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遺言・相続

遺言や相続手続きをわかり易く

気になる相続

2014-07-31 09:46:27 | 遺言・相続

相続問題とひと口にいっても、相続が起こってしまってからか、相続が起こる前ではその対応は異なってきます。相続対策といわれますが、相続が現実に開始してしまった場合は、相続発生時点で相続人、相続財産が確定してしまいますので取りうる対策は限られてきます。相続対策は相続開始前に行うことが必要です。

イ、相続が起こってしまった時

 遺言書が無い場合 

 被相続人(亡くなった人)の権利、義務(財産、負債)は相続の開始時に相続人に帰属します。 

 (ただし、相続開始から3か月以内に相続放棄の手続きを行った相続人は、相続開始時に遡って相続人ではなくなります。) 

 各相続人の具体的相続分は、相続人全員の協議によって決めるか、民法の相続割合によって分割することになります。 

 この為、遺産といわれる相続財産の調査とすべての相続人を確定することをまずしなければなりません。 

 相続税の申告なども含め殆どの相続手続きには、相続財産と相続人の確定が必要です。 

 遺産と相続人が確定したら、遺産分割協議→登記等の名義変更手続き→相続税の申告(必要な場合)というのが一般的な手続きとなります。 

  遺言書がある場合 

 (自筆証書、秘密証書遺言は家庭裁判所の検認が必要となります。) 

 遺言書の内容によりますが、遺産の分割では遺言事項が優先されますので遺言内容に従って遺産の分割手続きをします。 

 遺言で遺贈財産が指定されていない場合、叉は、遺言に記載されていない財産がある場合などは遺産分割協議が必要となります。

ロ、相続が起こる前 

 現時点での予想相続財産、推定相続人を把握し、それを基に相続を考えることになります。 

  遺言により遺相続財産の中には本人しか知らない財産があることがあり、相続財産の調査に相当な時間を要する場合もあります。

   事前に財産、債務の一覧表などを作成しておけば相続対策を考えるうえでも、的確な対策ができますし、動産、不動産、換金性、分割性を考慮し産の分割をすれば円滑な相続を行うことができるのではないでしょうか。


遺言と遺留分

2014-05-18 16:18:22 | 遺言・相続

 遺言書を書くにあたって遺留分をどうしたらよいかという相談を受けます。

 遺言が無ければ相続財産は相続人の協議によってどのように相続するか決めることになりますが、遺言があれば原則として遺言が優先されます。 

つまり遺言者は自分の相続財産を遺言によって生前に自由に処分することが出来るわけです。 

これを相続人からみると、遺言がなければ相続人全員で遺産の処分を決定できるが、遺言があった場合、遺言で指定された遺産については自由に決められないということになります。

 例えば、全財産を1人の相続人に相続させる又は第三者に遺贈するという遺言がある場合、他の相続人には相続する財産は全く無いことになります。

 この様な場合、相続人の生活保障などの観点から兄弟姉妹以外の相続人が一定の相続財産を相続できようにするのが遺留分ということになります。

 ただ、相続分は相続開始時に各相続人が相続したことになりますが、遺留分を得るには遺言で相続した者又は遺贈を受けた者に権利者が請求(遺留分減殺請求)することが必要です。

 遺留分の請求は必ずしなければならないものではありませんが、相続を知った日から1年、相続開始から10年で時効となりますので、一般的には亡くなってから1年で請求できないことになります。 

遺言者は相続財産を遺言によって自由に処分する権利がありますが、遺留分はその遺言内容を制限することになりますから遺留分減殺請求によって相続人間で争いが生じる場合もあります。

 遺言をする場合は、遺言内容に関する補完的文言を作成することも必要ではないでしょうか。

 


土地・建物の相続

2014-04-19 15:42:59 | 遺言・相続

 

遺言書を書くにあたって土地、建物の価額が解らないので困っているという相談を受けることが有る。

 大体いくら位だろうかという予想はついているが、いざ遺言書で相続人等の相続分を考えるとなると正確な価額が知りたいということで相談されるのである。

 土地や建物は現金や預金のように金額により表示されていないので、何かの算定方法で金額によって評価する必要がある。

 通常、土地や建物を金額で評価する必要がある場合は、固定資産税評価額、相続税評価額、不動産鑑定による評価額、近隣売買事例による評価額などから使用目的を考え支障のない合理的な評価額を基準とする方法が採られると考えられます。

 民法では土地・建物の評価基準を定めていないので、遺言や相続でも同様にするしかないのではないかと思います。

 全ての相続財産が現預金であれば価額の評価が必要ありませんので分割額決定は容易ですが、土地・建物等があると評価方法の選択によって分割額が変わってくる可能性があります。

 例えば: 

 相続人AB 相続財産;居宅1筆 現預金3,000万円

 Aに居宅を相続させ、各相続人に均等に相続させる遺言をする場合

 居宅の評価額;相続税評価3,000万円、固定資産税評価2,000万円とすると、

  相続税評価額を基準とした場合

 A:居宅(3,000万円)、B:現預金(3,000万円)

  固定資産税評価額を基準とした場合

 A:居宅(2,000万円)と現預金(500万円)

 B:現預金 (2,500万円)

 ということになります。

 又、土地・建物の評価は時間の経過、経済事情、使用目的その他の事情で大きく変化する可能性があります。

 遺言書の作成では具体的な金額を記載する必要はありませんが、相続争いを防ぐために作成した遺言書で、新たな争いを起こさないような遺言書を作成したいものです。

 


預貯金の相続

2014-03-25 15:16:00 | 遺言・相続

 

相続業務をしていてよく受ける質問に、

 *相続が開始されると亡くなった方(被相続人)の預貯金が閉鎖され預貯金の引出や解約ができなくなるので困るのですが?

