学習会と賛同者会議
日時 2011年9月10日(土)14時~17時ごろ
場所 高座渋谷駅前「イコーザ」 渋谷学習センター304号室
参加費 300円
第1部 学習会(お話と質問 90分)
高田 健さんから聞く 「憲法九条をめぐる最近の事情」
第2部 賛同者会議
事務局長から「ご報告」とみんなで話し合い(60分)
学習会と賛同者会議
日時 2011年9月10日(土)14時~17時ごろ
場所 高座渋谷駅前「イコーザ」 渋谷学習センター304号室
参加費 300円
第1部 学習会(お話と質問 90分)
高田 健さんから聞く 「憲法九条をめぐる最近の事情」
第2部 賛同者会議
事務局長から「ご報告」とみんなで話し合い(60分)
「なくせ貧困 いかせ憲法9条・25条」
2011.6.4(土)大和市保健福祉センターホールにおいて開催しました
オープニング 木管3重奏(オーボエ北島章さん、クラリネット斎藤行さん、ファゴット石井淳さん)。演奏者一人づつ手に持った楽器の軽妙なポイント的紹介から始まり,どっと笑いを誘いながら自然にモーツアルトなどの小品3曲演奏へ。演奏が終わると、今までこの会場では見たこともないビロードの優雅な幕がスルスルと下りてサロンコンサートの雰囲気。しばし雅な雰囲気に浸りました。(幕一つで雰囲気が変わることを認識。ヘーッ!)
開会のことばの上野格さんが「3.11東日本大震災(原発震災)によって,今日のテーマ『なくせ貧困 いかせ憲法9条・25条』はまさに現実とピタリと合うものになった」とあいさつ。
シンポジウム シンポジストは竹信三恵子さん(和光大学教授・前朝日新聞編集委員)、本田徹さん(国際保健協力市民の会シェア代表理事・医師)、コーディネーターは斎藤竜太(憲法9条やまとの会事務局長・医師)の3人によるシンポジウム「なくせ貧困 いかせ憲法9条・25条」です。
「憲法を使い倒せ」
竹信三恵子さんは「私たちの働き方はいま」をテーマに,丹念な取材から雇用の実態を浮き彫りにした。憲法25条で生存権、憲法9条で戦争放棄を規定しており、生存権の基礎は労働である。労働を通じて私たちは、社会参加と自力で生活維持し人間としての様々な幸福追求が可能となる。しかし実態は働き方の劣悪化が進んでいる。社会の貧困化は拡大し,市場は先細る。海外との労働時間の比較、少ない有給休暇、精神的障害による労災申請と認定の実際、出産で6割が退職せざるを得ないなど、映し出される画面の統計がその実態を物語っている。しかも利益は役員と株主配当に回り、雇用や働き手の改善には回らない。解決の糸口は無いのか。「憲法の理念を生かすために、まずはこの現状を見直していきましょう」と結んだ。
「当事者主権」
本田徹さんは「いのちと憲法」を語った。仲間たちとともに20年以上山谷でのボランティア診療を、チュニジアからはじまった国際協力は東チモール,カンボジアなど主に途上国で28年間続けている。その立場から確信を持って言えることは「いのちの尊さは平等。これは基本的人権」だ。貧富のちがいや日本人,外国人の区別なく,分け隔てなく医療を受けられること(永井隆博士、若月俊一氏のことば、1978年のアルマ・アタ宣言を引用)。憲法は日本「国民」だけを守るものであってはならない。憲法はもっと深い意味を持ったものではないか、と考えるが、今、現実に医療を受けられない在日外国人が存在する。これは小さな「穴」である。そこからボロボロと穴は崩れ始め,ホームレス・失業者など「社会排除のすすむ日本」の中で“老・病・弧・貧”はとめどなく社会問題化している。今や山谷の医療・介護の問題の核心は、日本中の「山谷化」である。戦後のポリオ対策で、子どもを守るため母親たちの運動が厚生省を動かした。「私たちに関わることを私たちの知らないところで決めないで!」。“当事者主権”、これである。
「質疑」 コーディネーターとフロアからの質問とで格差社会問題・憲法問題・原発問題などが議論され会場が一体となったやりとりとなった。
コーディネーターから
① 非正規労働などの、今のような働き方・働かせ方でないと、企業がやっていけないという意見があるが?
② 自分に不利なことでも一人では言えない,ということがあるが?
