(宮田比呂志『「数運」をつかむ技術――11億円を稼いだ競馬統計学』、2008年5月、講談社刊)
自身まだ「終活」する年ではないと思っていますが、体が動くうちに「片付け」をしておこうと努めてはいます。先日読まない本を引き取ってもらおうと、本棚の整理をしていたら、奥の方から、わが競馬の師・宮田比呂志さんの『「数運」をつかむ技術』という本が出てきました。宮田さんはこの本を出した2008年当時74歳で、15年後の現在どうされているのかわかりませんが、改めてページをめくって眺めてみると、この本が自身の三連単馬券術を一番網羅的かつ実践的に書いている感じを受けました。
今日木曜は、順番?だと土曜の重賞レースの予想をする日ですが、私も初心に帰って競馬予想をしていきたいので、宮田式馬券術のエッセンス(プラスα)を、今日から続きもので数回に分け、この本から引用しながら紹介していきたいと思います。
まずは、心得というか、気持ちの持ちようから。
……競馬でプラスしたときの気分というのは格別のものがありますわ。心も懐も豊になるわけですから、儲かればケーキでも買って帰りたくなるのも当然です。では、逆に損した場合、これはもう谷底に突き落とされたような気分で、家に帰っても家族に八つ当たりしてしまう……こんな競馬ライフを繰り返してはいませんかな?
一喜一憂はギャンブルにはつきものとはいえ、一度大きなリターンを獲得してしまえば事情は一変してしまいますわ。ゆったりした気分になってむやみやたらにレースに手を出すこともなく、自信が湧いてきてものごとに冷静に対処できるようになります。なにより余裕資金が潤沢になるわけですから、それまでのやり方を変えて大金を注ぎ込んでしまうようなアホなことをしなければ、たとえしばらく負けてしまっても十分つぎのチャンスを狙うことが可能です。……(18-19頁)
宮田さんは自身の馬券術を以下のようにまとめています。
1⃣前日予想で軸となる2頭を選ぶ。基準は【タイム】と【バイオリズム】のいい馬の中からピックアップする。
2⃣軸馬の1頭は4番人気以内の人気上位の馬、もう一頭は5番人気以下の人気の低い馬を選ぶ。
3⃣当日の「数運のシグナル」を読み、波乱の日ならば人気のないほうを、本命サイドの日ならば人気上位のほうを軸としてマルチ買いをする。取り上げた馬の力に差が認められない場合はボックス買いにして、あくまで網を広くするスタンスを崩さない。
4⃣当日の数運を枠連の動きでチェックし、明瞭なシグナルが読み取れたときには、大胆な予想変更も辞さない。
5⃣3連単馬券の勝負はメインレースと最終レースに絞る。
私のやり方を大づかみにすると、この5点に集約されるんですが、みなさんが壁を感じるのが3⃣と4⃣なんですわ。3⃣では、そんなにたくさん買うのかと尻込みされるようだし、4⃣の当日の流れや数運に乗ることも、なにやら論理的ではないみたいで、理屈っぽい人ほどこれまた尻込みしてしまうようですな。
しかし、私に言わせれば、この3⃣と4⃣こそ宮田宇宙流の根幹をなすもので、この2つの壁を克服してはじめて馬券成功組の仲間入りができると確信しているんです。なにしろ私自身が馬券を買いはじめて以来、長い間、常識的な推理に偏ったやり方で、点数を絞って勝負していたんですから。もちろん、当時は単勝、複勝、枠番連勝馬券しかない時代で、そうやってどれほど損をしたことか。……
06年7月にスポーツニッポンの予想コラムを再開したんですが、私としては歯がゆさを感じつつ執筆しているというのが本音です。というのも、新聞の場合、締め切りがありますから、当然「前日予想」ということになりますな。当日の「数運の読み」を反映させることができないわけで、私にとっては彫刻で言えば粗削りの段階に過ぎない。
もちろん、前日の予想とはいえ、長年磨きをかけてきた予想法を駆使して、前日なりの入魂予想をしてます。……しかし、私にすれば、「仏作って魂入れず」といった感がぬぐえないんですわ。基礎編だけでなく、大事な眼目である応用編も伝えたい。そして、みなさんが負け組から抜け出して、豊かになってほしいと思てるんです。(32-35頁)
<続>
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