山口 香の「柔道を考える」

柔道が直面している問題を考え、今後のビジョン、歩むべき道を模索する。

大器を感じる中学生

2009-11-14 17:28:04 | Weblog
 千葉のポートアリーナで講道館杯が行われている。一日目の今日は女子7階級が行われた。8月の世界選手権において金メダルを獲得した48kg級福見選手、52kg級中村選手、63kg級上野選手は出場が免除されたが、それ以外のメダリストは出場が義務づけられた。強化選手の他にジュニア、大学選手権、実業団大会等の上位者が出場するために、人数が多く試合数も多い。7試合上で各階級が行われているために試合間隔も短い。この大会で3位以内に入るのは実力者といえども簡単にはいかない

 日本の女子は世界においてもその実力が証明されており、勢いがある。この力の源は国内のレベルが高く、競争力があるからである。今大会も試合数は多いものの次々と好カードが続いて退屈しなかった。

 今大会注目していた選手の一人が、全日本ジュニアで若干中学校3年生で52kg以下級2位に入った山本杏選手ジュニア選手権でも思い切りの良さ、バランスの良さがあり、将来が期待できると感じたが、講道館杯でその力がどこまで通用するのかがみてみたかった。伸び盛りなのだろう。ジュニアの時よりもさらに安定感を増し、試合運びもうまくなっている。準々決勝戦では第一シードの西田選手と対戦。負けはしたが、物怖じしない攻めは次の対戦が今から楽しみと思わせる戦いぶりであった。敗者復活戦を勝ち上がり、3位になった。女子といえども中学生で3位に入ったのは賞賛に値する。彼女の良さは組み手、仕掛けの早さ、足技がうまいところだ。もちろん、このまま一気に駆け上がれるほど甘くはないだろうが、女子はどの階級にもこのような楽しみな若手が2~3人はみられる。女子柔道の将来は明るいと思わせるに足るものだ

 優勝者は第一シードの選手が7階級中5人で、安定した実力と意地を見せた。興味深かったのは、第一シードが敗れたのは57kg級と78kg級であり、いづれも世界選手権でメダルを逃した階級であったことである。つまり、世界でメダルが取れないということは国内の選手層も薄いという証明だろうか。また、決勝戦は勝ちにこだわるあまりか、組み手争いが多く面白みの少ない試合が多かった。講道館杯は国内最高峰の大会であるにも関わらず観客が少ないのは残念であるが、やはり一般の観客をも魅了する柔道の醍醐味がもっと随所に見られないと・・・とも感じる

 明日は男子が行われる。60kg級野村選手、100kg級棟田選手は残念ながら欠場だという。ベテランの復活、活躍も楽しみだが、やはり将来に期待の持てるような荒削りでも輝きのある選手が出てくることを期待したい