というものがあります。

 預貯金は、可分債権ですから相続が開始し、各相続人が単独でその相続分(法定相続分を含む)に該当する預貯金の払い戻しを請求した場合、金融機関は払い戻しに応ずるべきと考えられますが、銀行実務上、金融機関は各金融機関所定の手続きをしなければ引出や解約に応じない場合が多いようです。

 可分債権である預貯金は原則遺産分割の対象にはならず、相続開始時に法定相続割合(遺言がある場合・遺産分割協議がされていればその割合で)で相続人に相続されると考えられますが、無権利者への支払、二重請求の回避などの理由で、実務上は上記の対応となるようです。

 預貯金を相続する場合の手続きには以下の様なケースが考えられます。

 有効な遺言書によって預貯金の相続人等が指定されている場合。

  その遺言の指定内容で各相続人等が分割協議を経ず相続手続きを行うことができます。

  相続財産の遺産分割協議によって(法定相続割合で相続する場合を含む)相続人等が合意した場合。

  相続財産全体について、遺産分割協議を行い相続人等が合意した場合。

 合意した内容で相続手続きを行うことになります。

  預貯金についてのみ遺産分割協議を行い、相続人が合意したした場合

 全部又は一部の預貯金についてのみ遺産分割協議を行う形式で相続することです。

 遺産分割協議書を作成するか、又は多くの場合各融機関の指定の書式が遺産分割協議書の代わりとされ行われます。

この場合、各預貯金について相続人の具体的相続分が決定

 しますので各預貯金の名義が変更され相続手続きは完了します。

 遺産に不動産や有価証券等がなく預貯金のみであれば、いいのですが、不動産等がある場合はそれらについては遺産分割協議を行う必要があります。

 ④ 相続人が代表者を定め、一旦預貯金を代表者名義とする。

  ③と類似していますが

 この場合、預貯金は相続人代表者の名義で未分割な状態ということになりますのでその後分割協議を行う必要があります。

  又は、②のケースでは比較的スムースに預金の払い戻しや名義変更が行われると思います。

 ただ、稀にこの場合でも金融機関によっては、なぜか相続人全員の実印と印鑑証明を求めたりすることがあり、何のための遺言、遺産分割協議書かと思うことも有ります。

 現実には、相続開始後資金が必要なとき又は被相続人の口座が支払の引き落とし口座になっている場合など、生活に支障が生じることがあり、とりあえず③か④の方法で資金を手当てされることが多いとおもいます。

 ここで、注意しなければならないのは、その資金の使用が相続財産の処分行為に該当した場合、後日遺産より債務が多く、相続放棄をしようとしてもできなくなる可能性があるということです。

 相続財産は、不動産だけではありません、原則として亡くなった人の全ての財産及び債務が相続の対象になります。

 相続開始後の被相続人の財産等の処分は慎重に行ってください。

 


婚外子違憲判決

2013-09-12 15:33:27 | 遺言・相続

 最高裁で非嫡出子(婚外子)の法定相続割合が、嫡出子の2分の1とされる民法の規定は違憲であるとの判決がありました。

 民法上、法律上の婚姻期間に生まれた子を嫡出子といい、それ以外で生まれた子を非嫡出子(婚外子)といいます。

 ただし、婚姻成立の日200日後又は婚姻解消の日(離婚)から300日以内に生まれた子は婚姻期間中に懐胎したと推定され、推定された嫡出子とされますので、出生を知った日から1年以内に夫から嫡出否認の訴えが提起され否認が確定しなければ嫡出子ということになります。

 婚外子については認知の届出をしなければ親子関係が認められません。判例により母親は出産の事実から届出がなくとも親子関係が認められますが、父親は認知が必要です。

 さて、嫡出子と非嫡出子(婚外子)はともに親子関係があることに変わりはありませんが、法定相続分に関して民法では、非嫡出子(婚外子)は嫡出子の2分の1とする規定があります。

 計算例では、

 遺産 9千万、相続人 嫡出子1人、非嫡出子1人で

 法定相続分は、 嫡出子 6千万円、非嫡出子 3千万円

 となります。

判決内容の是非又は改正の有無はともかくとして、相続財産(遺産)については、遺言がなければ、相続人による遺産分割協議で決められなければ、家庭裁判所での調停又は最終的には裁判により決めることになります。

 (この場合法定相続分が基準とされる可能性が高いと思われます)

 相続に際しては、財産の形態、相続人の状態や関係その他の事情で相続が争いになりその後の親族関係にも影響が及ぼされることも少なくありません。

相続人に婚外子がいる場合などは特に感情的にも解決が難しくなります。又、相続が発生するまで互いに知らなかったり、疎遠であったりする事も多く、これが一層相続を難しくさせているケースもあります。

自身の遺産については生前に責任をもって、遺言等によって対策をしておくことが必要ではないでしょうか。