マジで？

うちのマンションの管理人さん。年の頃なら６０代後半だろうか。半年ほど前からここの担当になり、朝からまマメに掃除や草木の手入れにいそしみ、いつも笑みを絶やさない。どちらかといえば紳士な感じの人だ。

特に会話らしい会話は交わした事はないけれど、朝、出かけるときにばったり会うと、ほうきを持つ手を止めて「行ってらっしゃいませ」と笑顔で頭を下げ、なんだかこちらが恐縮してしまう。

そんな管理人さんは、私が毎日のようにマンションに訪れる親子の猫にご飯をあげている事に、多分気がついているのに目をつぶってくれている。

日頃の感謝の意をこめて、京都で買ってきたお土産を管理人さんの部屋へ届けに行った。「実は実家に帰っていたので、お土産です」と言って手渡すと、その管理人さんは、開口一番こう言った。

「マジですか。」　　

正直びっくりした。アルプスの少女ハイジに出てくるおじいさんが、振り向きざまにハイジに向かって「マジで？」などと言ったらあまりのイメージのギャップに驚くだろう。
私は思う。もし自分が相応の年齢を重ねたら、絶対綺麗な日本語を話そう。知的さと上品さを兼ね備えたお婆さんになるんだ。
んー。もはやそういうゾーンにいるかもしれない。明日から気をつけるでござる。