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遺言・相続

遺言や相続手続きをわかり易く

遺言・遺言書

2011-11-28 14:31:57 | 遺言・相続

遺言は法定相続に優先します。

遺言には普通方式の遺言と特別方式の遺言があります。特別方式の遺言は緊急時など特殊なときに行われるものですから、一般的には普通方式の遺言が行われることになります。

民法では、普通方式の遺言は口頭、ビデオ、テープレコーダー等で遺言することはできませんので書面ですることになります。

普通方式遺言は次の3種類あります。

 

自筆証書遺言

 

遺言者が全て自筆で書いて作成する遺言書です。自筆ですからワープロ、タイプ等で書いたものは自筆証書となりません。

費用は比較的安くすみます、書店などで販売されている遺言書セットは基本的には自筆証書遺言になると思います。

作成する際には日付及び署名・押印がされていなければなりません。これらが欠けていた場合や日付が特定できないなど不明確な場合には、遺言が無効となる場合もありますので注意が必要です。せっかく遺言書を作成しても無効となった場合は遺言がなかったものとして相続手続きがなされることになります。

使用する紙や内容については決まった書式はありませんが、遺贈する財産の特定が難しい場合や認知など遺言執行人が必要な内容が書かれている場合などは相続手続がかえって複雑となってしまったり、又は争続となってしまったりする可能性もあります。

「財産の全てを○○に相続させる」というような簡単な内容の遺言であれば問題ありませんが、内容が複雑な場合は記載には充分注意しなければなりません。

又、自筆証書遺言の場合、保管することが難しく遺言書が紛失や破損し発見されないケースもありますのでそれも考えておかなければなりません。

自筆証書遺言は相続開始時にそれを発見した相続人、又は保管をしていた方は遅滞なく相続開始地の家庭裁判所に遺言書を提出し検認を受けなければなりません。

 

公正証書遺言

 

 

遺言者が遺言を公証人に口述し、公証人はそれを筆記し証書を作成します。その証書の記述が正確であることを遺言者及び証人が承認したうえ各人が署名・押印します。

証人は2人以上の立会いが必要です。

証人には以下の人はなれません。

     未成年者

     推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族

     公証人の配偶者、4親等内の親族、書記及び使用人

(行政書士が関与したときは証人も準備することが多いです。又、公証人役場に証人の準備を依頼することもできます。)

公正証書遺言は原本及び正本が作成され、原本は公証人が保管しますので、紛失や改変などに対しても安全です。

又、公証人が関与して作成しますので形式、内容、遺言能力などについて後のトラブルが少なくてすみますし、遺言書の検認手続きをする必要もありません。

反面、作成に必要な戸籍謄本、印鑑証明、登記簿謄本その他、証憑書類を事前に準備を行わなければなりませんし或いは公正証書書作成費用及び証人費用という自筆証書に比べ作成に係る費用が生じることになります。

従って費用はかかりますが、権利義務関係が複雑な場合、相続財産が高額となる場合、及び確実に遺言による相続を考えている場合は公正証書遺言書の作成が適していると思います。

 

行政書士が公正証書作成に関与する場合、財産調査、戸籍謄本等の書類取得、公証人との事前打ち合わせ、証人の準備、遺言書の草案の作成他、公正証書遺言書作成を支障きたさないで進められるようお手伝いします。

 

秘密証書遺言

 

遺言の内容を相続が開始するまで秘密にしたい場合に適している遺言書です。(が利用頻度は少ないと思います)

     遺言書を作成し、遺言者が署名、押印し、それを封筒に入れ遺言書に押印した印によりその封筒を封印します。

     遺言者が封印した遺言書を公証人1人及び証人2人以上の面前に提出し所定の事項を申述します。

     公証人が提出日付と申述を封書に記載し、遺言者、証人、公証人がそれに署名・押印します。

公証人が関与しますので偽造、変造する恐れが少なく、秘密性が高いといえます。又、費用も公正証書遺言を作成するよりも少なくすみます。

しかし、自筆証書遺言と同様に内容が不明確になる恐れがありますし、保管の問題もあり、相続開始時には家庭裁判所の検認が必要です。

自筆証書と異なるのは自筆でなくてもワープロ等で作成してもよく、代筆も認められるが、署名は自筆でなければなりません。

そして、仮に秘密証書遺言としての方式に違反していても自筆証書遺言の方式を備えていれば自筆証書遺言の効力が認められることもあります。

 


