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NHKスペシャル TPP交渉 どう攻める どう守る2

2013年05月02日 | TPP
『農業問題コメントまとめ1』

TPPの農業への影響についてどうか?
水野和夫さんのコメント
「農業というのはグローバリゼーションというか貿易の自由化にそもそも馴染まない分野だと思う。自由化というのは人、物、お金が国境越えて自由に流れるものと表面的に言われるが、農業の生産というのは工場と違って日本の国内で生産コストが高いから海外移転しましょうということが全くできない。なぜなら土地を移動することができないから。

そうするとそもそもTPPの交渉が全ての品目に渡って原則10年以内に関税を0にしましょうという枠組みが果たして良いのかどうかと思う。」

関税撤廃の例外にしたい品目を守れるのか?
甘利明大臣のコメント
「それぞれの国には日米の間でもそうだったがセンシティブ品目というものがある。日本にも国柄に則したセンシティブ品目がある。
多国間の交渉では2国間での話し合いではできない戦略が立てられる。TPP交渉の方がパートナーを組んで作戦が立てられるので融通性がある。」

聖域をどの程度守れるか?
中川淳司さんのコメント
「かなり厳しいと思う。95%の自由化率が今までTPPでアメリカなどが目指した数値。その場合を日本に当てはめると5%しか例外が認められないということになるが、品目数でいうと450品目。日本では米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の原料作物を聖域として関税撤廃の例外としたいが、これらを合わせると940の品目で10%を超えるので守りきれるとは思えない。」

TPPの影響はどうか?
柴山桂太さんのコメント
「日本はほとんど貿易自由化してる自由化の優等生で、GATTやWTOにかけて工業製品なんかほとんど完全自由、自動車の関税も0%(アメリカやヨーロッパはまだある)。農業製品のごくごく大事なところだけを守って聖域としてきたが、今度のTPPでは日本が自由化してきた中でギリギリ守ってきたものも交渉の主題に挙がる。北海道の乳製品や沖縄の砂糖など、地域の核となる品目が脅かされる。」

真山仁さんのコメント
「消費者にとって安い食べ物が入ってくるのは実はマイナスじゃない。本当に日本のものが良ければ、日本のものを買えば良いと思う。じゃあ聖域なき自由化にすれば良いのか、それは日本が貿易で成長してきた国であるという前提があることと、その一方で国として産業を守るということはそれはそれで重要なことだと思う。

世間の議論を聞いていておかしいと思うのは全部マストだということ(守らなければいけない、自由化しなければいけない)。交渉というのは絶対に守らなければいけないと言い続けながらどこで落とし所つけるかということが非常に重要な問題。まず落とし所として必ず○○しなければならないというのは何も前に進まないと思う。

もう一つ、じゃあ本当に農業が弱いのか、あるいは地域が弱いのか、自由化になればその分農業が強くなるのかというとそれは違うことだと思う。」

地域が成り立たなくなるという懸念を多くの人が持っていると思うがどうか?
甘利明さんのコメント
「まず日本は関税が日本で一番低い国。ということは日本以外の国はまだ関税で着膨れしてる状態。同じレベルで下げていくとしたら体力は日本の方がついてるわけだから、交渉力はあるはず。相手はまだまだ関税で一杯守られてて、日本は関税をどんどん離していって風雪に耐えて力をつけてきた。

それから農業は、守るべきは守る。でも、ニュージーランドの話しが出たが、ニュージーランドは最初から農業が強い国じゃない。政府の補助金貰ってやっていた国。ところがある時政府が方針を切り替えて、農業が自立して強くなる方向でということで補助金を止めた。そして強くなった。で、今日本に必要なのは、農業を産業化すること。VTRにもあったが、ニュージーランドの農業はみんな会社がやってる。日本の農家は会社がどれ程あるか。田んぼ耕してる会社、畑をやってる会社。日本の農業は産業じゃない。だから産業化していくということを導入していく機会でもある。」

