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再出発の英文法:前置詞

2008年05月28日 10時17分03秒 | 英文法の話題

「日本人が苦手な英文法の項目を一つ挙げてみてください」と聞かれたら、おそらく、70%以上の英語の先生方は「冠詞」とともに「前置詞」を挙げるのではないでしょうか。今回はそんな「英文法の難所中の難所」を取り上げたいと思います。

ことほど左様に、前置詞と冠詞は英語の非母語話者にとって(for a nonnative speaker)最後まで自信を持てない項目。けれども、TOEFL/TOEICを攻略するために必要な前置詞の知識の過半、もちろん感覚的な数字にすぎませんが、おそらく80%くらいは前置詞がイデオムや群動詞(ex. look at, look for)の要素として使われるケースの理解。また、残りの約80%(≒全体の16%)は語法の理解(ex. in the morning, on the morning of the dayでの”in”と”on”の使い分け)に限定されると思います。

つまり、受験英語や英検、TOEFLやTOEICの対策のために必要な前置詞の知識は膨大かもしれませんが、要は、覚えればすむタイプのものということ。ならば、「日本人が苦手な英語表現の東の横綱」とはいえ、前置詞はコツコツと覚えていけば必ず攻略できるはずの論点でもある。而して、今回の記事では、コツコツ覚える作業の「準備運動」として 「面白くない!」けれど「結局、役に立つ」前置詞の基本を一緒に確認したいと思います。


[1]英語の文型と前置詞
前置詞は読んで字の如く(literally)、「前に置く詞」であり、単独でセンテンスの中に登場することはまずありません。それは必ず何かの前(”pre”)に置かれる(”position”)はずのもの。つまり、唯一の例外を含め実際のセンテンスの中に登場する前置詞の使われ方は、原則次の4パターンしかない。

(1)述語動詞+前置詞→名詞(代名詞)
(2)名詞(代名詞)+前置詞→名詞(代名詞)
(3)前置詞→名詞(代名詞)
(例外)述語動詞+前置詞→φ


Personnel Department is looking for the very best person for the position. (1)
(人事部は現在、そのポジションに最適の人材を探しているところだ)

The king of kings(2)
(王の中の王=イエス・キリストのこと。ちなみに、「本命中の本命」のようなこの表現は、一説によると古代のヘブライ語の「最上級表現」に起源を持っているということです)

Would you pick me up on tomorrow morning?(3)
(明日の午前中に、私を迎えにきていただけませんか。特定の日の「午前中」は”in the morning”ではなく”on the morning”になります)

“Please go on.” “They went on and went on.” (例外)
(「どうぞ(お話を)お続けください」「彼等は前進に前進を重ねたのです」)

前置詞が使われる4パターンを少し詳しく説明しましょう。

(1)の「述語動詞+前置詞」は併せて一つの群動詞

文型の考え方からは、“Personnel Department is looking for the very best person for the position.”は、[S→V(is looking for)→O]の第3文型なのです。このタイプは、be動詞+前置詞(be fond of「~が好きだ」)など多数あります。尚、ちなみに、最後の”for the position”は(3)型の「前置詞→名詞」であり副詞句。


(2)の「前置詞→名詞」は形容詞句

“the king of kings” の”of kings”は「多くの王様の中の」という意味で”the king”を形容詞的に修飾しています。こう書くと「難しいー!」と感じるかもしれませんが、なーに、the roof of the house(家の屋根), the leg of the desk(机の脚), an annual report of the security company(その保険会社の年次経営報告書)など頻繁に目にする表現なのです。


(3)の「前置詞→名詞」は副詞句

文法的には、”Would you pick me up on tomorrow morning?”の”on tomorrow morning”は”tomorrow”としても同じです。つまり、”Would you pick me up tomorrow?”(明日、私を迎えにきていただけませんか)は[S→V(would pick up)→O(me)]であり、”on tomorrow morning”も”tomorrow”も副詞(句)。そして、副詞句は原則100%修飾語句になり、文型を考える際にはないものとして考えるべきなのです。


(例外)の「述語動詞+前置詞→φ」は(1)の亜種

このパターンは「述語動詞+前置詞」が完全自動詞(後に、目的語も補語も必要としない第1文型を取る述語動詞)になっているもの。ちなみに「φ」は「空集合」でnothingの意味。


註:「錯覚よくない、よく見るよろし」
見かけから(4)に間違えやすいパターンに注意してください。こんな場合です。

That is the laboratory which Dr. Yukawa and Dr. Tomonaga used to study in.
(これは湯川博士と朝永博士がかって研究していた研究室です)
このセンテンスから関係代名詞をはずして2文に分解すると、

That is the laboratory. +
Dr. Yukawa and Dr. Tomonaga used to study in the laboratory.

