goo blog サービス終了のお知らせ 

遺言・相続

遺言や相続手続きをわかり易く

遺言の話

2012-10-12 12:35:54 | 遺言・相続

遺言はした方がいいか

遺言をするか、しないかは、死亡保険に入るか入らないかと同じようなものだと考えればいいかと思います。

遺言は遺言者が、死亡保険は被保険者が死亡しなければ効力が生じないということになりますから、自分の死後残された家族の生活などを考慮し、遺族等のためにすると言う意味で、同じような感覚で考えられるのではないかと思います。

生命保険の場合、目的や契約内容により異なってきますが、契約者(保険料負担者)と被保険者が本人ということであれば、相続人となる配偶者、子や指定した人を受取人にする死亡保険に加入することは、一種の遺言とも言えるのではないでしょうか。

貯蓄を目的とした保険は別として、死亡を保険事故とする生命保険に加入する場合は、「自分に万が一」ということを加入又は契約内容の決定の判断基準にすることが多いかと思いますが、ここで忘れてはならないのは死亡保険契約が履行されるということは同時に相続が開始するということです。

従って、死亡保険を除く本来の相続財産については遺産分割が行われることになりますので、遺言がなければ、相続財産について相続人による遺産分割協議により相続財産を分割するか、法定相続割合により分割することになります。

自分の「死亡」という事に備えて生命保険契約を考えるならば、それと同時に相続財産などの分割等についても「遺言」という方法で備えることも必要ではないかと思います。


中小企業の相続

2012-08-30 08:03:42 | 遺言・相続

事業を営んでいる方が遺言又は相続の事を考えるにあたっては注意しなければならないことがあります。

遺言や相続は相続人の構成や相続財産の種類や性質、金額などの構成条件が当事者毎に異なっていることが普通ですから、ある一律の方法に拠ったり、場当たり的な処理をしたりすると後日トラブルや余分な負担が発生するというような事態にもなりかねません。

事業者の方の相続ではまず事業承継について考えておくことが必要です。

企業は継続することが前提となっていますが、経営者個人は高齢や死亡等の理由でいずれ経営から離れることになります。

この場合、事業をどの様に承継させるかが問題となります。

特に、オーナー兼経営者である同族経営の中小企業では事業承継の問題は遺言、相続を考えるうえで重要な事項となります。

事業承継では第一に、事業を承継する相続人又は、相続人以外の承継人が決まっているかどうかを考えなければならないと思います。

(相続人がいてもその相続人が事業を承継する意思が無い場合等は、承継人が決まっていないのと同様と考えられます。)

中小企業では事業の承継人が決まっていないで経営者が亡くなった場合、その後の事業の継続が困難になることもめずらしくありません。

又、承継する相続人等が決まっていても、事業承継について何も準備をしないで相続となった場合には、前経営者の経営理念等が相続人に充分引き継がれなかったり、或いは事業承継で相続人の間で争いになったり、又、多額の相続税を負担することになったりして、結果、事業規模の縮小を余儀なくされ、最悪の場合は事業の継続が不可能となることもあります。

事業経営者が相続を考えるということは、その事業を円滑に後継者に承継させるということともいえます、相続を税負担の観点からのみ考えるのではなく、「事業全体の引き継ぎ」という視点から企業価値の評価、再編などを考えることも相続対策の一つといえるのではないでしょうか。

例えば、今まで普通に行っていた独自な生産技術や販売方法等、財務諸表には表れていないが他社に比べ優れているものを一つの価値として認識し、マニュアルのような形にし引き継いでいくことも重要な対策ではないでしょうか。


特別受益

2012-08-09 18:59:12 | 遺言・相続

相続、遺言の関係の相談でよくでてくる言葉に「特別受益」があります。

特別受益

相続分を算定するにあたって相続開始時に存在する財産を基準に行うと、生前に被相続人から特定の相続人に多額の贈与等(特別があった場合相続人各人に不公平が生じることとがある、そこでこの不公平を修正するためにその贈与等を特別受益分として相続分を算出することがあります。

民法では「共同相続人の中に、被相続人から遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、~」となっています。

例えば、結婚に際して土地や建物又は現金の贈与を受けた場合等が該当します。これらはあくまでも相続分の算定ですから贈与税の課税があったかどうかは関係ありません。

次に「被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、~算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。」としている。

計算例では(相続人A氏分)

相続時財産:1億(相続割合12)、 特別受益額:4千万とすると。

特別受益の修正をしない時は 1億×125千万(相続分)となる。

特別受益で修正すると

     1億+4千万=14千万(修正後の相続財産)

