『近隣諸国が軍事力を増強しているという状況に現実的に対応するべきだ』について
中国との間には海底ガス油田問題があります。
しかし、それが日本を軍事的に攻撃する根拠にはなりません。
ガス油田の権益を守るために、外国からの投資熱を一気に冷ましてしまうような、最大の貿易相手国との関係を断つことになるような、せっかく勝ちとったオリンピックや万博を台無しにするような、日本への軍事的攻撃をして、自国の主張を通そうと中国首脳が考える蓋然性がどれほどあるでしょうか。
領土問題はどうでしょう。
竹島、尖閣諸島も問題を軍事力で解決するという時代ではありません。
なぜなら、代償があまりにも大きすぎるからです。
近隣諸国の軍備増強を怖れるのであれば、世界一の軍事的脅威はどこかを考えてみてください。
アメリカは、世界の軍事費のほぼ半分を一国で占めている軍事超大国です。
軍事的脅威が不安の原因ではありません。
信頼関係を無くすことが不安の原因なのです。
*この内容は伊藤真著『憲法の力』(集英社新書)714 からの要約です。全文を読まれることをお勧めいたします。(スタッフT)