エンディングノートと遺言

2011-11-22 13:14:58 | 遺言・相続

最近、書店でエンディングノートや遺言書セットをみかけることが多くなりました。

二つとも自分の死後に相続人や関係者に自分の意思や思いを伝えるということでは同じようなものですがその性格は全く異なったものと言えます。

エンディングノートはどんなに詳細、具体的に書かれていても法的には効力がありませんので、相続人等がその内容に拘束されることはありませんし、これをもって相続手続きを行うことも出来ません。

書く内容や形式は自由ですから、経歴や思い出から財産の総額、処分の希望、相続人の今後の生き方など、どの様なことでも記載してかまいません。

遺言を行うか行わないかは別として、又、エンディングノートという形式でなくても、自分の人生の棚卸をするということで財産の詳細や相続人に伝えておきたいことなどを一度まとめておくことは遺産分割が争続となることを回避するのに有効であり意義のあることかと思います、又、相続となった場合に財産の調査や諸手続きを行ううえで有用な資料となりますので、エンディングノートのようなものを書いておくことは良いことではないかと思います。

これに対し、遺言はエンディングノートと違い民法に定められた厳格な方式が要求され、遺言できる事項も定められています。

有効な遺言は法定相続分に優先し相続財産が指定されているときは、その指定分は遺産分割協議を経ず名義変更や登記なども出来ます。

遺言は満15歳になれば誰でもできますが、本人が自分の意思で行わなければなりません、代理人による遺言は出来ません。

又、複数の人(夫婦など)が共同でしたり、ビデオなどで行うこともできません。

遺言は何度でもできますがこの場合最新(日付が新しいもの)のものが有効な遺言とされますので遺言の書き直しは充分注意する必要があります。

エンディングノートと遺言は全く別のものです、しかし、それぞれの性質を考慮し両者を上手に使うことは相続を円滑に行ううえで大変有効な方法ではないでしょうか。


遺産分割2

2011-10-21 10:22:51 | 遺言・相続

遺産分割を行うにあたって法定相続分(法定相続割合)で相続するにしても、具体的に個々の財産の所有を誰にするかを遺産分割協議で決めなければならないことになります。

そこで、遺産分割の方法を簡単な例で具体的に分割をしてみますと下記のようになります。

     相続財産:宅地2筆(甲:120㎡と乙:60㎡)・現預金1200万円

     相続人:4人(配偶者:A、 子:B,C,D

≪現物分割で分割する例≫

各財産単位で分割することになりますので仮に次のように分割したとします。

A: 甲土地120㎡・現預金200万円

B: 乙土地 60

C,D: 各現預金500万円

ここで問題となるのが現預金は金額で評価できますが土地は㎡単位であるということです。又、土地の経済的価値は広さだけでなく立地条件や所有者の利用意図によっても大きくその価値が変わります。

相続人全員が合意できればこの分割方法は簡便で解り易く各財産単位で分割できるので不動産の所有形態もスッキリしたものとなります。

≪換価分割で分割する例≫

土地の譲渡価額…甲土地1,200万円、乙土地1,800万円、譲渡関係費用30%として、これを譲渡し各相続人が法定相続割合で分割したとしますと。

換価後相続財産…甲土地代金840万円+乙土地代金1,260万円+現預金1,200万円=3,300万円(実際、所得税等は確定申告のうえ納付することになりますが便宜上控除してあります)

A1/2):  現預金 1,650万円

B,C,D(1/6): 現預金 各 550万円

となります。

全て現預金ですのでどのような割合でも分割することが出来ますが、不動産をそのまま所有することができないことと譲渡に係る手続きが必要となります。又、譲渡費用や譲渡に係る所得税、住民税などを負担することになります。

≪代償分割で分割する例≫

土地の時価を、甲土地1,200万円、乙土地1,800万円と評価として、現物分割の例で各相続額を計算すると。

A: 1,200万円+200万円=1,400万円

B: 1,800万円

C,D: 各500万円

総額で4,200万円となります。これを法定相続割合で分割することにしますと

A1/2):  2,100万円

B,C,D(1/6): 各700万円

です。

結果、法定相続分との差は Aが△700万円、Bが+1,100万円、CDが各△200万円となります。

そこで、BA700万円CDに各200万円の金銭を支払うことで相続分を調整することになります。

しかし、B1,100万円を支払うことができるかどうかということが問題となります。

条件が整っていればよいのですが、Bが結局取得した土地を譲渡し、代償金額を支払った場合(譲渡関連費用30%として)Bの取得分は

1,800万円-(1,800万円×30%)-1,100万円=160万円

ということになってしまいます。

換価分割や代償分割は資産の種類又は相続人の状況を充分検討し行うようした方がよいと思います。

≪共有分割で分割する例≫

法定相続割合で分割したとします。(現預金については、共有となりません。)

