山口 香の「柔道を考える」

柔道が直面している問題を考え、今後のビジョン、歩むべき道を模索する。

世界マスターズ

2009-06-11 11:55:45 | Weblog
 5月28日~31日にかけて、ドイツ・シンデルフィンゲンにて世界マスターズ(ベテラン)選手権が開催された。30歳以上(過去2年間、国内外のIJF公式大会に出場していないこと)で5歳ごとに区分があり、7階級で行われた。男女ともにM10という区分は75歳以上である。この大会はIJFが主催で行われた第1回の大会である

 世界マスターズ柔道協会(WMJA)が主催し、毎年行われてきた世界マスターズ柔道選手権という大会があった。この大会は1999年から行われていて、今年も第11回大会が8月19日~23日、アメリカ・アトランタにて開催される。この大会には「形」の試合も行われる。昨年のベルギー大会には1200人を超える参加者があったという。日本にも「日本マスターズ柔道協会」があり、日本においてもマスターズ大会が開催されている

 IJF主催のマスターズも、WMJA主催のマスターズも大会の主旨や要項などは似たところが多いが、今のところ連携はなく、それぞれが独自に大会を行っている。WMJAは、そのことに対しては残念であるとしながらも、「マスターズ世代の選手達には年に2回も国際的な大会が開かれ、チャンスが与えられたということを好意的に考えよう」といったコメントがHPに載っていた

 今後、この二つの大会がどのような連携をしていくのかわからないが、できることならば、IJFが、これまで大会を盛り上げてきたWMJAに敬意を表して、協力して、それぞれの大会が盛り上がるようになればいいと思う

 今回の大会には、情報が流れたのが遅かったこともあってか、日本からは10人(すべて男性)の参加に留まった。60歳以上の比較的高齢の方(最高齢は75歳)が多かったようだ。ドイツということで、長旅、時差などで体調を崩されたり、試合で怪我をしたりなどといった心配がされるが、実際、帯同した役員に聞いたところ、参加者は「普段から稽古をしているし、畳の上で死ねるなら本望!」という胆のすわった方々らしい試合数はともかく、参加者全員がメダルを獲得されたそうである

 参加国は48カ国、参加選手数は875名(男性763、女性112)。年齢区分と階級区分があるので結構な試合数であっただろうと推察できる。

 柔道は剣道と比較して「生涯スポーツとなりにくいのでは?」という指摘もある。実際、剣道家に比べて、競技を離れると柔道から遠ざかってしまう人も少なくないのが事実である。しかし、柔道が今後さらに発展していくためには、こういったベテラン達にももっとスポットをあてていくことが必要だろう

 前回書いたように、成人になってから参加する大会がほとんどない、という現実もある。皆が競技を目指すことはないが、それぞれのライフステージにおいて大会に参加でき、自分を試すという機会は提供していくのが望ましい。ママさんバレーは非常に盛んだが、将来は、ママさん柔道大会などもあっていい

 今回は日本から男性だけの参加者だったが、来年は女性にも多く参加してもらいたい。といっても、人にばかり勧めて自分は?と言われては困るので、来年は参加することを目標にしたい。そうなると自分一人では淋しいので、大学の後輩達に号令をかけて、今からトレーニングを開始し、旅費を積み立てるように言おうまあ、このブログを読んでいれば、言われなくても準備をするとは思うが!

 できればこういった大会では、試合のみではなく、柔道の将来について世界の人たちで語り合うファーラムや研究会なども取り入れられるようになればいいと思う。そういった提案をするためにも、やはり来年は視察をかねていってみようちなみに来年の開催はどこだろう?