寒、悪風。)②寒は気血を渋滞させ、痛みを引き起こす。[凝滞性](経脈の流注部位に痛み。)③寒は収縮収斂作用を持つ。[収引性](悪寒、発熱、無汗、頭痛、脈緊。)④寒は臓腑を直接犯すことがある。(腹の冷え、痛み、嘔吐、下痢、頻尿)⑤現代では、自然界以外の寒邪がある。(夏の冷房。)』

 「(3)暑(熱)」
 『暑は夏の主気。「五臓」では心と関係が深い。暑邪は陽の邪気、盛夏だけにみられ、正気を消耗させる。
 ①暑は「火」の邪気。(高熱、顔が赤くなり、大汗、煩渇、脈洪数大。)②暑は陽の邪気。上昇し発散する。[炎上性、開泄性](汗が出ることで気と津液を消耗し、身熱、多汗、口渇、脱力感。)③暑邪は湿邪を伴なうことが多い。(湿邪を伴うと、四肢の倦怠感、胸苦しさ、悪心、嘔吐、下痢などの湿の停滞による症状。)』

 「(4)湿」
 『湿は長夏(中国では夏の終わりの一ヶ月、わが国では梅雨や秋雨の時期。)の主気。「五臓」では脾と関係が深い。
 ①湿は陰の邪気。下部を犯す。[下注性](下肢の水腫、帯下、脚気、下痢など下半身の症状。)②湿は重く、停滞する。[重濁性、粘滞性](陽気が損なわれ、頭や体が重く、だるい。関節に滞ると関節が痛み腫れる、体重節痛という。湿邪による病は治りにくく、再発しやすい。)③湿は脾胃を犯す。(下痢、尿量現象、腹水、水腫。)』

 「(5)燥」
 『燥は秋の主気。「五臓」では肺と関係が深い。口や鼻から入り肺を犯す。①燥は乾燥させ、津液を損傷。[乾燥性](口や鼻が乾き、水分を欲し、皮膚が乾燥、カサカサ、ひび割れ、毛髪に潤いがなくなる。)②燥は、肺を傷つけやすい。(肺は湿を好み、燥を嫌う。肺が燥邪に犯されると、痰が出ないか痰が少なく粘る痰を伴う咳、痰に血が混じったり、喘息や胸痛。)』

 「(6)火」
 『火邪には、外因性と内因性がある。外因性の火邪は、暑以外の外熱。内因性の火邪は、体内の熱が盛んになり過ぎたもの。「五臓」では心との関係が深い。
 ①火は陽で上昇。[炎上性](高熱、煩渇、顔面紅潮、目の充血。心煩、不眠、狂躁、意識障害、うわごと。口苦、歯齦の腫れと痛み、口舌の糜爛など火による症状。)②火は気や津液を損傷する。(咽喉の渇き、唇の乾き、口渇、尿量減少して色が濃い、便秘、倦怠、精神疲労、脱力感。)③生風、動血しやすい。(肝風として、高熱、昏睡、うわごと、四肢痙攣、頸項部の強直、角弓反張?。動血現象として、吐血、咳血、鼻出血、血尿、血便など異常な出血。)④腫瘍を形成しやすい。(癰腫や瘡瘍。瘡瘍に伴う局所の腫脹、発赤、疼痛、発熱。)』

 「(7)六淫以外の外邪」
 『疫癘、いわゆる疫病(ジフテリア、猩紅熱、耳下腺炎、天然痘、コレラ、ペスト、疫痢。)』


 長くなったので、コメントは別に付します。
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