A1/2):  甲土地60㎡・乙土地30㎡・現預金600万円

B,C,D(1/6): 各、甲土地20㎡・乙土地10㎡・現預金200万円

この場合、各土地は4人の相続人が共有で所有することになります、ただ、共有で所有しているとこれらの土地を処分等したりしようとする場合共有者全員の同意が必要となります(各共有持分の譲渡は可能ですが)。

又、時間の経過により共有持分ついて相続や譲渡があった場合、土地の権利関係が複雑になる可能性がありますので将来を考えた場合できるだけ避けることが賢明かと思います。


遺産分割の方法1

2011-10-10 14:13:03 | 遺言・相続

遺言の無い相続又は法定相続分で遺産を分割する或いは遺言書があっても遺産分割について各相続人に○○分の△(相続割合)を相続されるという内容になっている場合、どの財産をどの相続人に相続させるかという事を決めることが必要になってきます。

遺産が全て可分財産である現金などであれば相続割合が指定されていても分割することは比較的簡単でありあまり問題になることはないと思われますが、不動産のような不可分な財産は現金などのように単純にはいかなくなってきます。

遺産相続といえば不動産を中心としたものが多いのが現実であり相続による遺産分割の難しさもそこにあるのではないかと思われます。

遺産の分割方法は主に次の4つの方法があります。

       現物分割

各個別に現物の財産単位で遺産を分割することです。

通常遺産分割というと一般的に考えられている方法です。

自宅(土地、建物)は長男に、預金・有価証券は二男に、別の宅地は妻にと

いうように分割することです。

       換価分割

対象となる財産を売却し一度金銭にしてから分割する方法です。

金銭にすることで分割は容易となりますが不動産などを本来の形状で

引き継がないことになります。

又、財産を現物で分割をすることが不可能な場合や現物分割に適さない

財産を分割する場合に適していますが、譲渡手続きが必要であり譲渡費用や

譲渡による税負担も発生することがあります。

       代償分割

一部の相続人が不動産などの財産を本来の相続分を超えて取得する代わりに、

その取得した相続人が他の相続人に超過相続相当額を金銭で支払う分割方法です。

現物分割を補完する形で併せて用いることができますが、不動産を取得する相続人

が代償として支払う金銭を準備しなければならないという面もありますので注意が

必要です。

 共有分割

相続財産を相続人の相続割合により共有持分で分割して所有する方法です。

財産形態にあまり左右されず相続割合で分割する事が出来、手続きも比較的容易

ですが、共有財産を処分等しようとするときなどの場合(各共有持分の譲渡等は可能ですが)共有者全員の同意が必要となりますし、時間の経過により共有者の世代が代わるとその財産の利用に際して権利関係が複雑になる可能性もあります。

実際の遺産分割ではこれらの方法を単独で又は複数を組み合わせて、相続人が遺産分割協議を経て分割することになります。


遺産分割協議

2011-08-09 15:29:49 | 遺言・相続

遺産分割協議は何時までにすればいいのでしょうか?

民法には何時までに遺産分割をしなければならないという規定はありません。

財産総額、債務の有無、相続人の数、その他相続人の状況を考えて決めればいいと思いますが私の場合は、一例として、49日の法要を1つの目途としてそれまでに財産調査、相続人調査を行い、その前後でされるのがいいのではと答えます。

相続人がいつでも協議に参加できる場合ならいいのですが、遠方の相続人がいる場合などは相続人が集まり易い法要のタイミングにあわせた方が都合がいいと考えられるからです。それに、相続放棄又は限定承認の手続きも相続人が相続を知った時から3か月以内にしなければ出来なくなくなることからもこの前後のタイミングですることを一般的にお奨めします。

もちろん相続人が一人しかいなければ、通常全ての遺産はその相続人が相続することになりますから“争続”になる恐れはありませんし遺産分割協議も必要ありませんからよいのですが、相続人が複数の場合遺産分割協議を行う時期のタイミングが他の相続人の不満となり協議が難航するといったことにもなりかねませんのであまり長期間協議をしないようなことは避けた方がよいと思います。

遺産分割協議が行われないままの場合は、遺産は相続開始のときから各相続人に一種の共有状態で帰属していることになりますが、不動産や預金などの名義は被相続人(亡くなった方)の名義のままとなります。従って、その預金を解約したり不動産を処分したりしようとするときはその財産について遺産分割が行われたとして相続人全員の合意書面を作成し名義を変更のうえ解約又は処分をすることになります。

相続税の課税対象となる場合、未分割の状態では法定相続割合で相続税を負担することになります。また、未分割の場合は相続税法等の特例の適用が受けられない項目もありますので注意が必要です。