竹信さん答え:そのような事例は著書の文庫本(『ルポ 雇用劣化不況』?岩波新書)に載っている。要求したり苦言を言うと「パートの分際で…」と言われ首にされかねない。具体例として「○ニ○ロ」では、アルバイトを「地域限定社員」という。「アルバイトは責任感がなく勝手に休んだり辞めたりするので多めに雇っておく。するとアルバイトにも他の人に負けてはならないと競争意識や忠誠心が芽ばえ、自発的に自分たちで勉強したりして商品知識も増える。アルバイトだと知らないお客さんも喜び物が売れるようになる。首を切らなくても人件費が低く抑えられる」と言う。これは経営にとっては好都合だ。つまり、多くの企業は人件費削減努力によってとりあえずの危機を乗り切れたことが、消費不況をうみ、企業体質を劣化させた。
パートの奥さんたちが、私たちの入れる労働組合があればいいのにね、と考え、一人でも入れるパートのユニオン的労働組合ができるようになった。これは見るべきあり方だ。
③ 原子力は安全だ、絶対安全だと「専門家」もマスコミも一緒になって言われると根拠がな
くても皆そう思うようになる。そのようにして「安全神話」が創られた。マスコミの言うことは信頼できるのだろうか?
竹信さん:マスコミは分からないこと知らないことなどを、情報を持っているよく知られた「権威や力のある」大学教授(実は御用学者であることが多い)や団体の意見を採りに行く。彼らが「大したことない」と思わせる発言を繰り返すとそれを事実と突き合わせることなどせずそのまま流してしまう。ジャーナリストとして恥ずかしいことだ。
ところが一方で、インターネットの普及でUストリームなどを見て力をつけた一般の人たちが大勢マスコミに疑問を持ち始めた。
フロアから
④ 竹信さんはさっき、経済的に問題があるので、若者が結婚できない,女性は産みたいが産めない、と言った。なんか、結婚する、産むのが当然、そうでなくてはならないと言う風に聞こえるが。
竹信さん:産みたいが産めない、という状況が放置されている。それが問題だ、と言う意味である。そうするべきだ,と言う意味で言っているのではない。
自分自身の例だが、仕事しながらの出産・育児のことは大変悩んだ。
⑤「私たちが知らないでいるうちに勝手に決めないで」は、とてもいいことだと思う。原発事故で、懸命に現場で働いている人たちのことを考えると、勝手に基準値を上げれば済むという簡単なことではないと思う。けど現場で働く人がいないと困る、と言う問題もあると思うが。
竹信さん:そのように考える人も沢山いると思うので、良い質問をしてくれたと思う。東電側は、マスクをズラして仕事していた、長靴をはいていなかった、と働いている人に原因があるかのように理由づけしていた。現場で仕事しずらいからマスクをズラして作業せざるを得なかった事情がある。基準値だって上げちゃったらどんどん上げるでしょう。現場労働者の健康はどうなるというのか。私は上げるのは反対だ。
本田さん:竹信さんが正しいと思う。そういう作業環境を改善してこなかったからこそ東電は事故を起こしたのだと思う。チェルノブイリの事故の顛末を見ても体をはって決死の作業をした人たちがいる。企業の側には頑張る人はいない。そういう人がいないと困る。(これは前後聞きとれず意味不明―文責者)
斎藤:いのちと健康第一だから基準値はきつくていいですね。今日の話はまとめることはしません。自分で考えて今の世の中どうするか考えて実行してください。さて、今まで9条の話が出なかったのでご意見を伺いたい。
竹信さん:日本は能力無いと思う。「憲法を使い倒す」、ただ持っているだけでは不足で、平和維持のために何ができるか使う提案をすることが必要だと思う。
本田さん:基本的に1項2項とも変えることに反対。だが、東チモールに多国籍軍が入らなければ戦闘が長引きもっともっと悲惨な状況が続いていたと思う。日本人にとっての9条は良いけれど世界の紛争解決のために役立つ9条の使い道はないのか、と思っている。
斎藤:憲法九条やまとの会では、会独自のメッセージで「今、憲法九条改憲を止める」と主張している。“今”が大切だ。“今”がどういう時かというと、アメリカは世界中で紛争を起こし、軍隊をだしている。日本は小泉(首相)の時、ブッシュに言われるまま訳も聞かず独自の調べもせずにイラクへハイハイと自衛隊を出した。一方、大和市は厚木飛行場の騒音で苦しめられ「静かな空を返せ」と何十年も裁判で訴えているが大臣も防衛施設庁長官も一度も来て「言い訳」したこともない。ところが、基地近くの産廃処理企業の煙突から出る煙の悪臭にアメリカ軍の家族が文句をつけたら、防衛施設庁長官が飛んできてすぐ解決させた。ことほど左様に、今九条をかえたらアメリカの指示どおり何をさせられるか。地球の裏まで派兵することになろう。会場の皆さんには、お二人の見解と合わせて考えていただきたい。
終わりのことばで山本さんは「今日のシンポジウムで聞いたことを持ち帰って友人や家族と考えてください」とまとめた。 (終了)
文責 斎藤春枝