--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

インレット分解清掃

2006-10-25 | 南極だより・観測
夕方、空を見上げたら「爪みたいな月」が出ていました。
「爪みたいな月」というのは、三日月のとーっても細いののことです。
こんなステキな表現は私が考えたわけではなく、もう十数年も前に麓郷(富良野)の宿の子ども(推定4歳)が言ったのです。
それ以来、三日月がほそーくなると「爪みたいな月」だなぁ・・と麓郷を思い出すのです。
それでは、渡井さんからの南極だよりです。
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2006年10月24日(火)快晴 インレット分解清掃

オゾン分析用の大気を採取するラインが詰まってしまった。
大気採取口(=インレット)から下に伸びる配管の中に、氷が詰まってしまっている。
なるほど分析に必要な流量が稼げないはずだ。

よくよく見ると粒状の氷だ。
このごろ暖かくなって水蒸気量も多くなっているので、大気中の水蒸気が夜間に冷やされて凝結したものだろうか?

大気採取用のタワーに登ってインレットを取り外す。
これまでの講習のおかげで、体を確保する方法にも慣れてきた。
両手を使えるのが便利である。

インレットは雪がなるべく入らないように3重構造になっている。
分解したいのだがねじが一個固着して取れない。
潤滑油を挿したいところだが、ここは大気オゾン分析のインレット。
余計なものはつけたくない。
ペンチで頭を掴んで無理やりまわしたら回したら頭がもげてしまった。
しょうがないのでドリルで小さめの穴をねじ部に開け、タップを再度切って復活させる。

インレットは氷を溶かした後、高圧ガスでパージした。
これからの季節、詰まりがないかどうか、定期的にチェックする必要があるかもしれない。


#細かい氷が詰まっています

#アップにしてみると粒状の氷です
けっこうびっしりと詰まってます


#右を真ん中に下からはめて、今度はそれを一番左に上から挿して完成

-----10月24日本日の作業など-----
・CO2標準ガス交換&リニアリティチェック
・COキャリアガス交換
・観測部会
・O3インレット清掃
 雪が溶けた氷が詰まっていたのだ
・精製装置加熱真空引き
・HVS Air濃度分析
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック

<日の出日の入>
日の出  3:44
日の入  20:31
<気象情報>
平均気温-17.2℃
最高気温-12.6℃(1426) 最低気温-21.1℃(2350)
平均風速5.1m/s
最大平均風速9.9m/s風向E(0200) 最大瞬間風速13.9m/s風向ENE(0328)
日照時間 16.1時間

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最近、気温のことで気になっていることがあったのです。
昼間に気温が高くて夜に気温が低いのですよね。
それって普通だと思いますよね。
でも毎日気象情報を見ていて、南極というところは、一日のうちで気温が高い時間帯があまり決まっていないんだな、と思っていたのです。
それはたぶん極夜で太陽が出なかったり、出ても太陽が低かったり、逆に全く沈まなかったりというところから来るのでしょうけれど、今は私たちの住んでいるところのように、昼間に気温が高くて夜に低いのです。
夜と昼がちゃんとあり、しかも太陽が高くなるからでしょうか?
と、余計なことを書きましたが、つまり、大気中の水蒸気が夜に冷やされて凍ってしまうというのはあり得るな、と思ったのでした。
しかもインレットとは、ずいぶん細いのですね。
写真のように詰まったら、確かに十分な流量は得られませんよね。

ペンチでつまんで無理矢理まわすことはできても、その後の対応はふだん慣れていないとできないなぁと、渡井さんの家の工具の数々を思い出しながら思いました。
得意分野だけに、
「ありゃ、取れてしまったー。
仕方ないなぁ・・」
などと鼻歌でも歌いながら当たり前のことのように作業している姿が浮かんできました。
大気採取用のタワーにも登ったのですよね。
高いところにはなるべく登りたいし、工具を使った作業は特に好きだし、実は楽しかったでしょ!と、一応ツッコミを入れてみます。

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