憲法九条やまとの会

今、日本国憲法九条改憲を止める
 ・・・平和を望み、維持したい・・・

2011年9月10日 学習会ご報告

2011年10月07日 | 企画

日時 9月10日(土)14時~
場所 イコーザ 304号室

講師 高田 健さん
テーマ「憲法9条をめぐる最近の事情」

 高田さんはレジュメを用意してこられた。その内容は①野田新政権の政治路線 ②
3.11大震災と改憲~未曾有の大震災をよそに改憲を策動する人びと ③自民党戦略本
部報告書
④東日本大震災と日米安保 ⑤参院沖縄北方特別委での枝野発言、石原の核シミュ
レーション、原発保持にこだわる。なぜ、9条改憲の動きがやむことなく噴出するの
か。
⑥原発国民投票について考えること。という広い内容で、それに『週刊金曜日』に最
近掲載された高田さん自身の論考「改憲に向けた執拗な動きー96条改正を目指す議院
連盟設立」
のコピーが資料として加えられていた。(出席出来なかったスタッフの方がおられた
ら、次回のスタッフ会議でコピーを配布してはどうでしょう)
 大体は配布資料の順序で話されたが、①に入る前に、1990年代からの改憲策動と世
論調査の変化を振り返って話された。
 1993-94年、読売新聞憲法改正試案を発表。小泉:改憲・首相公選制。安部:2006
年には改憲目前の如くであった。麻生~福田 改正論議なえてきた。この間に読売新
聞は改憲賛否の世論調査を行ってきた。 

 
          改憲賛成      反対
1993       50.4%             33%
1994       読売 試案発表
2002       57%               29%
      小泉
2004       65%               23%
2006       56%               32%
2008       43%               43%
2010       43%               42%

 上の表にあるように、一頃世論が改憲に傾いてきたように見えるがこの間でも9条については常に6:3位の割合で改正反対が多かった。
   2006年以降改憲派が減少したのは改憲反対の市民の力によるものである。09年に自公政権が倒れてからは改憲派に前ほどの勢いはなくなり、市民運動では25条:生存権をはじめ労働権、教育権などが問題にされるようになってきた。
 
 ① 野田佳彦氏とはどんな人か。野党時代に「戦犯の名誉は回復されており、『A級
戦犯』と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない」したがって首相の靖国神社参拝は問
題ない、という質問主意書を提出しており、財務相当時は「基本的に考えは変わらない」と述べている。首相になってからは「首相、閣僚は公式参拝はしないようにしていきたい」と軌道修正した。 
 著述には「わが政権構想~今こそ中庸の政治を」『文藝春秋』2011.9、『民主の敵
~政権交代に大義あり』新潮新書2009、「わが政治哲学」『Voice』2011,9.10.発売
などがある。最後のものは講演当日の発売で高田氏は本屋の開店直後に購入したが、
大したことは書いてなかった(ご苦労さま)。憲法に関する持論は9条改憲賛成(9条
に自衛隊を明記)、集団的自衛権の行使を可能にするように政府解釈を見直すこと、
さらには集団的自衛権を行使できるような「新憲法の制定」を主張。但し今やると具
合が悪いので、内閣としては歴代と同じ姿勢。
 原子力発電に関しては「原発再稼働、原発輸出継続、少なくとも2030年までは既存
の原発を活用し、原子力技術を蓄積」。財政に関しては、増税(消費税)論者、政治
運営は「大連立」構想。

② 3.11大震災と改憲  
 5月18日の参議院本会議で、与党(民主)自民、公明などが参院憲法審査会規定の
制定を強行。憲法審査会設置を決めた改憲手続法に、従来は民主党も反対していたの
だから採決は全く筋が通らない。
さらに、8月31日衆議院運営委員会理事会で、筆頭理事が次期国会で衆参両院の憲法
審査会委員名簿を提出すると述べた。僅か4日間の会期でこれをやられた場合、反対
している社民、共産両党はどうするか。結局、委員を出して審査会の内情が分かるよ
うにしなければならないだろう。中曽根康弘や桜井よしこなどは、大震災への政府の
対応の遅れや不手際は憲法に「非常事態条項がないからだ」と「憲法非難」を強めて
いる。
 また、議会で改憲発議を通しやすくするため、現行の「3分の2」を過半数にひきさ
げようとする「憲法96条改正を目指す議院連盟」を設立した(6月7日)。前原政調会長は
就任直後アメリカで突然「三原則変更」」「PKO五原則見直し」と発言。鳩山由紀夫
元首相は北海道登別で陸上自衛隊で挨拶していわく「皆さま方が憲法の中で堂々とう
たわれて仕事が出来る環境を作らねばならない」等々と述べた。
 自民党はサンフランシスコ講和条約発効60周年となる来年4月に改憲草案を発表す
るという方針を表明している。また、行政府の権限強化などを目論んだ「緊急事態条
項」を明記することを考えている。

原発関係の集会の紹介。
 日本青年館で9月8日に「さよなら原発講演会」があり、原水禁(社民系といわれ
る)と原水協(共産系といわれる)が(おそらく初めて)力を合わせた。新聞「赤
旗」にも紹介された。このようにして協力体制が出来れば喜ばしいことだ。9月19日
には明治公園で原発さよならの5万人集会が予定されている。来年3月11日までに1
千万人署名を集める運動が起こっている。