になり、関係代名詞で順序が変わっていますが、意味上はちゃんと、"in the laboratory"と(3)の「前置詞→名詞」になっています。




[2]前置詞の用法を見分ける
前項で述べたように、前置詞が実際にセンテンスの中で使われるパターンは、(「述語動詞+前置詞→φ」をパターン(1)の一種と考えると)次の3種類しかありませんでした。

(1)述語動詞+前置詞→名詞
(2)名詞+前置詞→名詞
(3)前置詞→名詞



Research and Development Division of our company is looking ahead to fierce competition in the near future.

(うちの会社の研究開発部は近い将来の激しい競争に備えている)

“Research and Development Division of our company”は(2)の「名詞+前置詞→名詞」。”is looking ahead to fierce competition”は(1)の「述語動詞+前置詞→名詞」。そして、”in the near future”は(3)の「前置詞→名詞」であり副詞(句)の”tomorrow”とかと同じ修飾語句の働きをしています。

そして、(1)は「述語動詞→目的語」(V→O)の働きをしており、(2)の”of our company”は直前の” Division”を形容詞的に限定修飾しています(「赤いリンゴ」は世界中のリンゴから「赤いリンゴ」だけを選り分ける働きをしていますよね。これを限定的な修飾と呼びます)。

また、例えば、“Jim just said to get in .” (最初ジムは車に乗るようにとだけ言った)get in のような「述語動詞+前置詞→φ」は目的語も補語も不要な「完全自動詞」(第1文型を導く動詞)と同じ機能を果たすのです。

尚、実際の英語のセンテンスの中で、「前置詞→名詞」の英単語列を見かけたときそれを(1)~(3)のどの用法と考えればいいのでしょうか?  だって、それこそ前置詞は「前に(pre)置かれた(position)詞」というくらいですから、(1)~(3)にはすべて「前置詞→名詞」がパーツとして含まれていますからね(くどいですが、下記参照)。

(1)述語動詞+「前置詞→名詞」
(2)名詞+「前置詞→名詞」
(3)「前置詞→名詞」

而して、ある前置詞の用法が(1)~(3)のどれかを判断する基準は、(1)→(2)→(3)の順番で検討してみることです。

要は、「それが(1)であれば(1)」→「(1)でなければ(2)or(3)」→「(2)なら(2)」→「(2)でなければ(3)」という思考の流れで判断した方がよいということ。なぜならば、英語のセンテンスには(and, but 等の等位接続詞が複数のセンテンスを結びつける「重文」以外のすべてのセンテンス)には述語動詞は1個しかないのだから(1)の作業が一番間違いなく確実だからです(また、(2)もこの理由に準じます)。実例で検討しましょう。

Considering the old car of mine eats up much gas, I don’t want to eat out and would like to have lunch at the cafeteria of our building in the 5th floor.(私の車は古くてガソリンをすごく消費するので、私はお昼には外食するよりもうちのビルの5階にある食堂昼食はすませたいと思う)

“eats up”は(1)。(少しマニアックですが)”eat out”のoutは群動詞のeat outを構成する前置詞または副詞。”at the cafeteria ”と” in the 5th floor”は(3)。そして、”cafeteria of our building ”と”the old car of mine”は(2)です。

つまり、冒頭の” Considering the old car of mine eats up much gas,”という分詞構文による副詞句を取り払った本体部分、”I don’t want to eat out and would like to have lunch at the cafeteria of our building in the 5th floor.”の構造は、

S→V(don't want)→O(不定詞の”to +動詞(=eat out)”)/and V(would like ) +0(不定詞の”to+動詞(=have)”+目的語(=lunch)”)・・・の構文です。それ以降(at the cafeteria of our building in the 5th floor)は、場所を表す副詞句(=修飾語句)だから文の要素や「この文が第何文型かということとは無関係」ですよ。







<確認演習>
この記事で説明したことを例題で確認しましょう。


▼例題1:
Ms. Jody is < > a meeting right now.
(A) in
(B) at
(C) on
(D) under


訳:ジョディーはただいま会議中です。
正解:(A)
説明:「会議中」のbe in a meeting, be in a conference, および、「来客中」のhave a visitorはTOEICの必須表現です。


▼例題2:
Rui is < > lunch now, and she is going to go for a day after lunch.
(A) out
(B) for
(C) to out
(D) out to


訳:ルイはただ今昼食に出ておりますが、その後、終日外出する予定になっています。
正解:(D)
説明:be out to lunchは応用の利く便利な表現です。


▼例題3:
Mr. Chiba Nittai is not < > his desk now.
(A) on
(B) in
(C) at
(D) for


訳:千葉日台はただ今離席中です。
正解:(C)
説明:「席にいる」のat one’s deskは日本人の苦手な前置詞の用法でしょう。「椅子に座っている」感覚からか on his desk, in his desk をつい口に出してしまう方が少なくない。けれど、on his deskと言えば「机の上に登って胡坐をかいている」ことになりますよ(汗)。


▼例題4:
Meet me < > the library at lunch.
(A) among
(B) to
(C) in
(D) out


訳:お昼に図書館でお会いしましょう。
正解:(C)
説明:建物の内部を表す前置詞はin です。


▼例題5:
I visited National Defense Academy < > my stay in Yokosuka.
(A) for
(B) while
(C) during
(D) by


訳:横須賀市に滞在中、私は防衛大学校を訪れた。
正解:(C)
説明:my stay in Yokosuka が名詞句のため空所には「時間」を表す前置詞が入ります。while は接続詞であり、その後ろには「S→V→・・・」構造の節を必要とするため不可。ポイントは(A)for は「漠然とした期間を表す前置詞」なので定冠詞や代名詞の所有格等で限定された特定の期間を表す表現の前では使えないことです。次のセンテンスを見てください。

Weblog is a convenient tool for people who have some political opinion while (they are) being pressed by work.

