goo blog サービス終了のお知らせ 

遺言・相続

遺言や相続手続きをわかり易く

相続手続き(2)

2011-06-23 10:39:53 | 遺言・相続

財産調査

相続人の調査と共に必要となるのは被相続人の財産の調査を行わなければなりません。

“被相続人の財産に属する一切の権利や義務”ですから原則プラス財産だけでなく債務も含めた全ての財産が対象になります。ただし一身専属のもの(例:国家資格等)は除かれます。

その他相続財産と思われがちですが相続財産には含まれない代表的なものとして次のものが有ります。

     生命保険金(請求権)

受取人が指定されている場合:指定されている人が取得する。

受取人が相続人と指定されている場合:相続人の法定相続割合で取得する。

*ただし、被相続人自身が受取人となっている場合は、相続財産となります。

     死亡退職金

勤めていた会社の就業規則等により定められた順位或いは範囲で支払われる場合は、相続財産には含まれません。

これらが相続財産と思われがちなのは、相続税では課税上“みなし相続財産”として課税価格に含まれるからで、相続税の申告義務の判断をする際には本来の相続財産と異なっていますから注意が必要です。

相続財産は、遺言書に指定があればそれにより、遺言書がない場合または遺言書の内容により遺産分割協議が必要な場合は遺産分割協議により分割されます。

また、相続財産が未分割の状態では、その財産は各相続人(共同相続人)に共有されているということになるというのが判例の見解です。


相続手続き(1)

2011-06-22 10:10:29 | 遺言・相続

民法では、相続は人が死亡したときに開始する。

そして、相続人は原則として死亡した人(以下被相続人)の財産に属する一切の権利や義務を相続の開始の時から承継することになります。

そこで、相続手続きの第一は、相続人の調査と、被相続人の債務を含む財産の調査が必要となります。

相続人調査

相続が発生したら、被相続人の本籍の住所と戸籍筆頭者が判るものが必要となります。これらが必要になるのは、被相続人の戸籍を出生までさかのぼることにより被相続人の親族関係を明確にし相続人を確定する必要があるためです。

日常生活するうえで本籍の住所が必要になるケースはそんなに多くないので自分の本籍地などを覚えていないことも結構あります。又、本籍地住所については日本国内であれば自由に変更できますし、住所を変更しても本籍地住所はそのままとなっていることも多くありますので、被相続人の死亡が記載されている戸籍謄本を取得しておくことが必要です。

相続人が未確定の状態では遺産分割協議書などの相続関係書類の作成や登記関係手続きに支障がでます、また、未確定のまま時間が経過することはその後のトラブルの元ともなりますのでできるだけ早く調査し確定することが望ましいといえます。

ちなみに、相続人となるべき被相続人の子が被相続人の死亡以前に亡くなった場合は、その者の子(被相続人の孫)が代襲して相続人となるので被相続人の子についてもその戸籍を調査する必要があります。

     相続人の順位(民法の法定相続人)

配偶者…常に相続人となる。(法律上の配偶者であり、内縁は含まれない)

     被相続人の子…代襲相続人、普通・特別養子を含む

     直系尊属…①がいない場合

     兄弟姉妹…①及び②がいない場合、代襲相続人を含む

*民法では普通養子の数に制限はなく相続人となるが、相続税法の法定相続人は課税政策上一定の条件のもと普通養子を法定相続人に算入することが制限されています。


相続放棄

2011-04-05 14:22:07 | 遺言・相続

相続の相談で「私は相続を放棄する」という話を聞き、よくよく話を聞くと遺産分割において財産を相続しないというケースがあります。本来の相続放棄も具体的に財産を相続しないのも相続財産を継承しない点で結果からみれば同じ様なことに思われるが両者には大きな違いがあります。

民法の相続放棄は相続人が相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続の放棄を申し出ることが必要です。

3ヶ月以内にこの申し出をしなかった場合は相続を承認したことになります。

相続放棄をすると原則としてこれを撤回できませんし、相続放棄をした相続人はその相続に関しはじめから相続人でなかったことになりますので遺産分割協議への参加も必要なくなります。

つまり、相続放棄は相続人が相続人でなくなることですから、相続人としての権利及び義務をすべて放棄することになります。従って、債務等があった場合でもこれも継承することはありませんが、思わぬ財産が見つかった場合でも相続することはできなくなりますし遺留分請求の権利もなくなります。

しかし、冒頭の意味での「相続の放棄」は相続財産をもらわないということだけであり、相続人としての身分はそのままということですので、遺産分割協議に参加し遺産分割に同意しなければその遺産分割も成立しないことになりますし債務があった場合には法定相続分に対応する債務を負担しなければならない場合も生じることになります。

相続が開始するといろいろしなければならない手続があり、3ヶ月はすぐに経ってしまいますが相続財産の確定と相続人の確定はできるだけ早くされるのがいいと思います。


相続と国際結婚(1)

2011-03-03 00:21:40 | 遺言・相続

最近、国際結婚の話や相談を受けることがあります。そこで感じるのは日本人と外国人が結婚した場合、配偶者となる外国人は日本の国籍を自動的に取得するのだろうと漠然と思っている方が結構いるということですが、これはありません。通常は「日本人の配偶者等」という在留資格で日本に在留(ビザの更新が必要)することになり、国籍は外国籍のままです。(婚姻後日本に帰化をすれば日本人となりますので他の日本人と何ら異なるところはなくなります。)

そこで、国際結婚をした後、不幸にして配偶者が死亡した場合はどの様な相続関係が生じるのかを考えてもみました。法の適用に関する通則法(国際私法)によれば”相続は被相続人の本国法による”と規定されています。

日本人配偶者が死亡した場合:本国法は日本法となりますので日本の民法が適用されますので外国人配偶者及び子供が相続人となりますが、ただ身分関係は、外国人配偶者が帰化したり又は永住資格を許可されていない場合は6ヶ月以内(平成24年7月施行後:現在は在留期間満了までは在留できる)に他の在留資格に変更する必要がでてきます。

外国人配偶者が死亡した場合:本国法は外国人配偶者の国籍の法が適用されることが通常です、これはその外国の相続に関する法が適用されることとなりますので相続人の範囲などが日本の民法とは異なっていることがありますので注意が必要です(例:一夫多妻制)

又、相続財産の継承方法にも包括主義(日本など)清算主義(アメリカなど)があり日本の相続とは異なった手続きとなります。

今後国際結婚が増加するにしたがい、国際間の相続の問題も増加することは避けて通れない課題ではないかと思います。