     14千万×127千万 

     7千万-4千万=3千万 (A氏、特別受益調整後相続分)

となります。

誤解されている方もいるようですが、相続時の財産から算定した相続分から特別受益額を控除するのではなく、生前に受けたものを特別受益分として相続財産とみなして相続分を算定し、その相続分から前払い分である特別受益額を控除したものが相続時の相続分となります。

上記例では3千万であり、他の相続人の相続分は特別受益がありませんから7千万です。

従って相続時の財産1億はA氏:3千万とその他相続人:7千万に分割されることになります。


相続

2012-08-09 18:52:42 | 遺言・相続

相続は亡くなった人(被相続人)の財産(債務もマイナス財産として含む)を死亡日(相続日)を基準として相続人に承継させることにより清算することといえます。

相続手続きの中心となるのは、この被相続人の財産を相続人にどの様に引き継がせるかということを決めることであるといえます。

相続が開始したとき遺言書がなければ基本的に次の2通りの方法で遺産は承継されます。

     法定相続割合により承継する。

     相続人による遺産分割協議により遺産の承継分を決定する。

当然ですがここには遺産の所有者であった被相続人は参加していません。(出来ません)

このことが、相続が争続になる原因の一つにもなるように思います。

遺言をする人が今増えているといわれます。

遺言をするということは遺産の承継その他について、被相続人が自分の意思で事前に決めることできるということです。

つまり、遺産の所有者(被相続人)が遺産相続に参加することになります。

有効な遺言がある場合は、相続にあたってはそれに従うことになり、民法に定める相続(法定相続)に優先します

遺言は法律で定められた方式によってなされなければなりません。

通常は自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言のいずれかの方式でなされ、書面にされますから、一般的には「遺言書」を書くといわれますが、自筆証書遺言以外は自分で書く(自書する)のが要件ではありません。

公正証書遺言は遺言者の口述を公証人が書面にするものですし、秘密証書遺言も自書によらなくてもかまいませんが、遺言内容は遺言者の意思であることが必要です。

又、有効な遺言とされる(遺言できる)事項は法律で定められています、これら以外の事も(例えば、「家族みんな仲良くするように」等。付言事項という)遺言書に書けますが遺言としての効力に影響しません。自筆証書遺言、秘密証書遺言で遺言する場合はこの点を注意する必要があります。

遺言書があったが内容が不明確で困ったとなるケースや、遺言書があったためにそれによりかえって相続がもめたというケースも中にはあります。

遺言は15歳以上であればいつでも自由にすることができますが、高齢や病気等により正常な意思表示することが困難な場合は遺言をすることができなくなる可能性もあります。


遺留分」

2011-12-05 14:19:06 | 遺言・相続

法定相続割合や遺産分割協議で相続人の全てが合意し遺産の分割が行われれば何の問題もありませんが、遺言によって相続人の1人若しくは特定の相続人又は相続人以外の第三者に遺産の全部又は大半の部分が遺贈された場合、残された相続人の生活保障という観点から遺産の中から一定割合を確保できる遺留分の制度があります。

遺留分権利者

遺留分の権利を有するのは以下の相続人です。

配偶者、直系卑属(子供・孫)及び直系尊属(親・祖父母)

従って被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺留分の割合

① 総体的遺留分

遺留分権利者の数に関係なく遺産について認められる遺留分

イ、相続人が直系尊属のみの場合……相続財産の3分の1

ロ、相続人が上記以外の場合  ……相続財産の2分の1

       各相続人の遺留分額

総体的遺留分×各遺留分権利者の法定相続割合

計算例

相続人が配偶者、子供2人で遺産総額3,600万円の場合

総体的遺留分は、ロに該当しますので

3,600万円×1/21,800万円

各相続人の遺留分額

配偶者 1,800万円×1/2=900万円

子供  1,800万円×1/4=450万円

となります。

このケースでは

被相続人が遺言で3,600万円を相続人以外に遺贈等していた場合、配偶者については900万円、子供は各450万円までは遺留分を請求する権利があるということです。

具体的には遺留分減殺請求権を行使し、遺留分に達するまで遺贈等の効力を取り消し取り戻すことになります。

遺留分減殺請求権は受遺者に減殺請求の意思表示をすれば行使できますが、内容証明郵便等で請求したことを証明できるようにしておいた方がいいでしょう。

ただし、遺留分減殺請求権は遺留分権利者が相続の開始及び遺贈等を知ったときから1年、相続の開始から10年で時効により消滅します。