遺言・相続

遺言や相続手続きをわかり易く

個人事業主の相続

2014-10-14 13:16:28 | 遺言・相続
個人事業主の場合、相続手続き、遺言書の作成で気をつけなければならないことがあります。

相続が発生した場合

個人事業では、事業上の預貯金、債権、債務等全てが被相続人の相続財産として相続の対象となりますので、遺言書で相続人(含む受遺者)の指定がないときは、相続人等全員の合意がなければ預貯金の口座も凍結され取引ができなくなります。

貸借対照表は意外と重要
利益が表示されている損益計算書は詳細に見るが、貸借対照表(B/S)はあまり見ていないことがあります。税金の計算も利益を基に計算しますから当然かもしれませんが。

B/Sには、作成時点での事業関連の財産と債務が原則全て記載されている訳ですから、遺言をする場合や相続が発生した場合は重要な資料となります。

事業を継続する場合は対策が必要
個人事業は、個人が権利・義務の主体で行われています。
相続は個人に帰属する全ての権利・義務を相続人が引き継ぐことです。

今まで事業に無関係であった相続人も相続をすることになります。
結果、遺産分割で、店舗にしていた不動産を売却しなければならなくなる場合もあります。

連帯債務などで債務超過となるため相続を放棄すると、最初から相続人でなかったことになりますから債務だけでなく財産も
相続することはできません。

特定の相続人に事業の継承を考える場合、相続が発生してからでは遅すぎます。

事前に、法人化や事業主の変更等の対策が必要となることもあります。


相続対策

相続時に事業を廃業する場合
相続人はいるが継承する相続人がいない場合は、財産だけでなく特に事業上の債務に対しての対策が必要かと思われます。
事業は、投資と回収が繰り返されていますので、相続発生のタイミングによっては債務超過の状態になる可能性も有ります。

事業を継続する場合
事前に法人設立(法人成)をし、法人として事業を継続し法人持分を相続財産とする。

*ケースによって、事業承継円滑化法が適用され税制面で優遇措置が受けられる場合もあります。

個人事業の状態で承継する。
遺言、生前贈与などで事業継続に必要な財産を特定の相続人に遺贈、贈与する。

この場合、税負担、遺留分に注意が必要です。