 原発反対がこれほど大きな声になっているのに、何故原発保持にこだわる政治家・
実業家などがいるのか。
石原(都知事)核兵器保持論者。原爆のシミュレーションをやれなどと発言。これを
叩くマスコミは一つもない。財界や野田首相などが原発維持にこだわる理由の一つ
は、プルトニウムの大量保持。「日本は作ろうとすれば核兵器を沢山作れる!」とい
う状態に日本をしておきたいから。 
  
 質疑応答
①民主も自民もどっちも駄目というのではどれを選んだらよいか。
②憲法96条の3分の2という規定はなぜできたか。過半数が民主的に思えるか。 
答え「今2分の1というのは改憲(特に9条)をしやすくするためのものだから好ま
しくない」
 (蛇足:上野が、明治憲法にも改憲は3分の2という規定があったように思う、と
不確かなことを言いましたが、正確には「第73条①将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スル
ノ必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ②・・・両議院ハ各々其
ノ総員三分ノ二以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分ノ二以上
ノ多数ヲ得ルに非サレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス」とあります。現行憲法では議
員総数の3分の2ですから明治憲法より厳しい。しかし、議決は通常出席議員の過半
数で決まりますから、それに比べれば憲法改正は明治憲法でも厳しかった。ただし天
皇が改正の提案をして初めて議題になり、国民投票などはない。ここでも、主権がど
こにあるかはっきりしています。)
③「革新」政党の議員は何故多くならないのだろうか。
④みんなの党は9条についてどんな方針か。  答え「9条改悪」
 小沢氏は来年また党首選に出そう。彼は9条についてどんな意見か。 答え「9条
改悪」
⑤高田さんは憲法の外堀が最近埋められたというが、実は敗戦直後の「東くに」首相
が一億総ざんげと言った時すでに外堀は埋められたのだ。
⑥(自分の経験)アジア諸国の人々の、第二次大戦中の日本軍の犯罪に対する怒りは
長く深く世代から世代へと伝えられていて消えるものではない。彼等は歴史を良く学
んでいる。知らないのは日本人のみだ。
⑦良い話を有難う。このような誰が聞いても納得する話をどうやって広めてゆくか。
マスコミが大本営発表と同じで信用出来ないところにも問題がある。

           賛同者会議 
     司会 岸 記録 上野
 
①斎藤事務局長の挨拶、
 6月4日「5周年記念 なくせ貧困、生かせ憲法九条25条」という催しを行っ
た。斎藤・北島・石井三氏による木管三重奏 と 本田徹氏・竹信三恵子氏・斎藤竜
太氏(コーディネイター)によるシンポジウムで、大変好評であった。この会は、
「今憲法九条改悪を阻止する」という点で一致しており、その他のことについてはさ
まざまな意見の持ち主が集まっている。例えば私は、現行憲法に満足しているわけで
はない。第一先ず天皇条項が始めに来ているのは気に入らない。
 今「貧困」が進んでいるということを医療の現場で実感している。医者にかかって
金を払えない人が増えている。そこから、絶望する人が増え狂気になり、テロに走る
人々が増えている。また、精神状態が不安定になり、政権への不満がつのるが、為政
者は外に敵をつくってその不安・不満をそらし利用しようとする。そうした政治的な
動きが露骨に見える(尖閣列島、竹島、北方四島問題など。)予防策としても、 2
5条を根付かせる必要がある。
 本田徹さんは、憲法に国民とだけあるのが不十分だと考えている。日本に来ている
多くの外国人も等しく守らなければいけない筈だが、なかなかそうなっていない。彼
は1976年東ティモール独立紛争の際ボランティアの医師団に加わり、憲法前文と
九条の趣旨に沿って、丸腰で緊急支援活動を現地で行った。不十分であったという
が、素晴らしい活動であることに変わりはない。

 今後の予定
 ①11月12日 恒例のPeace Walk として小田急線生田にある 旧陸軍登戸研究所 その  
  他を見学。
 ②これも恒例の地域懇談会。暮れから正月にかけて開催。目下計画作成中。

質問と意見
      ①九条だけ守っていればよいのか。
      ②貧困の問題。50憶の人々が皆嘗てのヨーロッパ並みの文化的生活を
       したい、というが土台無理な話だ。
      ③テロはイスラエルを作ったことが原因で起こっている。イスラエルが
       アラブを自国に入れれば問題は解決する。日本もそうイスラエルを説得すべきだ。
      ④自民党は民主主義をやってこなかった、彼らの憲法改正は日本の帝国
       主義の復活を狙ったもの、。
      ⑤貧困は自然に生まれたのではなく、作り出されたもの。新自由主義―
       派遣増大、―リーマンショック―首切り容易という構造。
      ⑥議論するだけでいいのか。今は外に出るべきではないのか。
      ⑦今どういう方向に卯木いているのか、危機を感じている。回りには反
       原発の人が多いが・・・
      ⑧太陽光発電を行政とも力を合わせて現実の問題として行うべきだ。そ
       れでかなりの電力が確保できる。先の選挙で当選した大和市議会の新人議員た
       ちと話す場を持っている。彼等は議会改革(議員数削減?)を主張している。
      ⑨戦争は金儲けで始める。「正義」の仮面をかぶって。「殺し合いは駄目、止めましょ
       う」と単純明瞭に訴える必要がある。
      ⑩9月11日、9月19日、原発卒業だ全員集合、明治公園5万人集会、
      ⑪映画上映会「ミツバチの羽音」2011.11.1(火)

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