そういう交渉を多国間でしていく必要があるがどうか?この交渉は最終局面が非常に大事ということだが。
中川淳司さんのコメント
「多国間の貿易交渉っていうのはGATTのウルグアイ・ラウンドであるとか、今WTOというところでもやってるが、日本も他のTPP参加国もみんな経験があるのだが、交渉は最後まで縺れて、最後の一週間、3日、4日間は徹夜の連続で詰める。後で話しに出ると思うが、関税の話しだけではなくて、TPPではたくさんのルールの交渉も話し合われる。その交渉の全体がパッケージとしてまとめられるので、最後は色んな交渉分野の取引、攻めと守りの国によっての思惑もあるし、各国がなんとか国に持ち帰れる内容を目指してギリギリの交渉をすると思う。」

どういう交渉の場になると思うか?そして勝算はあるか?
真山仁さんのコメント
「TPPをあえてこういう魅力、良い部分があると、例えばWTOでもなかなかうまく、その世界中のそれぞれの立場の国が、自分たちの主張をしてなかなか上手くいかなくなってきてる。TPPはある意味では、その中である程度数を絞って、しかもアメリカや日本さらに貿易に意欲的な国が集まって色々と手案をしていく。そういう意味ではFTAのような1対1ではなく、それぞれの思惑も入れながらさらにある程度の数があるので、みんながどういう考えをしてるのかと、あるいはどういう所を落とし所として考えてるのかということをある意味では非常にリアルに、解りやすくできると思う。

酷いことを言うと、結論がでなくても良いと思う。ただ、それからそれぞれのステージの国、まさに日本やアメリカみたいに先進国のずっと先端を走ってる国じゃないところが参加してきているので、それぞれの国がこれからの何を貿易で目指そうとしてるのかということを、本当にざっくばらんに言うことだけでも意味があるので、そういう意味ではこの数っていうのは非常にもしかしたら今までにない新しい何か落とし所がないか期待してる。」

優木まおみさんの質問
「なんでもっと早く交渉に参加できなかったのか?」

甘利明さんのコメント
「政権が違うから。民主党が交渉に参加すると宣言をしてから2年間ほったらかしたのが原因。」

優木まおみさんの質問
「WTOだと国の数が多すぎる、FTAだと少なすぎる。良い案配の国の数だからTPPが丁度良いということなのかも知れないが、二国間でそれぞれ項目を決めていくというように、少ない方が交渉はしやすいのでは?」

中川淳司さんのコメント
「関税を下げる交渉だけであれば二国間の方が早い。」

優木まおみさんの質問
「例えばお米とか牛肉、豚肉をアメリカと日本だけでやるのと比べて、多国間だと捩れて余計わかりにくくなるのでは?」


甘利明さんのコメント
「日本が入る時に、既に入っている11カ国で心配したことの一つが新しい国が入るとまたぐちゃぐちゃになるんじゃないかということ。そういう不安は確かにあった。でも、二国間だけだと二つの経済のメリットしかない。数が増えてくればメリットがずっと広い範囲に及ぶ。貿易というのは二カ国だけでやり取りするよりもたくさんの国でやったほうがメリットがある。だから多ければ多いほど本当は良いのだが、多ければ多いほどまとまりづらい。」

日本は交渉に遅れて参加しているが、ニュージーランドやカナダはかなり準備をしている。どう対峙していけるのか?

甘利明さんのコメント
「これはある種のルール作りをするわけだから、ルールを作る時には一番最初に始めた人のほうが環境は良い。後から入ってきた人がもう既に決まったルールをこんなルール聞いてないとひっくり返すことはできない。最初決める時から加わった方が有利か不利かと言えば有利だと思う。完全に参加というわけでないので完全な情報ではないが、大事な部分はほとんどまだ決まってないなという感じ。だから、今から入っても、入らなくて良かったよと言うほど遅れはとってないと思う。」