8月末、私たちの上海での生活が終わり、ただいま日本に帰国中。
上海万博最終日に到着してから3年10ケ月。
全く予期せず、何の準備もなくベルギーからやってきた中国での日々は、とても刺激的で面白く、あっという間に過ぎていった気がする。
ちょうど尖閣問題で日中関係が緊張していた時期でもあり、色々と悪い話ばかり聞くので、不安を抱えて始まった上海生活。
最初の頃は中国語も分からないし、騒音や中華の匂い、それまで過ごしてきた日本やヨーロッパとも違う様々な事柄に戸惑うこともあったけれど、
馴染むのにそう時間はかからなかった。
中国に対する印象や思いは、体験によって人それぞれだと思う。
私個人的には、大気汚染と食品の安全問題、衛生面、ネット規制はちょっと困ることではあったものの、それもある程度解決はできることだし、
特に不便だと思ったことも嫌な思いもしたこともなく、むしろ充実して楽しいものだった。
中国が嫌いにならなかったのは、例えばオシャレなフランスだって結構汚いし(過去最悪なトイレは中国ではなくフランスだった)、ヨーロッパの
人々だって仕事をさぼったり、いい加減だったり、つり銭を投げたり、愛想が悪い人はたくさんいるし・・・
という具合に、文明的な先進国でもうまくいかずにガッカリすることも経験してきたので(そっちの方がカルチャーショックだったかも)、
中国(人)が特別おかしいとは思わなかったからだと思う。
日本はあらゆる点で正確で、清潔で、丁寧で優しいけれど、そういう日本の常識は世界のスタンダードではないし(というか特殊だ)、
どの国へ行っても、そこが外国である以上、日本と同じ感覚で生活はできないのだから。
最近は日中関係の問題や大気汚染、食品汚染の問題などもあって、中国には単身赴任で来られる方が増えているとか。
もちろん家族ごとに事情も異なるので何が最善とは言えないけれど、子供の教育や仕事、親の介護など避けられない理由がないのであれば、
やはり家族一緒に駐在されることをオススメしたい。
もしも先入観から新しい世界への扉を閉じてしまうならば、それはその国と日本の良い所、悪い所を知る機会を失ってしまう気がして、
残念だなぁと思うから。
私自身、元々反中感情を持っていたので、中国は夫の転勤がなければ一生訪れるこつもりのない国だった。
でも、実際に生活して中国の人々に触れていくうちに、この国の難しさや矛盾、人々の行動様式の理由などが理解できたし、誤解も解けた。
今までよく知らずに嫌っていた中国に対する印象が180度変わったことは、中国に来て本当に良かったなーと思うことの一つ。
まさに、『百聞は一見に如かず』を実体験した感じかな。
そしてもう一つ、上海でも素晴らしい才能を持つたくさんの人々との出会いがあったこと。
色々と手を出した習い事はどれも中途半端で終わってしまったけれど、ここで出会えてた方々によって私の上海生活は支えられ、
とても充実した、忘れ難いものとなったことは、何にも代えがたい私の財産。
転勤妻という立場だと、出会いと同時に必ず別れがある運命は残念だけれど、世界各地に友人ができると思えば、それも素晴らしいこと。
時に自分の意思とは関係なく進んでいるように思える人生でも、そこにはちゃんと意味がある、とポジティブに考えられるようになってきたのも、
こうして貴重な海外経験をさせてもらっているからだなぁと、改めて思う。
多くの方に見守られて過ごした私の"上海DAYS"。
何かと世間を騒がせている中国なので、常に心配してくれている家族や友人達に、上海はどんなところで、私達がどんな生活をしているのか
お知らせするつもりで発信してみようと
始めたこのブログも、これが最後。
相変わらず主婦に役立つ楽しい情報は少なく、個人的興味で地味な記事ばかりだったけれど、ご愛読いただきありがとうございました!
もし、少しでも中国のことを知ってもらえたり、お役に立てたのであれば、とても嬉しく思いマス。
そして私は、来月から始まる新たな生活に向けて、束の間の休息と準備の時間を味わっている。
中国よりもきっと、ずっと、刺激的な、まだ見ぬ世界と、人々との出会いを楽しみに。
<完>