遺言・相続

遺言や相続手続きをわかり易く

預貯金の相続

2014-03-25 15:16:00 | 遺言・相続

 

相続業務をしていてよく受ける質問に、

 *相続が開始されると亡くなった方(被相続人)の預貯金が閉鎖され預貯金の引出や解約ができなくなるので困るのですが?

というものがあります。

 預貯金は、可分債権ですから相続が開始し、各相続人が単独でその相続分(法定相続分を含む)に該当する預貯金の払い戻しを請求した場合、金融機関は払い戻しに応ずるべきと考えられますが、銀行実務上、金融機関は各金融機関所定の手続きをしなければ引出や解約に応じない場合が多いようです。

 可分債権である預貯金は原則遺産分割の対象にはならず、相続開始時に法定相続割合(遺言がある場合・遺産分割協議がされていればその割合で)で相続人に相続されると考えられますが、無権利者への支払、二重請求の回避などの理由で、実務上は上記の対応となるようです。

 預貯金を相続する場合の手続きには以下の様なケースが考えられます。

 有効な遺言書によって預貯金の相続人等が指定されている場合。

  その遺言の指定内容で各相続人等が分割協議を経ず相続手続きを行うことができます。

  相続財産の遺産分割協議によって(法定相続割合で相続する場合を含む)相続人等が合意した場合。

  相続財産全体について、遺産分割協議を行い相続人等が合意した場合。

 合意した内容で相続手続きを行うことになります。

  預貯金についてのみ遺産分割協議を行い、相続人が合意したした場合

 全部又は一部の預貯金についてのみ遺産分割協議を行う形式で相続することです。

 遺産分割協議書を作成するか、又は多くの場合各融機関の指定の書式が遺産分割協議書の代わりとされ行われます。

この場合、各預貯金について相続人の具体的相続分が決定

 しますので各預貯金の名義が変更され相続手続きは完了します。

 遺産に不動産や有価証券等がなく預貯金のみであれば、いいのですが、不動産等がある場合はそれらについては遺産分割協議を行う必要があります。

 ④ 相続人が代表者を定め、一旦預貯金を代表者名義とする。

  ③と類似していますが

 この場合、預貯金は相続人代表者の名義で未分割な状態ということになりますのでその後分割協議を行う必要があります。

  又は、②のケースでは比較的スムースに預金の払い戻しや名義変更が行われると思います。

 ただ、稀にこの場合でも金融機関によっては、なぜか相続人全員の実印と印鑑証明を求めたりすることがあり、何のための遺言、遺産分割協議書かと思うことも有ります。

 現実には、相続開始後資金が必要なとき又は被相続人の口座が支払の引き落とし口座になっている場合など、生活に支障が生じることがあり、とりあえず③か④の方法で資金を手当てされることが多いとおもいます。

 ここで、注意しなければならないのは、その資金の使用が相続財産の処分行為に該当した場合、後日遺産より債務が多く、相続放棄をしようとしてもできなくなる可能性があるということです。

 相続財産は、不動産だけではありません、原則として亡くなった人の全ての財産及び債務が相続の対象になります。

 相続開始後の被相続人の財産等の処分は慎重に行ってください。