--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

匠の技

2007-01-10 | 南極だより・施設備品
今日はずいぶん冷え込んだようです。
札幌の今日の最高気温は-2.5℃だったとのこと。
昨日の昭和基地の最低気温-1.7℃より寒いですね。
東京もそこそこ寒かったけれど、例年ほどではありません。
何となくどんよりしていた昭和基地もずいぶん晴れて明るくなりましたね。
大陸のスカイラインがはっきり分かるようになりました。
それでは渡井さんからの南極だよりです。
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2007年1月9日(火)曇りときどき雪 匠の技

夏期間、47次隊が観測や基地維持、それに物資の輸送業務を担当しているが、48次隊は建築業務が主な任務である。

今年は東オングル島内での道路工事も含まれている。
しらせ後継船で導入される予定のコンテナ輸送のためだ。
迷子沢から基地主要部方面にほぼまっすぐ伸びてきた道路は、風力発電所のあたりで大きく右に曲がり、大型多目的アンテナや地震計室の方に向かう。
このカーブから分岐して、南側の山肌を裾を通ってまっすぐ第一ダムの南側、そして1夏脇に至る道路をつくるのだ。
48次では土木の専門家が数人参加している。

#風力発電前から第一夏宿方面を臨む
写真左は稼働休止中で羽がないけれど風力発電、右の赤い建物が第一夏宿

山裾を通るだけあってルートは斜面にかかる。
したがって山側を少し削って、谷側を埋める必要がある。
硬い岩でできている東オングル島では、斜面を削るのは重機を使えばよいのだが、埋めるのは土盛りをしないとさすがに崩れてしまう。

そこでカゴという網の中に石を詰めて土盛りにしていくのだが、適当な石がそうあるわけではない。
ではどうするのかというと、バックホーに削岩機をアタッチメントをつけ、岩を砕いて作っていくのだ。

#これがカゴ
1-2日でできあがった石の山をみて驚いた。
ほぼ全てが同じ大きさなのである。
しかも丁度人一人が持ち抱えられる程度の大きさ。
プロの技だ。


#すごい!!
本当に同じ大きさになっていますね


-----1月9日本日の作業など-----
・O3並行ラン報告
・シリンダー整理
・物資梱包
・シリンダー搬入・搬出
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック

<日の出日の入>
日の出 なし  
日の入  なし  
<気象情報>
平均気温0.3℃
最高気温2.2℃(1159) 最低気温-1.7℃(2347)
平均風速3.0m/s
最大平均風速5.5m/s風向NNE(0730) 最大瞬間風速8.2m/s風向NE(0633)
日照時間 1.7時間

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昭和基地の道路はダートなので、車が走っているうちに道らしくなったのだと思っていました。
でも、先日今回の道路建設にあたって測量をしているところが報道されていました。
道路を造るというのは、獣道みたいに通っているうちにできるというものではないのですよね。
考えてみれば、道路の下にはケーブルが通したりするわけだし、きちんと整備してあるのですよね。
いい加減に考えていてごめんなさい。

今回は特に山沿いにつくる道路で、岩を崩して谷側を埋めて平らにしなければならないということ。
昭和基地周辺の地図を見ると、風力発電から第一ダム方面はカーブの続く道になっていますが、それは南側に岩があるからだったのですね。
昭和基地の施設は、地形を崩して建設するというイメージは全くありませんでしたので、道路を造るために斜面を削るというのは、ちょっと驚きでした。

#赤い破線が新しい道、たぶん。
(文章を手がかりに描いてみたので、違っていたら指摘してください)

コンテナ輸送に曲がりくねった道は適さないということなのでしょうか。
そういえば地磁気絶対観測のときは道路封鎖をしていましたが、今回つくられる道路であれば影響が出ないということなのでしょうか?

同じ大きさの石を作り出すのは、難しそうだなとは思うのですが、実際にはどうやって砕いているのでしょう?
バックホーに削岩機をアタッチメントをつけて、それでどうやって?という意味なのです。
たとえば私のような素人がやったら、粉々になってしまったり大きすぎてしまったりするのでしょうからコツみたいなものがあるのですよね?
そういうの、一日中でも見ていられそうです(他の作業を手伝えって言われちゃいますね!)。

↓現在ある道(第一夏宿~荷揚場)はこちらで見ることができます
昭和基地案内 その3

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