(ブログは多くの仕事を抱えながらも、なにがしかの政治的主張を持っている人々にとっては便利なツールである)

つまり、接続詞のwhileやwhenは、それが導く従属節の主語が主節の主語と同じ場合にだけ「主語+be動詞」を省略でき、「(S→be動詞+)現在分詞・・・」の構文になる。そして、そうなると形の上では前置詞句を率いるように見えるのです。しかし、この例題では空所以降には語の形態的観察からも意味的理解からも省略された「S→be動詞」は見つけられません。この点からもwhileは「落選」になります。


▼例題6:
These regulations are designed to avoid any misunderstandings or confusion between sales representatives and ABC Toiletry Company; all sales representatives are required to follow these regulations as < > their employment contract.

(A) important as
(B) in front of
(C) in search of
(D) an integral part of


訳:これらの規則は、営業担当者とABC化粧品との間の誤解や混乱を避けるために作成されました。すべての営業担当者は雇用契約の不可欠の一部としてこの規則に従わなければなりません。
正解:(D)
説明:「as an integral part of~」は「~の切り離せない一部分として」というビジネス英語の決まり文句です。in front ofは「~の正面で」, in search of は「~を追い求めて」の意味です。


▼例題7:
What the conservative reformers are < > is to develop national economic policies both to promote free competitive enterprise and to realize revitalization of local communities.

(A) looking for
(B) looking after
(C) looking on
(D) looking over


訳:保守改革派が探し求めているものは、自由競争に基づく企業活動と地方再生を同時に達成しうる国の経済政策です。
正解: (A)
説明:(B)は「世話をする」, (C)は「傍観する」, (D)は「書類」などにざっと目を通す」「間違いを大目に見る」のイディオムです。


▼例題8:
The population in the city rose < > 20,000 last year to 3.5 million.
(A) with
(B) into
(C) by
(D) at


訳:その都市の人口は昨年2万人増え、350万人になった。
正解: (C)
説明:人口等の数値が変化する内容にriseが使われています。このパターンの問題では、「伸びた差額分」を表す前置詞by、他方、「到達した数値」を表すtoのどちらかが問われることが多い。例題では既に到達値はtoで示されており空所には増加分を表す前置詞が入ることになります。


▼例題9:
China's military budget, scaling new heights every year, has < > almost 100 per cent since 2005, touching US$58.8 billion in 2008; this year, the defense budget of China increased by 17.6 percent over last year.

(A) increased to
(B) increased by
(C) decreased by
(D) decreased to


訳:支那の国防費は毎年毎年最高額を更新してきているのですが、2005年から2008年におよそ2倍になり、2008年には588億ドルに達する見込みです。すなわち、今年は昨年よりも17.6%増えるものとみられます。
正解:(B)
説明:例題8の復習です。「as +原級+as」「less+原級+than」「比較級+than」という三つの比較構文のどれも使わず、「述語動詞+前置詞」で変化と比較を表す例文。increased by, increased to, decreased by, decreased toの表現はTOEICでも頻出です。いずれも「~by」 は「~だけ増える」、そして、「~ to」は「変化した結果 ~ になる」の意味。つまり、

increased by 100%:「100%増えた」=「200%になった」
decreased by 100%:「100%減った」=「0%になった」
increased to 200%:「増えた結果200%になった」=「100ポイント増えた」
decreased to 50%:「減った結果50%になった」=「50ポイント減った」


この点に注意して次の例文を読んでみてください。

In 2005, the population of 65 years old or more is 22,005,152 (17.3% of the overall population) and it increases 3,744,330 compared with 1995. As to the foreigner population, South Korea and North Korea is 40.4% of all the foreigner population but it decreases 5.6% compared with 1995; then China is 43.9%, Brazil is 40.9%, and the Philippines is 36.3% increases.

2005年には、65歳以上の人口は(全国民の人口の17.3%を占める)22,005,152人であり、それは1995年の前回調査時点と比べると3,744,330人増加しています。他方、外国人の人口に関しては、南北の朝鮮人がその40.4%を占めているものの、それは同じく1995年の前回の調査時点から比べて5.6%減少している。他方、この間に支那人が43.9%, ブラジル人が40.9%, そして、フイリッピン人が36.3%各々増加しています。
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